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ハイエクの検索結果1 - 40 件 / 41件

  • ノア・スミス「自由民主主義はこんな風に21世紀を失うかもしれない」(2024年5月22日)|経済学101

    情報と自由に関するちょっとゾッとするささやかな理論自由主義が勝利の凱歌をあげている時代に,ぼくは育った.自由民主主義が勝利して,20世紀をわがものにした――帝国主義もファシズムも共産主義もみんな崩壊して,20世紀末には,アメリカとアジア・欧州の民主主義同盟国が経済面でも軍事面でも上り調子だった.中国ですら,依然として独裁国家ではありつつも,この時期に経済と社会の一部を自由化した.フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』に鼻白んだ学者たちも,総じて,資本主義および/あるいは自由民主制が平和・幸福・繁栄を育んだという主張に好意的だった.「勝利したのは他でもなく自由だ」という感覚が,圧倒的に強かった――思っていることを語る自由,好きなように生きる自由,のぞむままに売り買いする自由こそが勝利したんだという感覚が大勢を占めていた. それからほんの20年後のいま,「自由こそが勝者」という考えは,深い疑い

      ノア・スミス「自由民主主義はこんな風に21世紀を失うかもしれない」(2024年5月22日)|経済学101
    • 今のドル円下落は円相場崩壊前の最後の円高サイクル | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

      株式市場、特に日本株の下落が話題になっているが、その理由については既に解説しておいた。 日経平均急落の原因は日銀植田総裁の利上げではない だから次は同時に起こっているドル円の急落について原因や今後の予想を書いてゆく。 急落したドル円 まずはチャートから掲載しよう。ドル円のチャートは次のようになっている。 162円から146円まで10%程度の下落である。 円高ドル安の理由 この急激な円高ドル安は、2022年からの大幅なドル円上昇のあとに起きた。ドル円はアメリカの利上げと、インフレにもかかわらず金融緩和で火に油を注いでいた日銀の金融政策の合わせ技によってどんどん上昇していた。 だがここに来てその両方が逆流しつつある。アメリカでは景気が減速し始め、Fed(連邦準備制度)は利下げを開始しようとしている。 7月FOMC会合結果: 9月の利下げ示唆などパウエル議長の発言まとめ 一方で日銀は利上げを行い

      • ヤニス・バルファキス「資本主義は死んだ。テクノ封建制、万歳!」 | 新しい封建領主とは誰か?

        資本主義は死んだと経済学者で元ギリシャ財相のヤニス・バルファキスは言う。だが、いかにして死んだというのか? われわれはどうなるのか? 英論壇メディア「アンハード」でバルファキスが挑発的に論ずる。 一昔前、高齢のフリードリヒ・フォン・ハイエクが小粋に自分の経験談を語り、そこから社会主義の計画経済に対する厳しい批判を始めるのを聴いたことがある。 ハイエクは茶目っ気を効かせてこう語った。 「先日、ある店に入りましてね。で、店を出たとき私が手に持っていたのは、それまで自分が欲しいとは夢にも思ったことのないモノだったんですよ」 ハイエクは資本主義を擁護する人のなかでも、きわめて頭が切れる論者のひとりだ。市場を慈愛にあふれた創造主とみなし、その働きを人間が作ったシステムで再現するのは無理だと考えていた。 冒頭の小話のポイントは、市場に入るまで人は自分が何を求めているのかも知らないというところだ。それな

          ヤニス・バルファキス「資本主義は死んだ。テクノ封建制、万歳!」 | 新しい封建領主とは誰か?
        • 皮膚の常在菌でインスリンを作って体内に常時供給する糖尿病の画期的治療法が実現しつつある

          血糖値を下げるホルモン・インスリンの分泌がうまくいかなかったり、インスリンの効きが悪くなったりすると、高血糖が常態化してさまざまな不具合や病気を引き起こす「糖尿病」の原因となります。そこで、糖尿病の進行によってはインスリンを注射する必要があるのですが、「インスリンを分泌できるように遺伝子改造した皮膚常在菌を体内に取り込むことで、自動的にインスリンを体内に供給する」という新たな治療法の研究を、生物学系ブログサイトであるGROWが紹介しています。 Getting Under the Skin https://www.growbyginkgo.com/2024/01/09/getting-under-the-skin/ 2010年、分子生物学者のクレイグ・ヴェンター氏らの研究チームは、コンピューターに記録されたバクテリアのゲノム情報を元に、実際にゲノムを含むDNAを合成し、酵母に移植することで「

            皮膚の常在菌でインスリンを作って体内に常時供給する糖尿病の画期的治療法が実現しつつある
          • 日経平均急落の原因は日銀植田総裁の利上げではない | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

            さて、日経平均が下落している。今や株式市場には株価は上がり続けるものだと思っている人が大半となっているから、SNSが騒がしい。だがここでは株価下落の理由を冷静に分析してゆきたい。 下落している日本株 まずは日経平均のチャートから掲載しよう。 下がってはいるのだが、今年の上げ幅を考えるとそれほど下がっているわけでもない。 だが株価が上昇する時に理由があるように、株価が下落する時にも理由がある。 ではいま日本株が下落している原因は何なのか? 日銀の利上げ 最近の出来事を時系列順に並べると、まず植田総裁率いる日銀が7月31日に利上げを行なっている。 日銀、利上げとテーパリング決定、記者会見での植田総裁の発言まとめ しかも単に利上げを行なっただけではなく、今後も引き続き利上げをするという示唆をしている。 その日、日経平均は上昇して終わった。それに対して筆者は上の記事でこう書いておいたことを思い出し

