『グラップラー刃牙』に、鎬昂昇(しのぎ こうしょう)と言う空手家が登場する。彼の必殺技のひとつが、「紐切り」である。鍛え抜かれた空手の貫手で、体内の神経、血管、腱などを外へ引っ張り出し、切ってしまう技である。 本土では、まだ未知の武術であった頃の唐手は、「貫手を体内に刺して、内臓を掴み取る。」と信じられており、その辺りをルーツにする技であることは間違いない。 しかしである。医学や生物学を本格的に学んだ者でなくても、眼球と脳が視神経で直結されていることぐらいは、理解できる。頸動脈や胸鎖乳突筋あたりに、視神経がある訳もなく、首の左右付近で「紐切り」しても、目が見えなくなるはずがない。むしろ、もっと違う部分に障害が出るだろう。それに、「紐切り」ができるほどの高度な技術を有する達人ならば、直接眼球を狙う方が手っ取り早い。眼球は、皮膚の下にある訳ではない。「紐切り」は、まわりくどい。 このような表現