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ブックマーク / ryoto.hatenadiary.org (27)

  • ■ - for dust you are and to dust you will return

  • Turning in the Widening Gyre - 「現世肯定主義」特有の生きにくさ

    私のお墓の前で 泣かないでください そこに私はいません 眠ってなんかいません 千の風に 千の風になって あの大きな空を 吹きわたっています 芥川賞作家の新井満が作曲し、秋川雅史が歌う「千の風になって」。良い曲ですね。 私はこの曲は最近のJ-Popの中では最良のものに属すると考えているし、新井満は良い仕事しているなあと思うけれども、新井満が訳した歌詞に関してはおそらく普遍的なものではないな、という気がしている。 この曲の歌詞が、現代の欧米や日で受容されやすいのは、現世を肯定しようとする考えが現代においては主流だからであろう。この考えを便宜的に私は「現世肯定主義」と呼びたい。 (私はキリスト教以外の宗教には詳しくないので、とりあえずキリスト教の話になるが)例えば、ローマ帝国からの迫害に苦しむ原始キリスト教徒が『千の風になって』のようなことを考え得たであろうか。江戸時代、長崎で隠れながら信仰を

    Turning in the Widening Gyre - 「現世肯定主義」特有の生きにくさ
  • ■ - for dust you are and to dust you will return

    3つの互いに関連のある話をしたいと思う。 1つめ。自衛隊は憲法9条に反するのかどうか、という問題がある。憲法9条に関する重要な判例としてまず、「長沼ナイキ事件」と「砂川事件」を挙げることができる。前者は在日の米軍、後者は自衛隊に関する判例で、ともに自衛戦力を憲法9条に照らし合わせたとき合憲になるかどうかという問題について考えるとき、看過できない判例である。長沼ナイキ事件の最高裁判決(最判57.9.9)は憲法判断を避けたが、砂川事件の最高裁判決(最大判昭34.12.16)では「我が国の主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではなのである」と自衛のための戦力を合憲としている。学説の上で、自衛隊を合憲だと考える場合、憲法9条2項の「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という文言は「侵略のための陸海

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    microtesto
    microtesto 2007/04/10
    珍しく散漫な印象。最小限の軍備の尺度に軍事費を持ち出すのはどうか。軍需産業は市場が働かないので費用より性能・効果で比較するのが筋。また当面の仮想敵国(中朝露)は核保有かつ政治リスク中~大なのだが如何。
  • ■ - for dust you are and to dust you will return

    死者の奢り・飼育 (新潮文庫) 作者: 大江健三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1959/09/29メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 227回この商品を含むブログ (107件) を見る大江健三郎の最初期の作品に「死者の奢り」という短編がある。主人公である東大仏文科の学生「僕」が、大学構内で死体洗いのアルバイトを体験する。短編は、そのアルバイト中の会話や出来事を淡々と描き出したものとなっている。 作中で「僕」は屍体処理室の教官から、死体を見ていると自分の希望が揺らがないが、と問われ、こう答える。 「僕は希望を持っていない」 希望を持たない「僕」を激しく詰る管理人に対して自分は「希望を持つ必要がないんだ」と淡々と答え、日々勉強を続ける暮らしにおいては希望を持ったり絶望を持ったりする必要がないことをおそらく40歳ほど年上の管理人に対して語りかける。 ところが、その生活には希望はいら

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  • 2007-04-06

  • ■ - for dust you are and to dust you will return

    http://www.sensenfukoku.net/mailmagazine/no51.html 石原慎太郎「宗教の無力」 http://www6.plala.or.jp/Djehuti/508.htm 定方晟『憎悪の宗教』 考えてもどうしようもないことがある。今回の話も、おそらくその「考えてもどうしようもないこと」に分類されるべきことだろう。しかし、せっかくこの日記のように、自由にものを書ける場が与えられているのだから、少し考えてみたい。 以下、「一神教は争いを引き起こす野蛮な宗教である」という言説に対してAとBという立場を想定してみる。 A 石原や定方の言う通り、ユダヤ・キリスト・イスラムといった一神教はよく争いを起こす野蛮な宗教である。それに対して仏教は神が単一でないために、一神教のように宗教戦争を起こさない。 一神教の国々の歴史を学ぶと、宗教的な対立に起因する争いの多さには驚か

