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ブックマーク / kananaka.hateblo.jp (7)

  • 世界で一番小さな海。 - kananaka's blog

    物語はいつも、呆気ないほど微小なかすり傷から始まるものだ。けれど、それが当にただの<擦り傷>か、あるいは癒えかけた<古傷>の疼きか、それとも真皮に達する新たな<深手>であるか知るのには、少しの時間が必要である。少なくとも私の場合は、そうだった。幼いときから、今になるまでずっと変わらずに。今宵、ここにしたためるエピソードにおいても、それは同じ。深夜の緊急連絡を受けたとき、私は不謹慎にも「あら、終に…」と小さな笑い声すらあげたのだから。 そのとき私は、熊(ぱんだ)柄のダンボールが堆積する深山の奥で草臥れ果て*1、折しも発掘した一冊の句集を読み耽っていた。タイトルは『癌め』(江國 滋、角川書店 (1999/04) )。 作家であり評論家であり俳人でもあった江國は、検診で堂癌の告知を受け、癌センターへ入院。十時間余りの大手術、水一滴飲めぬ苦しさを越え、最期を迎えるまでの半年(187日)間に、

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    nagonagu
    nagonagu 2010/12/09
    よっしゃ。がんばれ。
  • ヌコにもマツタケ。 - kananaka's blog

    庭先でこぼれんばかりに咲き誇るキンモクセイの芳香が、秋の深まりを告げている。そういえば最近、澄み渡る秋の空を見ていない。理由は単純、頭上を木立に覆われたアカマツ林の中、筆者が足元ばかり見て歩いているせいである。 「花より団子」とはよく言ったもの、今年も山の手の我が家にキノコの季節がやってきた。盛夏を過ぎ、朝晩の最低気温が10度を下回り始めれば、山仲間たち(含・筆者)は一斉にそわそわ、「出るだろうか」「出たらしいぞ」の噂が飛び交い始める。何が「出た」かって?―――勿論、キノコの王様・マツタケである。 今年の夏は、気象庁もお墨付きの「異常気象」だった。七月の降水量こそ多かったものの、八月は連日の真夏日を記録。そして、肝心のキノコの生育に影響を及ぼす降水量は平年の三分の一程度しかなかった。近年稀に見るマツタケの凶作年となった昨年と比して、決して楽観できる状況ではない。 ところが待ちかねたシーズン

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    nagonagu
    nagonagu 2010/10/18
    自分だけよければいいと思ってるんですか?あなたが自慢し見せびらかすことで、どれほどの人が自らの境遇を不幸と感じているかわかりますか?クール宅急便で送る住所を教えるのでメルアド教えなさい!
  • 結ぶこころ 繋がるいのち。 - kananaka's blog

    今週のお題:○○料理が好き! かつて母が母であった頃、彼女が子供たちのために結んだおむすびは、冷えてなお、ほっこり温(ぬく)かった。行方知れずとなった父母に代って、老いた育ての母が持たせたおむすびは、ほんのり越後の海の味がした。生れて初めて自分で丸めたおむすびは、呆れるほど歪(いびつ)で握りも甘い代物だったけれど、泥団子つくりの名人を小さな料理人へ変えた瞬間となった。田美奈子と同じ病で此の世を去った恋人が、いつか元気になったとき最初にべたいと望んだのも、「おむすび」だった。定番のシャケやタラコを中に詰め、外側をしっかり海苔で包(くる)む、漆黒のおむすび*1だった。 べ終った駅弁の外側を再利用したおむすび弁当。 改札を抜けると、手作りおむすびの店舗が目に入った。大きな切出し窓の向こうで白衣の男性店員が2名、かたち良く飯を結んでゆく。職人的な繊細な指さばきが、店内の視線を集めていた。 ひ

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    nagonagu
    nagonagu 2010/06/17
    おめでとう!
  • tips: 星めぐりの歌。 - kananaka's blog

