藤井光の展覧会の「再演」を通じて見えてくるもの本書は2024年3月に、編著者である小森真樹の勤務先であり、私の勤務先でもある武蔵大学で開催された展覧会「美大じゃない大学で美術展をつくる|vol.1 藤井光〈日本の戦争美術 1946〉展を再演する」の記録集である。タイトル通り、美術大学ではない武蔵大学で、美術系の学科ではない英語英米文化学科所属の教員である小森が企画した展示を扱っている。展示概要のみならず、併催されたシンポジウムの様子なども収録されている。 この展覧会記録集の風変わりな点は、そもそも展示じたいが何重にも「再演」だったということだ。まず、1946年に東京都美術館にてアメリカ合衆国太平洋陸軍が関係者を対象に日本の戦争画展を行った。第二次世界大戦中に日本の画家が戦争画を描き、これが日本政府のプロパガンダに使用されていたのはよく知られている。戦後にこうした絵画はアメリカ軍に接収され、