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  • 2007-04-04

    http://d.hatena.ne.jp/otokinoki/20050619/p1 へー、山形浩生と巽孝之って20年前から仲が悪かったんだな。コーネル大学大学院に所属していた巽さんと東京大学の学部生だった山形さんが口論している。 しかし争いもこれだけ時間が長ければ、後何十年くらい経って巽さんが亡くなったとき、山形さんが彼の死を惜しんで「私たちは常に隣り合っていた」(ハイエクみたいに)とか言うかもしれないな……そんなことはないか。 貨幣の思想史―お金について考えた人びと (新潮選書) 作者: 内山節出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/05/01メディア: 単行購入: 3人 クリック: 36回この商品を含むブログ (10件) を見る著者は哲学者。ウィリアム・ペティやフランソワ・ケネーを始めとする経済学者・思想家たちが貨幣というものをどう捉えてきたかについて述べている。 アダム・

    2007-04-04
  • ■ - for dust you are and to dust you will return

    国民のための戦争と平和の法―国連とPKOの問題点 作者: 小室直樹,色摩力夫出版社/メーカー: 総合法令発売日: 1993/10メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 11回この商品を含むブログ (3件) を見る政治学者の小室直樹と元外務省キャリアの色摩力夫による共著。ページ数の大部分は小室によるものである。この頃、小室は渡部昇一と交流を深めており、反米・反国連の立場を強めていった。 日人の多くは、国際連合を国家間の平和をもたらす機関として肯定的に評価している。国家間の紛争を解決するための機関、ナショナリズムを解体するための機関、それが国連だ。そう私たちは考えがちである。 しかし、小室は、一般の読者にもわかりやすい語り口で、国際連合の危険性について滔々と説く。まず国連とは第2次世界大戦後、戦勝国の連合国によってつくられたものであることを述べ、単にアメリカ合衆国を中心とした利己的

    ■ - for dust you are and to dust you will return
  • 2007-03-28

    ベネディクト・アンダーソン、アントニー・D・スミス、アーネスト・ゲルナー、エリック・ホブズボーム……とナショナリズム論の系譜を遡っていくと、哲学者フィヒテの「ドイツ国民に告ぐ」とエルネスト・ルナンの「ネーションとは何か」に行き着く。 前者はナポレオンの脅威がヨーロッパ中を席巻していたときに、仏占領下のベルリンで行われた講演であり、後者はソルボンヌ大学での講演である。ヨハン・ゴッドリーブ・フィヒテがドイツ観念論の哲学者であることはよく知られている。が、私は「ネーションとは何か」で有名なルナンという学者が『イエス伝』のルナンと同一人物であることに最初は気がつかなかった。 ルナンの職は政治学者でなく、現代聖書学に大きな影響を与えた思想家である。彼の主著は『イエス伝』であり、ここでイエスの存在を神学的ではなく、学術的・歴史的に描いた。『イエス伝』はルドルフ・ブルトマンが登場する半世紀以上前の、1

    2007-03-28
  • ■ - for dust you are and to dust you will return

    知識人が亡くなるたびに「レヴィ=ストロースってまだ生きているんだって」という会話がなされることがある。昨年だとミルトン・フリードマンのときに、今年に入ってからはジャン・ボードリヤールのときにその話を聞いた。 文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースは1908年生まれで今年で99歳となる。カラヤンや経済学者のガルブレイスと同年生まれだ。他に長生きの文化人といえば、以下のような人々が上がる。流し読んで下さい。 宮顕治(1908年生まれ、批評家、日共産党議長) 芥川龍之介論(『「敗北」の文学』)で、小林秀雄を破って懸賞論文の一等に輝く。まだ生きているんだよね……この人。 今日泊亜蘭(1910年生まれ、SF作家) 言語学的な知識を生かした『光の塔』などのSFを創作し、筒井康隆などに影響を与える。 ロナルド・コース(1910年生まれ、経済学者) 話し合いによって市場経済の外部性を解決することがで