            • 停戦を呼びかけようとする岸田がバカな理由▶停戦を誰に呼びかけようとしているかが問題。〜略〜この点を誰も指摘しないしないので、あえて俺が言ってみた。

              髙安カミユ(ミジンコまさ) @martytaka777 🇯🇵多くの日本人が日本を守ってきた。今は俺たちが守る番。 反日・共産主義・フランクフルト学派の打倒を!移民・多文化共生拒否! 🇯🇵必ずフォロバします! ■旧名称:まさ ■影響を受けた人■ 長谷川慶太郎・渡部昇一・ハイエク・クラウゼヴィッツ・レヴィストロース ■追悼■ 安倍さんの意志は私たちと共にある 髙安カミユ(ミジンコまさ) @martytaka777 停戦を呼びかけようとする岸田がバカな理由▶停戦を誰に呼びかけようとしているかが問題。これは正確には戦争ではないのだ。相手が国家ではないからだ。つまり、岸田はイスラエルとテロリストに停戦を呼びかけようとしている事になる。つまり、テロリストと交渉しようとしているのだ。テロリストとは交渉しないと言うのが世界のルール。実際には「やめよう」とだけ言って相手にされないのがオチなので実害は

                停戦を呼びかけようとする岸田がバカな理由▶停戦を誰に呼びかけようとしているかが問題。〜略〜この点を誰も指摘しないしないので、あえて俺が言ってみた。
              • 哲学者と子どもたちによる資本主義の改革は実現可能か? マルクス・ガブリエル『倫理資本主義の時代』書評 by 斎藤幸平|Hayakawa Books & Magazines(β)

                哲学者と子どもたちによる資本主義の改革は実現可能か? マルクス・ガブリエル『倫理資本主義の時代』書評 by 斎藤幸平 世界的哲学者、マルクス・ガブリエルによる初の「日本書き下ろし」となる著作、『倫理資本主義の時代』(斎藤幸平[監修]土方奈美[訳]、ハヤカワ新書)。刊行直後から各書店でベストセラーとなり、話題を呼んでいます。 「エコ・ソーシャル・リベラリズム」や「最高哲学責任者(CPO)」、「新実在論」などのキーワードが頻出する本書の読みどころは、いったいどこにあるのか? 現代社会が抱える問題に対して、本書はどのような回答を提示しているのか? 本記事では、本書の翻訳監修をつとめた斎藤幸平(東京大学大学院総合文化研究科准教授)さんによる書評を公開します。 マルクス・ガブリエルが掲げる「倫理資本主義」と、斎藤氏が標榜する「脱成長コミュニズム」は、どちらがより今の世界に求められているのか。本書が刊

                  哲学者と子どもたちによる資本主義の改革は実現可能か? マルクス・ガブリエル『倫理資本主義の時代』書評 by 斎藤幸平|Hayakawa Books & Magazines(β)
                • ちくま学芸文庫刊行書目一覧 最新版|かるめら

                  2024年6月30日時点での既刊のちくま学芸文庫全2,053点(セット版を除く)をあげた。 文庫の整理番号順に従って表記(一部変更あり)した。 「♾️」マークはMath&Scienceシリーズ(青背)を示す。 人名表記の揺れ(例「シモーヌ・ヴェイユ」と「シモーヌ・ヴェーユ」)は訳者に従い、統一はせずそのままにした。 編者、訳者は一部を除き割愛し、編著者が3人以上に及ぶ場合は代表者1人の名前のみ記した。 Math&Scienceシリーズのみの刊行書目一覧はこちら。 浅田彰『ヘルメスの音楽』 赤坂憲雄『異人論序説』 赤坂憲雄『王と天皇』 赤坂憲雄『排除の現象学』 赤坂憲雄『遠野/物語考』 赤坂憲雄『象徴天皇という物語』 赤坂憲雄『柳田国男を読む』 天沢退二郎『宮沢賢治の彼方へ』 飛鳥井雅道『明治大帝』 E・アウエルバッハ『ミメーシス[上] ヨーロッパ文学における現実描写』 E・アウエルバッハ『

                    ちくま学芸文庫刊行書目一覧 最新版|かるめら
                  • ダイアン・コイル「経済学者がみんな『新自由主義者』なわけじゃないよ:ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか』について」(2015年7月18日)

                    ウェンディ・ブラウンの『いかにして民主主義は失われていくのか 新自由主義の見えざる攻撃』を読むことに決めたのは、ブラウンのLSEでの講義に関連するツイートを見たからだ。私は新自由主義なる概念について確固たる見解を持っていない。「新自由主義」が何を意味するのか分かっていないのだ。ラディカルな著述家たちは、「経済学のほとんど」を指してこの言葉をよく使う(フィリップ・ミロウスキの“Never Let A Serious Crisis Go to Waste”が好例だ)。そして、マルクス主義者や、間違いなく異端派と言える経済学者だけが例外とされる。私は、ヤニス・ヴァルファキスが新自由主義者ではないと分かる程度にはこの言葉を理解している。しかし、そうした例外を除く経済学の大部分を新自由主義だと切り捨ててしまうなら、私見では、この概念は全く役立たずなものになる。もちろん、イデオロギー的に右翼の経済学者

