2000年代の始めに、あるベンチャー企業でCFOをしていた時の話だ。 その会社はVC(ベンチャーキャピタル)や金融機関、事業会社から10億円近い出資を受け、近い将来のIPO(株式の新規上場)間違い無しと期待されていた銘柄だった。 しかし目先のキャッシュフローは大幅なマイナス続きで、経営は厳しい。 なるべく経費を圧縮し資金繰りを安定させたかったが、一方でIPOのために単価の高い専門知識を持つ幹部を雇う必要がある。 結果、SO(ストックオプション)のインセンティブを使い、何人かの幹部を採用した。 目先の報酬は多く出せないが、その分IPOの時にたっぷり儲けてね、という“鼻人参”だ。 しかしその目論見はほとんど機能せず、インセンティブに繋がる手応えを感じることはほとんどなかった。 * ところでこの、ベンチャー企業という言葉とセットで語られることが多いSO。 果たしてどれだけの人が正確に、その仕組み