米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、政府と沖縄県の主張が全くの平行線である以上、司法の場を決着の契機とするのは有力な手段だろう。 政府は、地方自治法に基づき、翁長雄志知事を相手取り、辺野古の埋め立て承認取り消しを撤回する代執行に向けて、福岡高裁那覇支部に提訴した。 米軍基地に関し、政府と沖縄県の法廷闘争は20年ぶりだ。来年春にも判決が出るとみられる。 翁長氏は、石井国土交通相の是正勧告・指示を拒否している。提訴はやむを得ない判断だ。 訴状は、承認取り消しにより、普天間飛行場の危険性除去や沖縄県全体の基地負担軽減が実現できず、日米関係に亀裂が入るなどの不利益が生じる、と指摘した。 辺野古移設の騒音、環境への影響などの不利益は小さく、取り消しは違法だ、とも主張する。 妥当な内容だ。勝訴すれば、政府は、代執行により、県の承認取り消しを撤回できる。 翁長氏は、「銃剣とブルドーザーによる強制接収を思
中谷防衛相は16日、沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事、稲嶺進名護市長と県内で相次いで会談し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に理解を求めた。これに対し、両氏は反対の立場を鮮明にし、議論は平行線に終わった。 中谷氏は、稲嶺氏との会談で「(市街地に囲まれた)普天間飛行場の危険性を除去するためだ」と移設の意義を強調した。「代替施設は普天間に比べて機能を縮小する」として、沖縄の負担軽減にもつながると訴えた。稲嶺市長は「負担軽減にはほど遠い。県民世論から、受け入れるのはとても困難だ」と述べた。 翁長氏との会談では、中谷氏が在沖縄米軍による抑止力の重要性を説いたのに対し、翁長氏は「弾道ミサイル技術が発達しているなかで抑止力にはならない」と反発した。
全国で所在を確認できない乳幼児が約4000人に上ることが読売新聞の調査で判明したことを受け、厚生労働省は、所在の分からない子どもについて、初めての全国調査を行うことを決めた。 18歳未満を対象に、3月末以降、保健師らが直接会って所在を確認するよう自治体に求める。所在不明児の虐待死事件が相次いでおり、安否確認を徹底して虐待防止につなげる考えだ。 調査は自治体を通じて2段階で行う。今年1月1日時点で住民票があるのに、乳幼児健診を受けていないなど所在を確認できない子どもがいれば、その人数を年齢別に集計させて5月末までに報告させる。自治体職員らが家族に会えても、子どもに会えない場合は不明人数に加える。 その上で、所在不明の子どもの追跡調査を行い、10月末までに再度、結果を報告させる。所在を確認できない理由や課題も挙げてもらい、所在を突き止められる態勢を整える。 厚労省は自治体担当者を集めた26日の
日米両政府が、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の空中給油機KC130部隊を、2014年夏に米軍岩国基地(山口県岩国市)へ移駐させる方向で調整に入ったことが29日、わかった。 複数の政府関係者が明らかにした。普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移設など在日米軍再編計画に進展が見られない中、政府は目に見える形での沖縄の負担軽減策として、普天間移設に先駆けて同部隊を早期に移駐させる必要があると判断した。 10月3日に東京で開催される日米の外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、沖縄の負担軽減策として「早期の問題解決」の方針を確認したうえで、山口県と岩国市に理解を求める。
