「哲学的分析のパラダイム」という言葉を聞くことがある。これは P. F. Ramsey の言葉だと記憶している。とても有名な言葉なので、あるいは言い換えると、特に珍しい言葉でもないので、このようなことを Ramsey がどこでどのように述べているのかを改めて調べてみることもなかった。しかし少し気になったので、彼がどこでどのように書き記しているのかを確認してみた。それは彼の1929年の遺稿 “Philosophy” に見られる言葉である。その遺稿の冒頭で Ramsey は、おおよそのところ、次のようなことを述べているものと思われる*1。 Ramsey によると、哲学とは諸定義の一つの体系である。あるいは哲学とは、定義をどのようにして与えたらよいのかについて記述している体系である。そして定義は主として、今まで我々がいみしていたことを説明しているのではなく、これから我々が何をいみしようと意図して