大手鉄鋼メーカーは脱炭素化へ向けた2030年度までの技術開発の具体的なスケジュールを明らかにした。水素製鉄や電炉による高級鋼板製造に向けた実証を進める。鉄鋼業界は脱炭素化に10兆円の資金が必要とされており、中国勢などとの技術開発競争も激しい。民間企業による投資に加え、政府による支援の拡充なども求められる。東京湾の千葉県側に立地する、日本製鉄の東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)。東京ドーム22
浪江町の水素製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド」で製造された水素を東京都内で将来にわたり継続的に利用する取り組みが20日、本格化した。東京都は今後、水素で走る都営の燃料電池バスや、業務で利用するトラックを運行する際に定期的に"浪江産水素"を活用する。東京電力福島第1原発事故の被災地発の水素製造技術が都民の生活を支える身近な存在となり、エネルギーの大消費地で脱炭素社会の実現を後押しする。 東京五輪パラで実績 都によると、同フィールドで製造された水素は2021年の東京五輪・パラリンピックの大会運営バスなどで使用した実績はあるが、都営バスの定期運行を含め継続して利用するのは初めて。当面は月1回、同フィールドから東京・江東区の新砂水素ステーションに水素約2600立方メートルを運び、燃料電池バスなどに供給する。水素で走る都営バス計75台のうち、十数台分の動力となり、1台当たり二百数十キロ走行
水素エンジンは、ガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生させるもの。微量のエンジンオイル燃焼分を除き、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない。 既存のエンジン部品や生産設備などを活用できるのも特徴の1つ。これまでの技術資産を活用することで、同じく水素を使う燃料電池車(FCV)に比べて安価にしやすい。米BorgWarner(ボルグワーナー)は、「ガソリンエンジン車のコストと比較すると、FCVはシステムを刷新する必要があるため数倍と高いが、水素エンジン車なら1.2~1.3倍で済む」と試算した。 大型商用車とも相性がよい。主流の過給直噴ディーゼルエンジンは、「ほぼ燃料噴射系の変更だけで水素エンジンに対応できる」(ある国内メーカーのエンジン技術者)という。 トヨタはレースを「実験場」に こうした点に期待を寄せる自動車メーカーの筆頭がトヨタである。同社は20
トヨタ系の自動車販売会社などでつくるユーグループ(長野市)は2022年7月25日、本社ビルの改修に合せて、水素エネルギー利用システムを導入したと発表した。太陽光発電の電力で製造するグリーン水素と燃料電池を利用し、ビルのピークカットや非常時の電源として活用する。 システムを導入したのはユーグループの本社「プリズムビル」。ビル2階のテラスに20kWの太陽光発電、水素を製造する水電解装置、水素を貯蔵する水素吸蔵合金タンク、蓄電池、定格出力100kWの純水素燃料電池を設置した。 この一連の水素製造・利用システムは清水建設が開発した「Hydro Q-BiC」を採用している。BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)を通じ、再生可能エネルギーの余剰電力で製造した水素を、必要に応じて電力としてビルなどの建物に供給できるシステムだ。 このシステムの大きな特徴が、水素の貯蔵に水素吸蔵合金タンクを採用して
環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいます。こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際目標「SDGs」です。 持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタート。 2021年11月19日の放送では、「脱炭素」に取り組む産官連携プロジェクトを紹介しました。 新たなエネルギー源として需要が高まる水素 化石燃料に代わる新たなエネルギー源として、世界的に注目されている水素。その水素の経済規模ですが、2050年には2兆5000億ドル(約262兆円)に拡大。世界のエネルギーの4分の1が水素になるという予測もあります。水素社会の実現に向けた取