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が一連の問題発言への批判を理由に断念した米国視察について、市民グループ「見張り番」が最大180万円に上る渡航関連キャンセル料の公費支出を追及する住民監査請求を行う方針を固めた。 計画では、6月中旬にサンフランシスコ、ニューヨーク両市長との面会のほか、企業や学校の視察など5泊7日で約20か所を訪問。渡航費は総額約480万円を見込んでいた。 節約のため、橋下氏以外は格安チケットを確保していたが、訪米中止が決まったのは渡航2週間前に迫った今月28日。渡航費のキャンセル料について、橋下氏は「法的に問題ない」として公費支出する意向だ。 見張り番の代表世話人、辻公雄弁護士は、「キャンセル料は、自身の失言が原因で、公費を充てるのはおかしな無駄遣い。無駄の削減を訴えて住民サービスを切ってきた橋下氏が、自分に甘いのは許されない」と批判する。公費によるキャンセル料支出が確認
自民党の高市政調会長は23日午前、東京・九段北の靖国神社を春季例大祭に合わせて参拝した。 高市氏は参拝後、記者団に対し、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外交相が麻生副総理らの靖国参拝を理由に訪日を中止したことについて「日本の国策に殉じて尊い命をささげた方を、どのように慰霊するかは日本国内の問題だ。外交問題になる方がおかしい」と述べた。 高市氏は超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(会長・尾辻秀久前参院副議長)のメンバーとともに、168人で一斉参拝した。内訳は自民党134人、民主党5人、日本維新の会23人などで、同会によると一斉参拝の人数としては統計がある1989年以降、最多。政務三役では加治屋義人農林水産副大臣、井上信治環境副大臣らも参拝した。
自民・石破幹事長「民主党政権の間に沖縄との信頼関係が崩れたので、我々は『まず、話を聞いてくださいな』という環境づくりに取り組んでいる。安倍首相と沖縄県知事との会談は、かなりの成果があった。信頼できる相手と話ができる所までは来た」(国会内での記者会見で)
安倍首相は30日のTBSの番組で、今後の原子力発電所建設について、「(東京電力)福島第一原発の事故原因等々を冷静に見極める」とした上で、「新たに作っていく原発は、40年前の古いもの、福島第一原発とは全然、違う(ものにする)。国民的な理解を得ながら新規に作っていくことになるだろう」と述べた。 条件付きながら、新規建設への意欲を初めて示したものだ。 首相は同じ東北の原発であっても東日本大震災の被害の程度に差が出た点を調べる考えも示し、「福島第一原発は津波を受けて電源を確保できなかったが、福島第二原発は対応した。(宮城県の東北電力)女川原発もそうだ」と指摘した。 自民党の衆院選政権公約は今後の原発政策については「10年以内に、将来にわたって持続可能な電源構成のベストミックスを確立する」との表現にとどまっていた。ただ、首相は就任前、新設を認めないとした民主党政権の方針について「もう一度見直していき
日本未来の党 「卒原発」には国政を託せない(11月29日付・読売社説) 国力を衰退させる「脱原発」を政治目標に掲げる政党に、日本の未来を託せるだろうか。 日本未来の党が、正式に発足した。代表に就任した嘉田由紀子滋賀県知事は「卒原発プログラム」を作成し、徐々に原発を減らして10年後をめどに原発ゼロにする意向を示した。 「脱増税」「脱官僚」「品格ある外交」など抽象的な言葉ばかりを掲げている。経済や社会保障、安全保障といった重要なテーマでさえまだ政策がない政党だ。 嘉田氏が「この指止まれ」と呼びかけたように見えるが、実態は国民の生活が第一の小沢一郎代表や、民主党を離党して新党を結成した山田正彦元農相らが根回しをして、合流を決めたものだ。 空疎なスローガンと、生き残りのために右往左往する前衆院議員たちの姿には、政治家の劣化を痛感せざるを得ない。 嘉田氏が掲げる「卒原発」は脱原発と大差はない。それだ