    ※珍しく更新頻度が高いと思えば、今日はちょっとしたご案内を^^; Astro Arts『2010年4月9日 水星が東方最大離角』より 水星は太陽系で最も内側の軌道を回る惑星であり、地球から見ると太陽から大きく離れることがない。このため最も明るいときでマイナス2等程度となるにもかかわらず、なかなか見る機会に恵まれない*1。「地動説」を提唱した天文学者コペルニクスですら、生涯その姿を見ることが出来なかったと云われている*2。 しかし、この水星が太陽から最も離れる東方最大離角(27.8度)を取る2010年4月9日の前後一週間は、お天気にさえ恵まれれば、日没後の西の地平線近くで比較的容易にその姿を確認することができる。特に今の時期は、すぐ左に位置する宵の明星・金星を目印にできるため、観測の好条件が揃う。 日没から約一時間が勝負だ。ちなみに、水星と金星の二つの惑星を同時に観測できるのは、数年に一度。

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    nagonagu
    nagonagu 2010/04/12
    cd持ってるよ。
  • ことばに見放されるということ。 - kananaka's blog

    ことばを私たちがうばわれるのではなく、私たちがことばから見放されるのです。ことばの主体がすでにむなしいから、ことばの方で耐えきれずに、主体であるわたし達を見放すのです。 (『海を流れる河』"失語と沈黙のあいだ"より引用) そう日社会へ警鐘を鳴らしたのは、詩人石原吉郎(1915-1977年)である。彼は24歳で召集され、敗戦後ソ連のラーゲリ(強制収容所)にて抑留、その後スターリン死去による特赦で帰国を果たすまでの8年を、シベリア各地を転々と過ごした。懐かしい祖国の土を踏んだ時、石原はすでに38歳になっていた。 石原が身を投じた最北8年の歳月は、私の想像も及ばぬ世界である。しかし、彼が遺した散文からその苛酷さを想像することは可能だ。 十七のときに抑留され、ハバロフスクで二十二になったこの<少年>が、声をころして泣いているさまに、私は心を打たれた。泣く理由があって、彼が泣いているのではなかった

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    nagonagu
    nagonagu 2009/12/19
    “ことばのすべてが虚しく、実態を伴っていないからだ。血が通っていないからだ。それが、実態を知らない者のことばの限界であるからだ”御意
  • 山の手レストラン -神無月レシピ- - kananaka's blog

    kananaka  [きのこ]  2009/10/18 採集生活者にとって、この時期は企業の年度末並の忙しさ。 まだ自力でキノコの見分けができないので、勉強になります。 上は、とある雑系ネコさまのエントリ【採集生活】のブックマークに書き込んだもの。採集生活者の神無月はほんたうに忙しい。なにせ近隣の里山は少雨の影響で乾き切っており、秋ならではの味覚に舌鼓を打ちたければ、はるばる県境まで車を駆らねばならない。週末のみの活動には限界があるため、平日はまだ日が昇る1.5時間前より防寒対策を整え出発(当地の未明の気温はすでに3度を下回る)、曙光が差し込むまで、持参の夜兼朝の握り飯を頬張りつつ車内で待機。これは、そうでもしなければ日中の業に差し支えるということと、競合者に出くわすのを避けるためで、決して誰かの所有林に夜陰に乗じて忍び込んでいるわけではないので、念のため。 競合者はヒトとは限らな

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    nagonagu
    nagonagu 2009/10/19
    いいなぁ、なんだか森の奥に茸源郷でもありそう。
  • 蛙が唄うモノフォニー。(後編) - kananaka's blog

    こんな昔話を綴っているのには訳あって、宮城康博氏の『沖縄ラプソディ <地方自治の旨>を求めて』を、年をまたいで、ようやく読了し、沖縄のこれまでの歴史と、今置かれている状況に、あまりに無知で疎すぎた自分を、深く恥じたからだ。特に、第一部の「こどもたちへ」の章では、複雑で矛盾する現実に揺らぎつつも、決して譲れない一線を伝えようとする、筆者の真摯な姿勢に心打たれ、何度も涙腺が緩んだ。 書の帯に、「生きる場所を守るために地方自治に賭ける」と書かれている。この人生を、真に自分が主人公として生き抜くためには、人の顔色をうかがってばかりではいけないだろうし、人に意見を求めるだけで、自ら判断できない姿勢もいけないだろう。たとえ失敗しても自分の判断で動ける、その意味で「自立」は、個人の人生においても、地方政治においても、重要なキーワードだと感じる。 その一方で、他人は私の期待を満たすために生きているわけ

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    nagonagu
    nagonagu 2009/02/12
    まいった。後ほどしっかり応答したい/しっかりではないがコメントした。
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