副題は「社会集団と市場から読み解く 1868-1914」。 タイトルにあるように「近代」の「社会史」なのですが、副題にあるように「社会集団」(身分集団)と「市場」の関わりを軸にして、明治から第1次世界大戦が始まるまでの社会の変容を描いています。 著者の以前の著作、『町村合併から生まれた日本近代』(講談社選書メチエ)、松沢裕作『自由民権運動』(岩波新書)、『生きづらい明治社会』(岩波ジュニア新書)などを読んだ人はわかるかと思いますが、著者は以前から身分制の解体局面に注目する形で日本の近代を捉えてきましたが、本書ではそれを広いスパンで、さらに「市場」という身分制に取って代わったものに焦点を合わせる形で論じています。 本書は著者が大学で行っている「社会史」の講義をもとにしたもので(コロナ禍のオンライン授業の原稿がもとになっているという)、テキストブックということになりますが、高校の日本史の教科書