沖縄米兵事件 再発防止へ実効性ある対策を(10月19日付・読売社説) 卑劣で悪質な犯罪で、日米同盟にも悪影響を及ぼしている。 米軍は、実効性ある再発防止策を早急に講じるべきだ。 沖縄県中部で、未明に帰宅中の成人女性が米海軍兵2人に暴行された。 沖縄県警は2人を集団強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕した。厳正な捜査を求めたい。 2人は米テキサス州の基地所属で、今月上旬に来日し、犯行当日中に離日する予定だった。 8月には、那覇市で在沖縄米兵による強制わいせつ事件が発生したばかりだ。こうした不祥事が繰り返されるようでは、日本の安全保障に欠かせない米軍の沖縄駐留が不安定になろう。 沖縄県の仲井真弘多知事が「正気の沙汰ではない」と憤るのも無理はない。米軍による具体的な犯罪抑止策の徹底が急務である。 現在も、在沖縄米兵には、米軍基地外での飲酒制限や、沖縄の文化・歴史に関する講習などが義務づけられているが、
河野談話 「負の遺産」の見直しは当然だ(8月29日付・読売社説) 韓国の李明博大統領の竹島訪問に関連し、いわゆる従軍慰安婦問題が再燃している。 その根底には、慰安婦問題に関する1993年の河野官房長官談話があることは否定できない。政府は、これを見直し、新たな見解を内外に表明すべきである。 野田首相は参院予算委員会で、河野談話を踏襲するとしながらも「強制連行の事実を文書で確認できず、慰安婦への聞き取りから談話ができた」と説明した。松原国家公安委員長は談話を見直す観点から閣僚間の議論を提起した。 河野談話は、慰安婦の募集について「軍の要請を受けた業者が主として当たった」とした上で、「本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあった」と記した。 しかし、軍や官憲が慰安婦を強制的に連行したことを示す資料は発見できなかった。元慰安婦の証言のみが根拠とされ
森本防衛相は29日、沖縄県を訪問し、仲井真弘多(ひろかず)知事、米軍普天間飛行場を抱える同県宜野湾市の佐喜真淳(さきまあつし)市長とそれぞれ会談した。 森本氏は、4月にモロッコで起きた米軍の新型輸送機MV22オスプレイの墜落事故調査をめぐり、「人的要因」などと日本政府が独自分析した検証結果を説明し、普天間配備への理解を求めた。 森本氏は県庁で行われた仲井真知事との会談で「日米合同委員会で安全性を確保する話し合いをしている」と述べ、10月に予定されるオスプレイの運用開始にあたり、米側に安全確保を最大限働きかける考えを強調した。 これに対し、知事は会談後、県庁で記者団に「安全が保証でき、県民を納得させることができるか(が重要だ)。頭からノーとは言っていない」と語った。
大阪府泉佐野市の千代松大(ひろ)耕(やす)市長は28日の定例記者会見で、成人式など市主催の行事で国歌を起立斉唱しない来賓に対し、翌年から招待状を送らない考えを示した。 千代松市長は、小中学校の卒業式などで一部の来賓が起立していない点を問題視。市が主催する行事では国旗を掲揚したうえで、出席者に国歌の起立斉唱を求めていくとした。 千代松市長は「国歌の起立斉唱は国民として当たり前のこと。失礼な来賓は、出席をご遠慮いただきたい」と述べた。国歌斉唱などを徹底させるため、必要ならば条例の制定も含めて検討するという。
いわゆる従軍慰安婦問題が日韓の論議となる背景には、宮沢内閣当時の1993年の河野洋平官房長官談話が、日本の官憲による強制連行があったかのような印象を与えた問題がある。 慰安婦問題が日韓の政治・外交問題化したのは、一部全国紙が90年代初頭、戦時勤労動員だった「女子挺身隊」について、日本政府による“慰安婦狩り”だったと全く事実に反する報道をしたことが発端となった。韓国世論が硬化する中、政府は資料の調査と関係者からの聞き取りを行い、宮沢内閣の加藤紘一官房長官(当時)が92年、旧軍が慰安婦募集などに関与していたとする調査結果を発表した。しかし、強制連行の裏付けとなる資料は見つからなかった。 韓国側の批判はなお収まらなかったため、宮沢内閣は翌93年、慰安婦の募集について「官憲等が直接これに加担したこともあった」などとし、「おわびと反省」を表明する河野談話を発表した。韓国側に配慮し、あいまいな表現で政
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