世界は今、大きな転換点にある。地球環境の劣化、地域間格差、国際紛争の複雑化など地球規模の課題が顕在化する中で、資本主義や民主主義といったこれまで現代社会を支えてきた基本的な仕組みそのものが揺らいでいる。また、急速に進化するデジタル革命は、産業・社会の構造を知識集約型へと大きく変貌させている。大学はこのパラダイム・シフトの中で、人類社会をよい方向に導くために、どのような役割を果たせばよいか――。 2015年4月に第30代東京大学総長に就任した五神真氏は、同年10月に「東京大学ビジョン2020」を発表した。異分野間の対話と連携、さらには摩擦や衝突もシナジーに変えるという「卓越性と多様性の相互連環」こそ、東京大学のあるべき姿だと強調する。その一環として、理系と文系が境界を超えて結集する「次世代知能科学研究センター」や、「スポーツ先端科学研究拠点」の設置など多くの取り組みを進め、「大学が社会変革を