その2:ドバイとアブ・ダビの微妙な関係 ドバイのマクトゥーム首長家はバニヤースと呼ばれる部族の一支族であり、19世紀前半までアブ・ダビに住んでいた。そのアブ・ダビは18世紀以来同じバニヤース族であるナヒヤーン家が支配していた。1833年、マクトゥーム家と一族800人はドバイに移り現在のドバイ首長国を築いた。つまりマクトゥーム家もナヒヤーン家もルーツは同じバニヤース族である。アラブ人は部族の血のつながりを何よりも重視する民族であり、従ってドバイとアブ・ダビはお互いに特別な親近感を抱いていると言える。 このためドバイとアブ・ダビは、一方が困れば他方が助けるのは当然のこととされ、このような意味でドバイは今回の金融危機でアブ・ダビの支援を信じて疑わなかったのである。金融危機が差し迫った先月(11月)初め、ドバイで行われた投資フェアで、出席者の一人からアブ・ダビの支援に疑義を差し挟む質問が出た時
(2009年10月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 湾岸諸国の経済は来年にならないとプラス成長に転じない見通しだが、石油資源が豊富なアブダビ首長国では既に、回復の兆しが見え始めている。来月開催されるアブダビ初のフォーミュラ・ワン・グランプリでは、ビヨンセによる開幕コンサートをはじめ、週末を通して豪勢なイベントが開かれる。 隣国であるドバイ首長国との対比は、これ以上ないほど著しい。アブダビが盛大なパーティーを演出する力をひけらかす傍ら、天然資源に乏しいドバイは依然、ぼろぼろに傷んだ財政問題と取り組んでいるのである。 800億~900億ドルの債務を抱え込んだドバイ ドバイが財政再建を図ろうとする中、近く予定されている100億ドルの政府債発行は、投資家の心理を計る重要なバロメーターになるだろう。 政府の公式数字はほとんどないが、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の試算によ
(注)本稿はHP「石油と中東」に上下一括掲載されています。 2.タナボタのロシア OPEC総会の二日後、ロイター通信モスクワ支局から一つのニュースが流れた。ニュースのタイトルは「増産についてロシアはOPECに謝罪(apologies)の必要は無い」と言う刺激的なものであり、OPECが生産制限を続ける中で、同国の8月の月間平均生産量は史上最高の997万B/Dに達したことを伝えた。そこにはセルゲイ・シュマトコ石油相の「わが国はOPECに何ら義務は負っていないし、何の約束をしたこともない」と言う談話が添えられていた。 確かにOPECメンバーではないロシアは生産削減に同調する必要は無い。しかしロシアは昨年12月及び今年3月のOPEC総会にオブザーバーとして参加しており、原油価格引き上げのために同じ生産者としてOPECが苦闘している様子を見ている。と同時にこれまでのロシアの言動を振り返ると、減産に対
(注)本稿はHP「石油と中東」に上下一括掲載されています。 9月9日、オーストリアのウィーンで第154回OPEC総会が開かれ、昨年12月総会で決議された生産枠を維持することとなった。8月以降WTI原油価格は60ドル台後半、時として70ドルを超える状況にあり、OPEC加盟国はこの価格水準にほぼ満足している。一方需要は米国、中国で景気回復の兆しが見られるものの、その他の欧米、日本、アジア新興工業国などは依然不透明である。 原油を減産するべきか、はたまた増産するべきか、OPEC加盟国に迷いが見られた結果が今回の現状維持の決定に至ったと考えられる。一方、そのようなOPECを尻目にロシアは大幅な増産を行なっており、今やサウジアラビアを上回る世界一の生産量を誇っている。ロシアはこれまでOPEC総会にオブザーバーとして出席し、少なくともOPECの決定を尊重する姿勢を示していたが、今では自国の増産について
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