「国体」に反するすべての思想は「絞殺」されると、北一輝は書いた。実際、「国体」は近代日本社会を金縛りにした言葉だった。治安維持法や天皇機関説事件も、国体論というタブーに触れることを禁じた。終戦時に昭和天皇と統治エリートが最後まで執着したのは「国体護持」であり、無条件降伏だったのに「国体は護持できた」と言い張った。一体、国体論とは何だったのか。思想としての国体論が誕生する現場に立って考察する。 [ここがポイント] ◎ 近代日本のあり方を決定づけた「国体論」とは何かを解明する。 ◎ 国体論はいかに誕生したのか。 序 章 国体論という磁場 1 国体論とは何だったか 2 本書の課題 第1章 「国体」の発見 1 「国体」とは何か 2 「国体」の発見 3 ペリー来航と構造的磁場の形成 4 新しい天皇像の登場 5 政教一致体制と国体/政体二分論 6 国家神道へ 第2章 神々の欲望と秩序——幕末国学の国体