このサイトでは、歴史的仮名遣ひを使用してゐます。正確に言へば、大和言葉の表記に 歴史的仮名遣ひを用ゐて、字音については、原則、現代仮名遣ひにするといふ 丸谷才一さんの表記法に倣つてゐます。 歴史的仮名遣ひは、大和言葉に限れば、それほど複雑なものではありません。他方で、 現代仮名遣ひに比べて、文法的にもすつきりし、言葉の歴史にも関心が深まるといふ大きな 利点を持つてゐます。 文法上の利点は、動詞の五段活用で、はつきりと分かります。「書く」といふ 動詞に例をとると、現代仮名遣ひでは、未然形で「書かない」と「書こう」のやうに、 「か」と「こ」の二つの語尾が生じます。このため、古文では四段活用なのが五段活用に なつてゐる訳です。歴史的仮名遣ひでは、「書かう」ですから、未然形語尾は「か」の 一つだけです。また、「書かう」は「書かむ」の音便だと知れば、言葉の歴史的な変化にも 興味が湧くのではないでせう