米ベンチャーキャピタル(VC)の起源は捕鯨だった? 米国はいかにスタートアップ・エコシステムの土壌を育んできたのだろうか。 米国のイノベーションを支えるVCの成り立ちを論じた『VC:An American History』(『ベンチャーキャピタル──アメリカの歴史』邦訳版も刊行予定)。その著者であるハーバード・ビジネス・スクール教授、トム・ニコラス氏(専門は起業論)に「米国VCの歴史から現在の潮流」についての話を聞いた。 ──『VC』によると、米東部のニューイングランド地方で19世紀に行われていた捕鯨に米ベンチャーキャピタル(VC)の萌芽が見られるそうですね。 捕鯨とVCファンドには3つの類似要因がある。まず、リターンが非常に偏っている歪曲分布である点だ。VCの運用ポートフォリオには、グーグルやフェイスブックなど、例外的なリターンを生む例外的な企業はまれにしか現れない。一方、捕鯨も、マッコ