07年3月、第10期第5回「全人代」が開催された。「和諧社会」の旗印を掲げた政府は所得格差の是正を本格化する方針を打ち出したほか、「物権法」と「法人税法」の採択が注目される。 ■安定成長の重視、民衆利益の保護 3月5日〜16日まで、第10期第5回全国人民代表大会(以下「全人代」)が開催された。「全人代」とは、憲法の改正、法律の制定、国務院メンバーの決定を行う国家最高機関である。また、毎年開催される「全人代」は、その年のマクロ政策、財政予算を定める重要な会議でもある。 まず、今回の「全人代」で打ち出された07年のマクロ政策の方向性をみる。3月5日、温家宝・首相が行った「政府活動報告」では、以下の3点が強調された。 第1に、安定成長を維持することである。「第11次5カ年計画」では、政府は年平均8%の経済成長の目標値を打ち出した。実際、地方政府はこれまで、常に中央政府の目標値より2〜3%