■ 掠奪都市の黄金 (創元SF文庫)(フィリップ リーヴ) 傑作『移動都市』の続編で、トムとヘスターの2年後を描く。もう2人ともハイティーンなので、ジュヴナイルと呼ぶのはためらわれるなぁ。ヤングアダルト?(ってもう死語?) 『移動都市』が、世間知らずで正義感の塊のようなトムを軸に話が進むのに比べると、本書はヘスターのネガティブな情動が駆動力なので、なんだかドロドロな感じもして、そういう意味でもジュヴナイルっぽさは影を潜める。いやぁ、嫉妬に駆られた女は何するかわかんねぇよ、こえぇぇ。 だからと言って、面白くないわけじゃなくて、フィリップ・リーヴのストーリーテリングは相変わらずすごい。ぐいぐい引き込んで、あっという間に読ませてくれる。このシリーズの残り2作が楽しみだ。 ところでヒロインのヘスター、顔にひどい傷跡がある片目の醜い少女ということになっているが、前作では話の後半になるとぜんぜん気にな