川口 新卒で特定の企業に入社して長期間働き、勤続年数に応じて賃金がぐんぐん伸びる。そういったいわゆる日本型の雇用体系で働いている人は、とりわけ若い人を中心に減っています。旧来の日本型の雇用が、1990年代、2000年代の長期の不況をきっかけに、変化しつつあるということは間違いないです。 また、30代、40代の若い世代の方が平均勤続年数が短くなっている。内閣府経済社会総合研究所の濱秋純哉氏らによる最近の研究で、40代男性の中堅労働者の平均賃金が下がっていることがわかりました。年齢に応じた賃金の伸びの傾きは、かなり鈍くなってきている。つまり昔に比べて、40代になってからの賃金の伸びが鈍くなったということです。労働市場におけるこうした変化が、ここ20年ぐらいの間に起こりました。 ―― それと同時に、日本では1998年以降、名目賃金は下がり続けているとも聞きました。 川口 全くその通りです。実は、