                    • 自身の経済学を再考する

                      状況の変化に応じて自分の意見に疑問を抱くのはよいことかもしれない。 経済学は多くのことを成し遂げてきた。往々にして自明ではない理論的解釈や、入念でときには説得力のある実証的証拠が数多く存在する。専門家は多くのことを知っており、理解している。しかし今日、経済学者は混乱のなかにいる。われわれは皆、金融危機を予測できず、さらに、市場の有効性を過信するあまり金融危機を助長してしまったのかもしれない。構造や影響力について思っていたほど理解していなかった金融市場については特にそうだ。最近のマクロ経済での出来事はたしかに異例であり、専門家同士が口論を繰り広げる光景のなかで、せいぜい一致するのは他者の間違いというものだ。ノーベル経済学賞受賞者たちがストックホルムでの授賞式で互いの研究を非難し合うことはいまや世間の知るところであるが、物事を正しく理解することで賞が与えられると信じている科学分野の受賞者たちに

                        自身の経済学を再考する
                      • 三井寿が湘北バスケ部を襲撃したわけと「理由なきテロル」の闇。 - Something Orange

                        0.はじめに。 1.「殺すべきか、死ぬべきか、それが問題だ」。 2.『実存的貧困とはなにか』と「黒子のバスケ脅迫事件」。 3.ポストモダンの萌芽。 4.イワン・カラマーゾフとしての渡邊博史。 5.なぜ三井寿は湘北高校バスケ部を襲撃したのか。 6.自分から自分への距離は遠い。 7.「心の闇」のなかの光。 【配信サイト】 【お願い】 0.はじめに。 この記事の姉妹記事で「男性編」です。 ジョーカーのような「ダークヒーロー」をめざす犯罪者たちの「心の闇」とはなにか。その秘密をさぐろう。 ジョーカー [Blu-ray] ホアキン・フェニックス Amazon 1.「殺すべきか、死ぬべきか、それが問題だ」。 かつて、かの天才劇作家シェイクスピアが生み出した復讐の王子ハムレットは極限の苦悩に際して呟いた。 「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。(To be or Not to be, that is

                          三井寿が湘北バスケ部を襲撃したわけと「理由なきテロル」の闇。 - Something Orange
                        • 岸田文雄内閣支持率はなぜここまで急落したか/山本太郎の「減税真理教」の危うさ【後編】 - kojitakenの日記

                          最近の光文社のサイトは反動的な傾向が非常に強いが、下記もその一例。 news.yahoo.co.jp 「もう一度総理をやってほしい人」の4位が菅義偉、3位が安倍晋三、2位は田中角栄で、さて1位は誰でしょう、とかいう馬鹿馬鹿しい記事で、1位は予想通り小泉純一郎だった。その4人を支持する声は下記の通り。 【第4位】菅義偉(74票) 「短命ではあったが、やるべきことはしっかりやって辞めた人だったと思う。実行力に期待して、本当に再登板があってもいいと思う」(30代男性・無職・埼玉県) 「不妊治療の保険適応、携帯電話代の値下げ。国民のことを考えて行動して、実行してくれました。もう一度、なってほしい」(30代女性・主婦・大阪府) 「コロナ禍という大変な時期、しかも一年間という短い期間にしては成果を出してくれたと思う。今ならどうやって国を導いていくのか見てみたい」(40代女性・パート・石川県) 【第3位

                            岸田文雄内閣支持率はなぜここまで急落したか/山本太郎の「減税真理教」の危うさ【後編】 - kojitakenの日記
                          • 米国経済は強烈なスタグフレーションへ、1月雇用統計分析 | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                            最新1月のアメリカ雇用統計が発表された。市場では予想外に強い数字だということで騒いでいるが、筆者の分析ではそれだけでは済まないデータとなっている。アメリカ経済はかなり悪い状況にある。 雇用統計とインフレ 雇用統計は元々重要な経済指標だが、最近は特に注目されている。株式市場が利下げ期待を根拠に株高を続けているが、利下げが行われるかどうかはインフレ率が下がるかどうかにかかっており、インフレ率が下がるかどうかは多くの産業で少なくないコストとなっている賃金が低下するかどうかにかかっているからである。 特にサービス業では賃金は主なコストであるため、賃金インフレはサービス価格のインフレを呼ぶ。 だからインフレが引き起こされた後は中央銀行は金融引き締めによってある程度の失業と賃金低下を引き起こすしかなくなる。20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が著書『貨幣論集』で説明していることである。

                            • ノア・スミス「書評:ブラッドフォード・デロング『20世紀経済史――ユートピアへの緩慢な歩み』」(2022年6月12日)|経済学101

                              「きれい……みんなが死んだ場所なのに」(中川典子) 出版前の本の書評を書くのは,これがはじめてかも! ありがたいことに,ポッドキャストのホスト役をいっしょにやっているブラッド・デロングの近刊を一冊確保できた.出版予定日は9月6日だ.それまでの場つなぎとして,高まってるみんなの期待をこの書評で支えられたらいいなと思う. ブラッド・デロングは現在経済史に関して百科事典のように通暁してる.それでいて,読者をおじけづかせない文体の書き手でもある――かく言うぼくが経済学ブロガーになりたいと思った最初のきっかけは,2000年代中盤に彼のブログを読んだときのことだった.彼の本を読み始めると,その「デロング節」にどんどん引き込まれてしまう――愉快な事実を次から次に繰り出しつつ,デロングのありとあらゆる知識をその物語で統合してみせる.読みはじめは少しばかりとっつきにくく感じるかもしれないけれど,慣れてしまえ

                                ノア・スミス「書評:ブラッドフォード・デロング『20世紀経済史――ユートピアへの緩慢な歩み』」(2022年6月12日)|経済学101
                              • 米国屈指のベンチャーキャピタリストが謳うテクノ楽観主義を読み解く|Masato_PartnersFund

