高齢化に伴い、認知症が原因で行方不明になる人が増えている。昨年は全国で約一万七千五百人に上り、七年連続で過去最多を更新した。各自治体は居場所が分かる衛星利用測位システム(GPS)や、スマートフォンのアプリを駆使して捜索するなど、あの手この手の対策を取っている。専門家は地域ぐるみの見守り態勢づくりを訴える。 (細川暁子) 認知症の黒須ひろ子さん(71)は、六月に横浜市の自宅を出てから行方が分からない。四カ月以上捜し続けている長男の裕章さん(44)は「こんなに見つからないなんて…」と声を落とす。 ひろ子さんは要介護5で、夫(74)と次男と三人で暮らし、週三回デイサービス(通所介護)を利用していた。二年ほど前から、自宅にいるのに「ここは自分の家ではない。本当の家に帰りたい」と訴えるなど、認知症の症状が出始めた。 夫は玄関の手の届かない位置に鍵を付けて注意していたが、ひろ子さんは夫の目を盗み、窓か