◇町存続の危機 福島県双葉町の住民約1100人が集団避難する埼玉県加須(かぞ)市の旧県立騎西(きさい)高校で、夕食に温かいそばが振る舞われた。校内に避難していなくても町民であれば食事の配給を受けられる。田中宏さん(36)が小学1年の次男(6)を車に乗せ、そばを取りにやって来た。 田中さんは先月20日、妻と子供4人の家族6人で同校から加須市内のアパートに移り住んだ。2DKで家賃は4万5000円。アパートを借りる人は少なくないが、家賃は自己負担になる。「福島県では民間住宅の家賃が6万円以下なら全額補助してもらえるのに、埼玉県にはそれがない」。家族3人で先月から市内にアパートを借りた女性の町民(47)も不満を漏らす。 通常の自然災害と違う原子力災害の中で、町民はなんとか仮の住まいを見つけたが、その先の展望を描けずにいる。震災前まで農協に勤めていた田中さんも「自宅は第1原発の3キロ圏内だから一時帰