ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席は、ジョー・バイデン氏のアメリカ大統領選の勝利が決まっても、祝辞をおくるのにあからさまといえるほどの時間をかけた。この2人が大統領選の結果を喜んでいないのも理解に難くない。プーチン氏と習氏は、ドナルド・トランプ大統領が支離滅裂のうちにアメリカの権威と権力を破壊したことから明らかに利益を得ていたのだから。 だが、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長ほどトランプ退陣を悲しむ指導者はいないだろう。12月下旬の時点で、金氏はトランプ氏が近々退任するという事実をまだ国民に伝えていない。なぜだろうか――。 深刻な経済崩壊状態 北朝鮮の事情に詳しい韓国の金炳椽氏によると、北朝鮮経済は2020年、前年比10%縮小する見通しという。しかも、2017年以来の同様の落ち込みに加えての落ち込みである。経済はほとんど機能しておらず、長期的な問題が、新型コロナウイ