トヨタ自動車が、水素エンジンの開発サイクルを加速している。4月に水素エンジンの開発と耐久レースへの挑戦を表明して以来、出力や水素充填効率などに関し、約2カ月おきに実施されるレースごとに改善を実現。数カ月でガソリンエンジン並みの出力やトルク性能を達成した。耐久レースという過酷な条件で実走行しながらリアルタイムにデータを取り、次のレースを「納期」と定めて改良を進めていることが、開発スピード向上の秘訣(ひけつ)だ。(名古屋・政年佐貴恵) 「開発は想定以上に進んでいる」。トヨタでスポーツ車領域を統括する佐藤恒治執行役員は、手応えを示す。トヨタが本格的化したのは、2020年末頃。水素エンジンは小型スポーツ車「GRヤリス」で使われる、排気量1・6リットル直噴ターボエンジンがベースだが、5月の24時間耐久レース初参戦時点では、ガソリンエンジンに比べて出力が10%以上劣っていたという。 水素エンジンの技術