                                はじめにPartners Fund中村です。1か月弱前に米国屈指のVCであるAndreessen HorowitzのAndreessen氏が一つの投稿をしました。そのタイトルは「テクノ・オプティミスト・マニフェスト」。記されているのは、この時代においてテクノロジーの進歩を称賛し、人がどうテクノロジーと向き合うべきかという信念。賛否両論あると思います。ですが、一つ言えるのはAndreessen氏は考え抜いてこの信念に辿り着いたということと、それが疑いの余地のない輝かしい多くの業績(とその裏にあった苦悩)に裏打ちされているということ。 文章は長く、教養の厚みが凄すぎて難解なところもあるので、今回解説付きの翻訳文を作成してみました。プロフェッショナルとして、どう思想的なポジションをとるか一つに参考になれば幸いです。 本文:テクノ・オプティミスト・マニフェスト(前書き、あとがきは割愛。解説は各章の

                                  米国屈指のベンチャーキャピタリストが謳うテクノ楽観主義を読み解く|Masato_PartnersFund
                                • ガンドラック氏: 何故80歳の政治家に投票するんだ? | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                  DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社の動画配信で馬鹿げた政治を嘆いている。 政府債務の問題 今年、アメリカのヘッジファンドマネージャーたちが話している第一の話題は財政赤字と政府債務だ。何故ならば、インフレのために中央銀行が国債の買い入れを出来なくなった状態で国債を大量発行しなければならなくなりそうだからである。 チューダー・ジョーンズ氏: 今年中に米国債暴落、金利急上昇の可能性 政府にお金がなくなった理由の1つは、実質的にネズミ講であるところの年金制度のせいである。しかも自分が払った年金を自分で受け取る制度であれば何の問題もなかったものを、今の高齢世代が現役時代に支払ったお金は何処かに消えてなくなっている。 それは過去の高齢世代のために支払ったからである。そしてその世代はそれよりも更に前の世代のために支払ったわけだが、では最初の世代が支払った年金は何処に消

                                  • ハイエク氏: 金融緩和でデフレを防ごうとすれば経済は悪化する | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                    20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏が、著書『貨幣理論と景気循環』で、インフレ政策によってデフレを打倒しようとする考えを批判している。 デフレ打倒のためのインフレ政策 日本では今円安が問題となっている。その原因はアベノミクス以来行われてきた金融緩和である。現日銀総裁の植田氏がそれを段階的に終わらせようとしているが、その速度は円安を止めるのに間に合っていないようだ。 日銀の植田総裁が円安を止められない理由 この緩和政策はもともとデフレを打倒するという名目で安倍首相(当時)によって開始された。 しかしその結果のインフレ政策は円安と輸入物価上昇によって見事にインフレをもたらしてしまった。 何故なのか? インフレ政策は何故インフレをもたらしてしまったのか。インフレが起こる前から筆者は「インフレとは物価上昇という意味だ」と何度も繰り返して主張してきたのだが、誰も信じなかった。辞書ぐら

                                    • 歴史は繰り返す/貧困と実存的貧困、自由と積極的自由

                                      以下のブログにおいてホストに高額の金銭を費消する女性のことを「(実存的)貧困」とカテゴライズし、ブコメにおいて否が多めの賛否両論となっている。 「いったいホストに何千万もつぎ込む売春女のどこが貧困なんだよ(笑)」「ここです」。 https://b.hatena.ne.jp/entry/s/somethingorange.jp/entry/jituzonntekihinnkonn 批判の内容としては、「貧困って言葉を金銭的な貧困者から奪うな」「それは依存症だろ」「キャバや風俗のために借金する男性にそれを言ってきたか?」などなどだ。 (消極的)自由と積極的自由歴史は繰り返すとしたのは、過去、自由という言葉にもそういった歴史があったからだ。 現代においては、自由は消極的自由と積極的自由に区別されている。そしてこの二つは非常に相性が悪い。 消極的自由とは国家・権力に干渉されない権利のこと。具体的に

                                        歴史は繰り返す/貧困と実存的貧困、自由と積極的自由
                                      • 筑摩書房 PR誌ちくま 2007年6月号 ちくま学芸文庫、書店めぐり 永江 朗

                                        ちくま学芸文庫が創刊15周年を迎えるというので、書店ではどんなふうに売られているのかを見に行った。 最初に訪ねたのはジュンク堂書店池袋本店。日本で一番大きな書店である。文庫売場は三階。図書館のように背の高い棚が林立する光景は、いつ見ても壮観だ。ちくま学芸文庫の白い背表紙は遠くからでも目立つ。 「ちくま学芸文庫のお客さんは男子学生が多いですね。最近は年配の方も増えてきていますが。ほんまの本好き、という雰囲気の人が多いと思います」 関西弁まじりで話してくれるのは伊藤傑さん。神戸にルーツがあるジュンク堂で関西弁を聞くと、ちょっとうれしい。 開店以来累計の売行きリストを見せてもらった。一位は『オイラーの贈物』(吉田武著)。数学の本である(私は最初、『おいらの贈物』だと思っていた)。ちくま学芸文庫は人文・社会科学系というイメージがあったから、かなり意外だ。 「これは理工書の売場でも置いています。一般

