ジェンダー格差-実証経済学は何を語るか (中公新書 2768) 作者:牧野 百恵 中央公論新社 Amazon 「ジェンダー格差」と「実証経済学」の組み合わせに惹かれたこと、そして中公新書というレーベルの信頼度から、発売日直後に購入。 他にも読んでいる本はあるんだけれど発売直後の本は早いとこ書評を書いたほうが宣伝にもなるものなので、読み終わった直後であるが簡単に感想を書いておく。 本書はまさに副題通りの「経済学」の本であり、著者も序章で「私はジェンダーの専門家ではありません」と明言している(p.ⅳ)。また、経済学は価値判断を下す学問ではなく、あくまで現実を分析して事実を明らかにするためのツールであるということが本書では繰り返し指摘されている。これらの点は、本書の長所であると同時に弱点にもなっているように思えた。 本書の長所としては、近年の人文学的なジェンダー論者やフェミニストが「資本主義的」