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    microtesto
    microtesto 2007/03/25
    コース氏まだ生きておられたのか。すげー。団藤先生もすげー。
  • Turning in the Widening Gyre - Blue Sky Label

    http://www.yung.jp/ 著作権切れのクラシック音楽の音源がmp3で手に入るBlue Sky Labelという有名サイト。往年の名演奏家の演奏が気軽に楽しめる非常に素晴らしいサイトで、私もこの一年間、ちょくちょく愛用している。私が特に良いと思った音源(録音の良さも含めて)を挙げてみる。 http://www.yung.jp/yungdb/op.php?id=343&category_id=7 ヴィルヘルム・ケンプの「熱情」。 http://www.yung.jp/yungdb/op.php?id=314&category_id=4 コルトー&バルビローリのショパン・ピアノ協奏曲第2番。これは私の友人も気に入っていたが、「これ以上はない」ほどにバルビローリの指揮が凄まじい。 http://www.yung.jp/yungdb/op.php?id=48&category_id=7

    Turning in the Widening Gyre - Blue Sky Label
  • ■ - for dust you are and to dust you will return

    何かの英文記事で読んだのだが、日人にアンケートを取ると、過半数が死刑制度の存続に賛成するという。一方、欧米では、過半数が死刑制度を廃止すべきだという意見を持っているようだ。私が高校生だった頃、政経の授業で「日は死刑を廃止すべきかどうか」というテーマのディスカッションを行ったことがあるが、私の周りの友人も、ほとんどが「死刑は必要だ」という意見を持っていた。重大な犯罪を犯した人を生きながらえさせておく必要はない、被害者の心情を考えるべきだ、などなど。私はこのこと自体は、別に良いとも悪いとも思わない。 ただ、死刑制度の存続・廃止を論じる際に、見逃されがちながらも重要なのは以下の点であると思う。 「死刑制度」とは言い換えれば「国家が、重大な罪を犯した国民を、合法的に殺害することができるシステム」のことである。これは、「国家が国民を合法的に殺害してはならない」という民主主義政治の原則の例外となる

    ■ - for dust you are and to dust you will return
    microtesto
    microtesto 2007/03/20
    司法制度は皆が思っているよりミスを起こしやすい構造であり、被告人を死に至らしめる程の完全性を持ち得ない、よって死刑を廃止し終身刑を創設すべき、という俺様理論をコメントに残してみる。
  • 2007-03-14

  • 2007-03-13

    はてなでは、「非モテ」をテーマに語っているダイアリーが多く、時にうんざりさせられる。論調としては主に二通りあって、「非モテを自称する書き手が、恋愛至上主義を批判する、愚痴る」というタイプと「非モテを自称する方々が一般的にあまり頭が良くないのを利用して、徹底的に非モテを叩いて諧謔心を満たす」というタイプに分けることができる。普段、鋭敏な分析を行っているダイアリーが、後者をやると、がっかりするんだよね。後、私が苦手な某有名ダイアリーも(こちらは鋭敏な分析もないけど)、非モテ叩きがさぞお好きのようで。反論しない相手を散々に叩いといて、自分はリベラルとかぬかしている。どことは言わないけどさ。 しかし、この「非モテ」という言葉、英語にどう訳すのだろう。"unpopular among boys/girls"が「もてない」の直訳としてとりあえず頭に浮かぶけれども(イギリス人の教授は「もてる」を"pop

    2007-03-13
  • 2007-03-08

    letempさんがはてなに戻って来てくれた。嬉しい。後は、HNakaさんが戻ってきて下されば……。 昨日のエントリに寄せるふたこと。 1驚きました。佐伯啓思について書いたときに6usersにブックマークされたのも驚きでしたが、今回は38 67usersも。 >MellowMoonさん トラックバックありがとうございます。エントリを興味深く読ませていただきました。 2アーレントの『人間の条件』について、補足。 プラトンが奴隷を軽蔑したのは、彼らが奴隷のような低い身分で生まれながらも自殺せずに生きながらえていたからであるという。活動を最重要視する古代ギリシアにおいては、活動をしない者は生きている価値はない(ちょうど「労働しない者は生きている価値はない」というように)という考え方が可能だった。このような形での、プラトンの奴隷への軽蔑は、キリスト教以降は不可能になる。カトリックが自殺を殺人よりも重