                                        • 日銀の植田総裁が円安を止められない理由 | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                          コロナ以後、円安が止まらない。日本でもインフレ率が上がっているが、金利の方はインフレ率ほどの上昇を見せていないからである。 円安と日銀緩和 円安は明らかに日本の家計を蝕んでいる。エネルギーや食料品、プラスチック製品など日本国民が消費するものの多くは輸入依存であり、ドル円の上昇分はそのまま輸入物価の上昇に直結している。 コロナ後にドル円が40%以上も上がったということは、基本的に輸入物価がそれだけ上がったということである。ドル円はそのまま元に戻っていないので、輸入物価もそのままだ。また、円はドルだけでなくほとんどの通貨に対して下落している。 円安の原因は黒田元総裁の時代から行われ続けてきた日銀の緩和政策であり、植田現総裁はそれを終わらせようとしている。実際、3月にはマイナス金利と、安倍元首相の支持率対策でしかなかった株式の買い入れ政策を終了した。 日銀、マイナス金利とETF買い入れを終了、量

                                          • ミレイ大統領: 政府は国民への納税の強要によって成り立っている | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                            引き続き、アルゼンチン大統領でオーストリア学派の経済学者であるハビエル・ミレイ氏の今年1月の世界経済フォーラム(ダボス会議)における演説を紹介したい。 政治家が、しかも一国の大統領がこれを言ってしまえるというのが凄いところである。 財政支出は倫理的か 緩和政策のやり過ぎによって物価が高騰し通貨が暴落したアルゼンチンにおいて、政治家による無駄な支出を消し去るために大統領に就任したミレイ氏は、前回の記事で政府支出の少ない「小さな政府」は、支出の多い「大きな政府」に勝ると主張していた。 ミレイ大統領: 政府主導の経済が自由市場の経済に勝てない経済学的証拠 だが財政支出は一般的に「誰かのため」という名目で行われる。年金問題に関しても、明らかに今の若い世代が老人になった時の資金は残っていないにもかかわらず、今の老人世代への給付が減らされないのは「お年寄りのため」というわけだ。 ドラッケンミラー氏、高

                                            • 今年1年間の『労働新聞』書評たち - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                              今年も最後の月になりました。この1年間、『労働新聞』に月1回連載してきた書評も12回分溜まりましたので、例によってまとめておきます。 グレゴワール・シャマユー『統治不能社会』 『労働新聞』に月イチで連載している書評コラムですが、今年からまたタイトルが変わり、「書方箋 この本、効キマス」となりました。 その第1回目に私が取り上げたのは、グレゴワール・シャマユー『統治不能社会』(明石書店 )です。 https://www.rodo.co.jp/column/143561/ 半世紀前の1975年に、日米欧三極委員会は『民主主義の統治能力』(サイマル出版会)という報告書を刊行した。ガバナビリティとは統治のしやすさ、裏返せばしにくさ(アンガバナビリティ)が問題だった。何しろ、企業の中では労働者たちがまるでいうことを聞かないし、企業の外からは環境や人権問題の市民運動家たちがこれでもかと責め立ててくる。

                                                今年1年間の『労働新聞』書評たち - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                              • 「日本経済の病」~金融緩和などの日本の経済政策について、オーストリア経済学の視点からの評価|自由主義研究所

                                                昨年12月4日のニュースで「日銀 25年間の金融政策分析で外部有識者の討論会を初開催へ」という記事がありました。 以下、記事から一部抜粋しますが、金融緩和などの日本の政策について効果・副作用を分析するとのことです。 日銀は、大規模な金融緩和策など過去25年間の金融政策を分析する「多角的レビュー」の一環として、4日、初めて外部の有識者を招いた討論会を開きます。 日銀はことし4月、日本経済がデフレに陥ってから過去25年間にわたって続けてきたいわゆる非伝統的な金融政策について、その効果と副作用を分析する「多角的レビュー」を実施することを決め、これに沿ってさまざまな分析を続けています。 また、12月19日には「日銀、マイナス金利解除見送り 大規模緩和を継続」という記事がでました。 そこで今回は、自由主義の経済学であるオーストリア経済学者のヘスース・ウエルタ・デ・ソト氏による日本の経済政策についての

                                                  「日本経済の病」~金融緩和などの日本の経済政策について、オーストリア経済学の視点からの評価|自由主義研究所
                                                • 「リベサヨ」異聞 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                  雁林という人が、北村紗衣さんを「ポリコレリベサヨうんこ学者」とツイートした等により220万円の慰謝料を命じられたと報じられています。「うんこ学者」というのが誹謗中傷の類いに当ることは確かですが、「ポリコレ」とか「リベサヨ」というのは、思想的対立そのものの表現であることも確かでしょう。 それよりなにより、わたくしはもともと自分が創った気の利いた言葉のはずだった「リベサヨ」が、世の中を転々流通するうちに、原義とは全く違うただの左翼罵倒用語になって、こうして裁判ネタにまでなってしまったことを、若干の悲しみをたたえつつ、眺めるしかありません。 リベラルサヨクは福祉国家がお嫌い 一昨日のエントリーで紹介した後藤さんの本ですが、なかなか面白い記述があります。1960年代に左派からなされた福祉国家批判なんですが、例えば鈴木安蔵編『現代福祉国家論批判』にこういう叙述が見られるとして紹介しているんですが、福

                                                    「リベサヨ」異聞 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                  • 人生は強いられず、ただ示される|ちくま学芸文庫|吉良 貴之|webちくま

                                                    哲学者ロバート・ノージックが人生における多様なテーマを考察した『生のなかの螺旋』(ちくま学芸文庫)が刊行されました。ノージック初の文庫化です。本書の性格と著者の全体像について、法哲学者の吉良貴之氏が解説を書かれています。またとないノージック入門となっておりますので、ぜひお読みください。 本書『生のなかの螺旋―自己と人生のダイアローグ』は、Robert Nozick, The Examined Life: Philosophical Meditations, Simon & Schuster, 1989の全訳である。 著者のロバート・ノージック(1938-2002年)はアメリカの哲学者であり、長らくハーバード大学で教授職を務めた。最も有名な著作は、政治哲学上のリバタリアニズム(自由至上主義)の記念碑的著作とされる『アナーキー・国家・ユートピア』(原著1974年)だろう。ほか、認識論や心の哲学

