ウォールストリートの主だった話題や関心事、業界の内情や仕事内容、日本・中国経済の見方等についての、報道と経験に基づく所感。 by harry_g
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大手銀行に自己ポジションのトレーディング業務やヘッジファンド・PEファンドのスポンサーをすることを禁じる「Volcker Rule」について、二ヶ月ほどまえにいくつかのエントリーを書きました。 このルールは、額面どおりに実現すれば、大恐慌後に証券と銀行を分離し、当時金融財閥として君臨していたJP Morganから証券部門のMorgan Stanleyをスピンオフさせた、かの有名な「グラス・スティーガル法」に並ぶか、それ以上のインパクトがあるとして、ウォールストリートでは色々な方面から、注目が集まっています。 法案の対象になる大手銀行の中には、元大手証券のGoldman SachsやMorgan Stanleyも含まれており、これら企業にとって自己トレーディングは、きわめて重要な収益源です。仮に銀行業務を営むことで、それらの業務が出来ないとなれば、これらの会社は銀行である立場を捨てるなどの行
日本への関心度の低下を如実に示しているのは、株式市場の動向です。株式投資に関わっている人であればご存知の通り、2009年の外国人投資家による日本株のウェイト(保有レベル)は、歴史的ともいえる低水準にまで下がっています。 投資家のウェイトは頻繁に変わるものなので、これだけでどうこう言うのは難しいですが、欧米の投資銀行でも、今まで日本株はアジア株と独立したチームであったのが、最近はアジア株の中に統合されつつあるという話を、以前にも書いたと思います。東証は売買高で既に上海市場に抜かれていますが、これで更に、欧米の投資銀行の日本へのコミットメントレベルが本格的に下がり出すようだと、大きなトレンドの変化と言えるかもしれません。 日本株への関心が下がっている理由は色々ありますが、グローバルファンドからよく聞かれる理由には、以下のようなものがあります。 1.円高進行と輸出先(欧米)経済の落ち込みにより、
先日書いたAIGに関するエントリーに、数日の間に多くのコメントを頂きました。その多くは、ウォールストリート全般と、その報酬や従業員の態度に対して批判的なものでしたが、これは世論の主流を反映していると思います。 4月4日のEconomistの表紙は、フランス革命の民衆を導く自由の女神が「金持ちを倒せ」というプラカードを持っているものでした。これはロンドンで開催されたG20金融サミット時に発生したデモにより、銀行に対する投石が起こったことなどを反映しての事かと思いますが、公的資金で救済された金融機関が高額のボーナス支払いをした問題は、大きな波紋を広げているようです。 このEconomistの記事「The rich under attack(金持ちへ非難集中)」の内容は、「金持ちが勝ち組・負け組がはっきり分かれる社会を作り出した」、「バンカーやファンドマネージャーは何の役にも立っていない」という
しかし事態は明らかに行き過ぎの感があり、AIGの幹部社員の自宅にバスをチャーターして乗りつけて抗議を行ったり、AIGから一般社員向けに、「命の危険があるので、社員証をつけて外を歩かないように」とのメールが送られたりと、少々異常な事態が起こっています。 AIGの失態は厳しく批判されるべきところだと思いますが、最近の政治家の発言や報道は、少々一方的になり過ぎていると感じていました。その時に業界の友人が、面白い記事を紹介してくれました。それは、最近NY Timesに掲載された、AIGのCEO宛の社員による公開辞表(記事名:Dear A.I.G., I Quit!)です。 これは、AIGから高額報酬を受け取ったと言われる社員が一体どういう人達で、今何を考えているのかが分かる、なかなか興味深いものです。と言うわけで、この記事を抄訳して、ご紹介したいと思います。(以下、抄訳) >>>>>>> Lidd
・・・『偉大かつ善良な資本主義・自由市場の守護らは今週、世界の金融システムの死を鎮魂する晩さん会をひそかに開いた。ウェイターが1985年物のシャトー・マルゴーを注ぐなかで、犯人探しが始まった。』 債券トレーダー: 『グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が00年代初めの金利をあれほど低くしなかったら、こんなひどいことにはならかった。パーティーの参加者が既に酔っ払っているのに酒を注ぎ足したようなのだ』 中央銀行: 『バブルを見つけるは中銀の仕事ではないと言っておいただろう。(中略)市場はリスクの値段低く付け過ぎていると警告したじゃないか。』 『中銀が住宅保有拡大歯止めをかけようとしたらどんな大騒ぎになったか考えてみたまえ。一番の重人は住宅金融業者だと思うね。彼らがでたらめの自己申告を信じて甘い融資をたりしなければ、住宅市場危機はよそに広がらずに収束したはずだ。』 住宅金融業者:
一般的にヘッジファンドと言うと、金融業界において最も攻撃的且つハイリスクな存在と捉えられがちであり、メディアの論点も洋の東西を問わず厳しいものが多い気がしますが、7月9日・16日のBusiness Weekに、珍しく「ヘッジファンド擁護論」なるものが載っていたので、ちょっと内容をご紹介します。 この記事(原文は「In Defense of Hedge Funds」)は、20年間プライベートエクイティ業界で働いた後、ヘッジファンドのリサーチ会社を運営しつつ、大学でヘッジファンドに関するコースを教えているというEd Easterling氏との対談形式になっています。そのまま訳しても仕方がないので、QAは意訳とし、また流れも一般に疑問にもたれていそうなものから順に見てみたいと思います。 尚、私はヘッジファンドに対して投資を行う投資家の立場でも、サービスを提供する投資銀行に勤務しているわけでもない
株主が企業に対して株主リターン改善に向けた行動を迫ることを「シェアホルダー・アクティビズム」と呼びますが、最近その事例をニュースなどで目にすることが増えている気がします。その原因として考えられるのは、アクティビストと呼ばれる投資家がその存在感を高めていることに加えて、公的年金や投資信託といった一般機関投資家も、企業に対する働きかけを強めていることが挙げられると思います。 日本もこのトレンドの例外ではないようで、6月前半にUBSがシェアホルダー・アクティビズムを主題とした投資家向けカンファレンスを東京で開催した際には、多くの投資家から強い関心を集めたそうです。 そのカンファレンスでは様々な投資家が各々の投資スタイルについて説明したようですが、最も注目を集めたのは、最近日本で活発な行動をみせるSteel Partnersかもしれません。 最初に投資した企業が鉄関係であったことからその名がついた
既に日本でも報道されているかもしれませんが、10月10日のWSJが、大手プライベートエクイティファンドが政府から「独禁法」違反の疑いをかけられている、と報じていました。 WSJの記事によると、米DOJ(司法省)が、最近のクラブディールの組成におけるLBOファンド間の行動に問題がある可能性を調査している模様で、調査の対象としてKKRやSilver Lakeなどの大手の名前が挙がっているようです。 現時点ではDOJはこれらのファンドから非公式に関連情報の提供を求めている段階だそうですが、その程度でもこれだけ大きく取り上げられることに、最近のLBOファンドの躍進ぶりと、それに対して色々な疑義を差し挟みたい人々の存在を裏付けている気がします。 複数のファンドが資金やノウハウを出し合って買収を行う「クラブディール」は、LBOの大型化の進行にともなって、すっかり一般的な形態になっています。このプロセス
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