銃剣として、命綱として ラジオは複数の顔を持つ。国民を戦争へと追いやる銃剣。災害時の命綱。そして、日常の中の居場所。 戦後70年の今年は、戦時下でラジオが果たした役割について触れずにはいられない。まず2冊の本を紹介しよう。竹山昭子『太平洋戦争下 その時ラジオは』(朝日新聞出版・品切れ)および坂本慎一『ラジオの戦争責任』(PHP新書・同)だ。 ■「右と言えば右」 敗戦の日、天皇により終戦を告げる放送(玉音放送)が行われたのは周知のことだが、開戦の日にも、官邸からラジオで次のように呼びかけられている。「政府は放送によりまして国民の方々に対し、国家の赴くところ、国民の進むべきところをはつきりとお伝へ致します。国民の方々はどうぞラジオの前にお集りください」「放送を通じて政府の申し上げますることは政府が全責任を負ひ、率直に、正確に、申し上げるものでありますから、必らずこれを信頼して下さい、そして放送