                                                      人生は強いられず、ただ示される|ちくま学芸文庫|吉良 貴之|webちくま
                                                    • ポールソン氏、政府債務の削減を実現したギリシャ経済を絶賛 | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                                      リーマンショックを予想的中させたことで有名なPaulson & Coのジョン・ポールソン氏が、話題のギリシャ経済についてCapital Linkの会合で語っている。 絶好調のギリシャ経済 コロナ禍とその後のインフレによって多くの国の経済が減速しつつある中、ギリシャ経済は絶好調であると言える。 2010年からの欧州債務危機ではデフォルトの瀬戸際まで行ったギリシャ経済がここまで立ち直ったのは、2019年に選出されたミツォタキス首相の経済政策が奏功しているからである。ここまでの話は前回の記事で説明している。 コロナ後絶好調のギリシャ株、政府債務を削減しながら株高を実現 ギリシャでは株価も絶好調なのだが、そのギリシャ経済に注目しているヘッジファンドマネージャーがいる。リーマンショックにおいて原因となったサブプライムローンを空売りしたことで有名なポールソン氏である。 ジョン・ポールソン氏、サブプライ

                                                      • アダム・グリ「『発明』を発明する:ブラッドフォード・デロング『20世紀経済史:ユートピアへの緩慢な歩み』書評」(2022年11月21日)

                                                        19世紀、世界の一部の地域(「グローバル・ノース」)が豊かになり始めた。成長はゆっくりと始まったが、19世紀終盤には急加速し始めた。科学、技術、生産能力の拡大は想像を絶するもので、当時の人々の一部はさらにその先を想像し始めた。この物質的成長のトンネルの先に人々が見たのは、人間の持ち得るあらゆる欲求が充足され、余暇の時間もたっぷりと残された、真のユートピアであった。 それから1世紀半経ったが、ケインズの想像した余暇の有り余る社会にも、ましてマルクスの無階級社会、あるいはヴィクトリア期に生まれ育ったユートピア主義者たちの思い描いた地上の楽園にも、私たちは到達できていない。ユートピアに到達しようとする人類の試みの中で成功の見込みがあったのは、1914年から1991年までの「短い20世紀」、すなわちソ連が勃興し失墜するまでの期間だけであった、と歴史家のエリック・ホブズボームは論じている。これに直接

                                                        • レイ・ダリオ氏、インフレと高金利が政府の財政破綻に繋がるまでを分かりやすく説明する | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                                          世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がLSE SU Alternative Investment Conferenceのインタビューで現在のインフレと高金利の問題が最終的にどのようなシナリオに繋がってゆくのかを解説している。 インフレと金利上昇 コロナ後にアメリカや日本で行われた現金給付がインフレをもたらして以来、世界中で金利が上がっている。アメリカでは今、大統領選挙でバイデン氏とトランプ氏がインフレの責任を押し付け合っている。 トランプ氏: 現金給付でインフレを引き起こしたのはバイデン氏だ アメリカ国民は物価上昇の不満を政治家に向けているが、多くの機関投資家は金利上昇の方を心配している。 ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性 インフレも金利上昇ももう何十年も起こったことがなかったことであり、それがどういう結果を生むのか理解していない人が多い。 だ

                                                          • フォン・グライアーツ氏: すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                                            ジョージ・ソロス氏とともにクォンタムファンドを設立したジム・ロジャーズ氏のインタビューを見ていたのだが、その司会者であるフォン・グライアーツ氏がフランスの哲学者ヴォルテールを引用して面白いことを言っていたのでそちらを紹介したい。 どの通貨が安全か ロジャーズ氏とフォン・グライアーツ氏はどの通貨を持つのが良いかという話をしている。 フォン・グライアーツ氏はスイスフランを推すが、ロジャーズ氏はドルが相対的に良いと考えているらしい。 だがゴールドやシルバーを保有するのと通貨を保有するのとではどちらが良いのか? そこでフォン・グライアーツ氏は次のように述べている。 すべての紙幣は最終的にはその本質的な価値に帰ってゆく。つまりゼロだ。 ヴォルテールは1729年にそう書いた。 ロジャーズ氏は笑いながら「ほんとに? 知らなかったよ」と返している。 通貨の価値 フォン・グライアーツ氏の発言は、普段日常的に

                                                            • アルゼンチン、緩和のやり過ぎで自国通貨を廃止する破目に | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                                              インフレとその後の金利上昇によってアメリカや日本でも国債価格が下落する中、アルゼンチンではインフレがもはやどうにもならなくなったために自国通貨を廃止する破目に陥っている。 アルゼンチンのインフレと大統領選挙 どうにもタイムリーなニュースである。アルゼンチンでは大統領選挙が行われていた。10月には決選投票が行われることが決まり、11月19日に行われた決選投票でハビエル・ミレイ氏の勝利が決まった。 ミレイ氏の勝利の背景には、アルゼンチンの強烈なインフレがある。アルゼンチンのインフレ率は以下のように推移している。 143%という強烈なインフレ率だが、それよりも強烈なのはコロナ後には40%付近だったインフレ率が143%まで上がったという事実である。 40%でも十分元々高いのだが、それを100%以上押し上げたのは誰かと言えば、現職のフェルナンデス大統領である。 フェルナンデス氏は2019年の末に大統

