【北京=白山泉】香港の林鄭月娥(りんていげつが)行政長官は30日、中国政府の転覆につながる行為を禁じる国家安全条例について、来年6月末の任期切れまでに制定に向けた議論を再開する意向を示した。香港の統制強化のために中国政府が主導した国家安全維持法(国安法)を補完する内容で、民主派の言動をさらに厳しく取り締まる狙いだ。市民の反対で過去に廃案となっているが、立法会(議会)から民主派を追い出した勢いに乗じて制定への動きを加速している。 林鄭氏は10月の施政方針演説でも「香港を乱す反中分子をつけ上がらせない」として草案を作成する方針を示していたが、30日の会見では「6月末の任期内に討論と協議を始めたい」と述べ、具体的に目標とする時期を示した。