    2007-03-08
  • ■ - for dust you are and to dust you will return

    の高校生や大学生に、「なぜ人々を平等にしようとした社会主義は結局失敗してしまったのか」という問いを行うと、おそらく圧倒的に多い回答が次のものだろう。「社会主義では、お金が平等に分けられるので、人々は努力をしなくなった。だからみんな怠けてダメになった」この見解は、日では通俗化されたもので、「だから競争の中で努力しなければいけないんだ」という日人の勤勉な意識が透けて見える。 同じ質問をヨーロッパ人にすれば、どう回答するだろうか。 私は留学中に「ソ連などの社会主義国が失敗した原因は何か」という問いをヨーロッパ人に対して3回ほど行ったが、各人に差はあれど、「失敗した社会主義国」の代表格であるソ連が結局は独裁の横行する危険な国家になってしまったことに言及した。結局は、社会主義はスターリンの粛清を生み出してしまった。それは社会主義者の一部が(もしくは社会主義者の多く)が暴力的で革命や暴動を好む

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  • 2007-03-04

    タイトルを試験的に変えてみます。"Turning and turning in the widening gyre."(Yeats "The Second Coming") 四元康祐という優れた詩人に「パリの中原」という作品がある。 パリのルーブル美術館を訪れた語り手が、そこで中原中也に話しかけられる。「僕、中原中也って云うんだ。おじさん、君の名は?」語り手と中原は話しながらパリを歩く。フランス詩が好きな中原は生前、「英米の詩は読む価値がない」と言い放ったが、語り手はエリオットとヒーニーの仏語訳を彼に手渡し、英米の詩もそれほど悪いものではない、と言う。 ユーモアに溢れた短い詩で、「中原と語り手」の関係は一見「ヴェルギリウスとダンテ」の関係に似ているけれども(作者には"Beatrice, who?"という詩もある)、『神曲』地獄編とは雰囲気は全く違って、文体も内容も軽快だ。 以下、私の勝手な

    2007-03-04
  • ■ - for dust you are and to dust you will return

    優生学と人間社会 (講談社現代新書) 作者: 米昌平,ぬで島次郎,松原洋子,市野川容孝出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/07/19メディア: 新書購入: 2人 クリック: 60回この商品を含むブログ (46件) を見る「優生学」と聞くと、多くの人は、ヒトラーのナチス・ドイツや、渡部昇一の「神聖な義務」のような、圧倒的にマイナス・イメージの事柄を思い起こすだろう。私もこのを読むまでは、「優生学」を専ら排除すべきものとして見なしていた。しかしこの思想は20世紀医学・行政に密接に関っており、簡単に排除可能なものではないのである。 書は、20世紀において「優生学」が様々な国において様々な形で国家の政策に採用されてきたことを明らかにしている。優生学というとドイツのイメージが強いが、むしろ第一次世界大戦までは優生学思想はあまりドイツでは盛んではなかったらしく、むしろ社会福祉政策を重視

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  • ■ - for dust you are and to dust you will return

    神の慰めの書 (講談社学術文庫) 作者: マイスター・エックハルト,相原信作出版社/メーカー: 講談社発売日: 1985/06/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 17回この商品を含むブログ (9件) を見る中世の神学者エックハルトの説教集。エックハルトは、13世紀のアルベルトゥス・マグナスやトマス・アクィナスを輩出した、ドミニコ会に所属しており、現在ではシエナのカタリナとともに神秘主義の思想家としても知られている。 こういう13・14世紀に書かれたCanonial Textsを読むときには、ピンセットで対象を扱うように客観的でありたいなどと思っていたのだけど、私にとってこの書はそこまで客観的に読めるものでもなかった。アウグスティヌスの『告白』が 遠き時代に書かれた書として私に畏敬の念を抱かせる書だとしたら、エックハルトの『神の慰めの書』は、それこそ教会にいる優れた神父の説教のよ

  • 2007-02-22

    国際政治のキーワード (講談社現代新書) 作者: 西川恵出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/09メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る第一級の国際関係論の入門書である。著者は毎日新聞の記者であり、『エリゼ宮の卓』でサントリー学芸賞を受賞している。ジャーナリストの書くは、自分の体験をもとにしたものが多いが、このもその例外ではない。ただ、個人的な体験に対する叙述は一部であり、多くは書物や新聞で得たであろう該博な知識によって国際政治を語っている。著者は「客観的事実と呼応させることによって、国際政治が身近で血の通ったものとして読者に受け止められるよう努めた」と述懐しているが、この試みは、私は高いレヴェルにおいて成功していると思う。さすがはサントリー学芸賞を受賞しただけある。別に私は毎日新聞を高く評価する者ではないが、この著者はもっと評価されてもいいと思う。 全編が面

    2007-02-22