                                                              • 日銀植田総裁、10月決定会合でイールドカーブコントロールを実質的に有名無実化 | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                                                10月31日、日本銀行は金融政策決定会合の結果を発表し、現在行なっている緩和政策であるイールドカーブコントロール(YCC)の更なる柔軟化を決定した。内容はやや複雑なので出来るだけ分かりやすく説明したい。 イールドカーブコントロール イールドカーブコントロールは、日銀が長期金利の上昇を抑えるために行なっている金融緩和である。黒田前総裁が導入したこの政策が円安とその結果として輸入物価のインフレを引き起こしているため、後を引き継いだ植田総裁がその後始末をしている。 踏み絵のように緩和支持を言わされる日銀の植田新総裁と新副総裁たち イールドカーブコントロールとは、長期金利の上限を決める政策である。植田氏が引き継いだ段階では、日銀の長期金利目標は0%で、プラスマイナス0.5%の変動幅を許容するという状態だった。 だが物価が上昇した後、長期金利はインフレ率に合わせて上に行こうとしていたため、実質的には

                                                                • ハイパーインフレのアルゼンチン大統領、紙幣印刷が経済を悪化させる理由を語る | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                                                  アルゼンチン大統領にしてオーストリア学派の経済学者であるハビエル・ミレイ氏がMilken Instituteにおけるインタビューでインフレと紙幣印刷について語っている。 転落したアルゼンチン経済 ミレイ氏が大統領を務めるアルゼンチンはかつて経済大国だった。ミレイ氏は次のように語っている。 アルゼンチンは、1860年に自由主義的な憲法を採用してからたった35年で世界に名だたる大国となった。 野蛮人の国からGDPがブラジル、メキシコ、パラグアイ、ペルーの合計よりも多い国となり、ラテンアメリカ諸国にある鉄道網の合計よりも巨大な鉄道網を有する国になった。 ブラジルはBRICSの一角であり、世界8位の経済大国だが、元々はアルゼンチンの方が大国だったのである。 しかし今やアルゼンチンはハイパーインフレと債務不履行の国として知られ、そうした社会的混乱のさなか経済学者のミレイ氏が大統領として選出された。

                                                                  • Z世代にとって「革命」とは何か──コムドットの革命について/倉井斎指|ぬかるみ派

                                                                    ※この記事はカンパ制ですので、全文無料でお読みいただけます。面白ければぜひカンパお願いいたします。 ※『ぬかるみ派』vol.1 自己啓発+vol.2 加速主義はboothや書店でお求めいただけます。vol.3絶滅の世代に関しましても2023年11月30日にboothにて通販を開始いたします。書店委託に関しましても順次進めていく所存です。よろしくお願いいたします。 https://sludge.booth.pm/items/4366996 本記事の目的は、YouTuberグループ=コムドットのリーダーやまとの言述を対象として、コムドットの「革命」がもつ政治的意味を明らかにすることである。 2023年10月現在、コムドットに関する諸々の言説はインターネット上に溢れかえっている。中でも特筆すべきはコムドットのYouTube上での戦略を分析するものである。それ自体は、現在のこの国のYouTube状

                                                                      Z世代にとって「革命」とは何か──コムドットの革命について/倉井斎指|ぬかるみ派
                                                                    • サマーズ氏: 日銀植田総裁の利上げは初心者が車の運転をしているようなもの | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                                                      引き続き、アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏のBloombergによるインタビューである。今回は日銀の利上げについて語っている部分を紹介したい。 日銀の利上げ 前回の記事ではサマーズ氏はアメリカは利下げを急ぐべきではないと主張していた。アメリカのインフレは下がってきたが、サマーズ氏はやはりインフレ再燃を警戒しているようだ。 サマーズ氏: 世界的な株価下落でも緊急利下げは不要 しかしインフレに対応するために利上げした日銀については、サマーズ氏は別の考えを持っているようだ。 彼は次のように述べている。 わたしが初めて車の運転を学んだ時や、子供に運転を教えた時のことを思い出せば、初めて運転する人はハンドルを回しすぎることが分かる。 ハンドルを1つの方向に回しすぎて、今度は逆の方向に回そうとするが、今度はその方向に回しすぎて道を波のような形に進むことになる。 中央銀行家、特に新米の

                                                                      • Googleによる独占解消の解決策は“監視の民主化”ではない | p2ptk[.]org

                                                                        以下の文章は、コリイ・ドクトロウの「The Google antitrust remedy should extinguish surveillance, not democratize it」という記事を翻訳したものである。 Pluralistic もし我々の疲弊したこの世界の動向にほんの少しでも注目しているなら、Googleが司法省の反トラスト局による反トラスト法訴訟で敗訴し、今や名実ともに、紛れもない、有罪判決を受けた「独占企業」となったことを耳にしたかもしれない。 これは重大なことだ。画期的なことだ。司法省は、炎を吐くような独占撲滅者ジョナサン・カンターの指揮の下、4年前に彼が任命された時には考えられないことを成し遂げた。カンターが反トラスト局の局長として初日に職務に就いたとき、集まった検察官たちに向かって、一度も敗訴したことがない人は手を挙げるよう求めた。 それは巧妙な罠だった。

