近年、中国とインドは、台頭する大国として注目されている。両国の間には、長い歴史と人口の多さという点だけではなく、市場経済化を中心とする改革を通じて高成長を遂げたなど、共通点も多い。しかし、政治の面では、「一党独裁」を堅持する中国と、「世界最大の民主主義国家」を自負するインドは対極を成している。この体制の違いは、今後の両国の経済発展にどういう影響を与えるのだろうか。 世界各国の経験から、経済発展と民主主義の発達の間には、強い相関関係が見られる。実際、ほとんどの先進国が民主主義という政治体制を採っているのに対して、多くの途上国では、一党独裁など、非民主主義体制が一般的である。しかし、民主主義が原因で経済発展が結果であるというよりも、経済発展が教育水準の向上や中産階級の形成を通じて民主主義を促すと理解すべきであろう。1980年代以降の韓国と台湾における民主化の進展は、その好例である。 民主化の度