要点: 1. 植物は鼻がないのに匂い物質を感じることができるという事実は1980年代から報告されていますが、そのメカニズムは不明でした。タバコをモデル植物として用いて匂い感知機構を調べた結果、匂い物質と結合して遺伝子発現制御に関わる転写制御因子を特定しました。 2. 植物においては、動物がもつ嗅覚受容体とは異なり、転写制御因子が匂い物質を感知する「匂い受容体」として機能している可能性を初めて示唆します。 3. 本研究成果を応用することで、香りを利用して食害に強い植物の作製が可能になることが期待されます。 成果の概要: 自然環境下において、昆虫に食べられた植物の周辺に生育している植物は、昆虫に食べられにくくなることが報告されています。近年、食害を受けた植物から放出される「匂い物質」によって、周囲の健康な植物にこのような変化が引き起こされていることが明らかになってきました。しかし、鼻や神経系の