                                                                          Googleによる独占解消の解決策は“監視の民主化”ではない | p2ptk[.]org
                                                                        • サマーズ氏: トランプ前大統領のような不動産屋にマクロ経済や金利が分かる訳がない | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                                                          引き続き、アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏のBloombergによるインタビューである。 今回は中央銀行の独立性について述べている部分を紹介する。 大統領と中央銀行 11月のアメリカ大統領選挙は財政政策だけでなく、Fed(連邦準備制度)の金融政策にも影響を及ぼす可能性がある。 何故ならば、ドナルド・トランプ前大統領は最近の記者会見で次のように言っているからである。 大統領は金融政策について少なくとも意見を持つべきだと強く感じる。 多くの場合、わたしならFedの議長やメンバーよりも優れた直感を持っている。 トランプ氏は大統領になったら金利を下げたいと言っている。だからFedに利下げするよう圧力をかけるということだろう。 トランプ前大統領: 金利を下げてインフレも下げる 中央銀行の独立性 一般的に、中央銀行は政治と独立であるべきだということが言われている。政治家が中央銀行をコ

                                                                          • アダム・トゥーズ「中国はどこへ向かうのか? その1:権威主義の行き詰まり?」(2023年8月12日)

                                                                            中国はどこへ向かうのだろう? 欧米でのインフレ劇(あるいは物価ショックと言うべきか)がほぼ一段落した今、世界経済の最重要問題は、中国の将来問題だ。 中国を取り巻く雰囲気は、この18ヶ月で劇的に変化した。ほんの少し前までだと、中国への印象は、畏敬の念というべきものだったが、今ではネガティブな見通しが支配的だ。こうしたネガティブな見通しは、データ、中国政府による公式報道、中国の内部通報者からもたらされる断片的情報、経済と政治の進捗についてのある程度までの妥当な仮説からなっている。これは、ブリコラージュ(間に合わせによる判断)かもしれない。しかし、現状ではこれが限界で、これ以外に見通しを形成する方法はない。もっとも、こうした状況下では、まず自身が偏見を抱いているのかをチェックしてみるのが良いだろう。 ポッドキャストの最新回では、カームと一緒に、中国の現状を理解することに挑戦している。 ポッドキャ

                                                                              アダム・トゥーズ「中国はどこへ向かうのか? その1:権威主義の行き詰まり?」(2023年8月12日)
                                                                            • ドラッケンミラー氏: 経済学者が経済を予想できない理由 | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

                                                                              少し間が空いたが、引き続きLow Leaders Leadによるスタンレー・ドラッケンミラー氏のインタビューである。今回は大学で学ぶ経済学について語っている部分を紹介する。 経済を予想する仕事 以前の記事でドラッケンミラー氏は、経済を予想して利益を上げる投資家の仕事の面白さについて語っていた。彼は次のように述べていた。 ドラッケンミラー氏: 優れた投資家が優れている理由 投資とは常に世界をパズルの集まりだと考えてそれを解くことだ。 ドラッケンミラー氏はこれまで、1992年のポンド危機や2022年の物価高騰など様々な出来事を予想し、平均で年率30%以上の利益を上げている。 ではドラッケンミラー氏はどのようにして経済を予想できるようになったのか。ドラッケンミラー氏はまず大学に入って経済学を学んだのだが、博士課程を中退して金融業界で働き始めている。 経済学者にならなかった理由 今では経済を予想す

                                                                              • 監視価格設定――あなたの支払額は監視で決まる | p2ptk[.]org

                                                                                以下の文章は、コリイ・ドクトロウの「FTC vs surveillance pricing」という記事を翻訳したものである。 Pluralistic 経済学の神秘的な宇宙論において、「価格」は超越的な意義を持つ。価格は生きた市場が自らを知り、適応する手段であり、「効率的な」生産と消費を生み出す。 価格設定の形而上学は、最も基本的なレベルでは次のようになる。売り出されている商品が購入希望者よりも少ない場合、売り手は価格を、十分な数の購入者が脱落して需要と供給が一致するまで引き上げ続ける。 販売されているものが需要を下回る場合、売り手は多数の買い手が離脱し、需要が供給と等しくなるまで価格を引き上げる。落胆した購入希望者自分たちの困窮について十分に声を上げれば、他の売り手が(チャンスを嗅ぎつけた投資家に後押しされて)市場に参入し、供給が増加し、価格が下落して、システムが「均衡」に達する。つまり、

                                                                                  監視価格設定――あなたの支払額は監視で決まる | p2ptk[.]org
                                                                                • 【批評の座標 第12回】西部邁論――熱狂しないことに熱狂すること(平坂純一)|人文書院

                                                                                  新左翼党派のボス、東大駒場の経済学者、保守思想家の伝道師、テレビ討論番組のスター、そして最期に遂げた奇妙な自殺。この類まれな経歴を持つ西部邁とはいかなる人物だったのか。ジョゼフ・ド・メーストル、獅子文六、ジャン=マリー・ルペン、秋山祐徳太子、福田和也等を論じてきた反時代的批評家・平坂純一が、師匠・西部を論じます。 批評の座標 ーー批評の地勢図を引き直す 西部邁論熱狂しないことに熱狂すること 平坂純一 1・「保守的心性」揺るがぬ根本感情 人が保守主義者という時は「書斎に篭る気難しい老人」だとか「権威に棹さす山高帽」やら「横分け白髪の親米派」「神社と兵器に五月蝿い懐古主義者」と相場は決まっている。保守主義がフランス革命と啓蒙思想、主知主義批判を根拠に我が国に流れ着いて土着化したとすれば、いわゆる人士を眺めたとして果たして面白いだろうか? 熱狂と冷静の間にある中庸を知る真なる保守主義者にとって、

                                                                                    【批評の座標 第12回】西部邁論――熱狂しないことに熱狂すること(平坂純一)|人文書院