欧州トヨタはフランスのスタートアップ企業・ヒリコの大型トラック向けに燃料電池モジュールを提供すると発表した。水素燃料電池は航続距離の長い商用車に適しているとされ、欧州でもトヨタの水素パートナーシップが拡大している。 文/トラックマガジン「フルロード」編集部 写真/トヨタ・Toyota Motor Europe S.A. フランスのスタートアップ企業であるヒリコ(Hyliko)は、トヨタの第2世代水素燃料電池(FC)モジュールを組み込んだ大型トラックを開発し、ゼロエミッションフリートを提供する計画だ。 2023年2月22日に発表されたこの提携により、トヨタのFCシステムは欧州のトラックセクターへ事業を拡大する。 燃料電池や水素ソリューションは、他にも電車、バス、船舶用、定置発電機など様々なセクターでの利用拡大が見込まれるが、特に市場規模が大きくなると予想されているのがトラック用だ。 トヨタの
一気に具体化してきましたよ。 JR西、水素の活用検討を本格化 JR西日本は2024年5月24日、「水素燃料電池車両」の具体的な検討を開始したと発表しました。 JR西日本の電気式気動車DEC700。水素燃料電池システムへの置き換えも想定されている(画像:JR西日本)。 軽油で走る気動車(ディーゼルカー)の置き換えを目指すもので、三菱電機およびトヨタとともに、次のコンセプトで新型車両を開発します。 ・燃料電池システムや水素貯蔵システムに汎用性の高いものを採用し、国内外の標準化を想定した仕様。 ・モーターを制御する主回路システムは電気式気動車と共通化を図り、電気式気動車の燃料電池車両化が行える構成。 水素を使った燃料電池で発電し、その電気でモーターを回して走る方式を想定。今年度から仕様検討を開始し、2030年代早期の営業運転開始を目指すとしています。 また、JR西日本は2021年に、非電化区間へ
信州大学の研究チームが、太陽光を用いて水から直接的に水素を得る水分解プロセスとして、新しい光触媒によりシンプルな構造で大規模化が容易な低コストの手法を開発した。ペロブスカイト系光触媒Y2Ti2O5S2表面における水の分解において、水素と酸素を2段階で発生させたものであり、面積100m2のシート形状の実証装置を数カ月間作動させることによって、太陽光から水素への変換効率STH(Solar-To-Hydrogen energy conversion efficiency)が向上することを確認した。 研究チームの研究成果が2024年11月27日に『Advanced Science』誌に公開されるとともに、太陽光で水から直接的に製造するソーラー水素の技術開発に関する研究チームによる総説が、2024年12月3日の『Frontiers in Science』誌に掲載されている。 現在、水素燃料の多くは天
ホンダが新型の燃料電池車(FCV)を年内にも日本と北米で発売する。主力の多目的スポーツ車(SUV)「CR-V」をベースに、米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発した燃料電池システムを搭載する。リチウムイオン電池と外部から充電するプラグイン機能も備え、電気自動車(EV)としても走れる。 新型車の名称は「CR-V e:FCEV」。EVとして走行できる距離は60キロメートル程度だ。仮に水素が切れていても都市部における買い物や送迎なら問題なくこなせるだろう。価格は未定で目標とする販売台数も公表していないが、「個人のお客様の手が届く範囲での価格を検討している」(国内商品企画担当の宮原潤一氏)という。 ただしFCVを取り巻く環境は厳しい。普及の壁となっているのが水素ステーションの不足だ。FCVはタンクに充填した水素を化学反応させて発電し、駆動用のモーターを回す。この燃料となる水素を入れられる施設は国
神戸大学の立川貴士准教授(光化学)らの研究チームは、安くて入手が簡単な酸化鉄(赤サビ)の結晶を使い、水を水素と酸素に分解する世界最高性能の「光触媒」を作ることに成功した。 従来のものに比べ、性能を10倍以上に引き上げた。太陽光をあてれば効率的に水が分解でき、将来的に水素を低コストで作れる可能性がある。 研究成果は独化学誌「Angewandte Chemie International Edition」電子版(https://doi.org/10.1002/anie.202001919)に4月に発表した。 次世代のエネルギーとして注目を集める水素は、水を電気分解すればできる。中学校で習った水の電気分解で、電極から出る泡を覚えている人も多いかもしれないが、産業用に使うには、理科の実験のような単なる電気分解は効率が悪く、大量の電気が必要だ。 立川さんたちが注目したのは酸化鉄の一種ヘマタイト。一般
ヤマハとトヨタが「水素V8エンジン」を本気でつくった! EV並みにエコでガソリン車のように楽しい水素エンジンとは CAR & BIKE / LIFE & CULTURE / NEWS / OTHER 2022-3-4 環境規制の強化や電気自動車の普及で、今後、姿を消すといわれている純粋な内燃機関(ICE)。エキゾーストノートと回転数の高揚を楽しめるエンジンがなくなるのは、カーマニアにとって悲劇的なことです。そんななかトヨタとヤマハはガソリンの代わりに水素を燃やすという、水素V8エンジンを世界初公開しました。二酸化炭素をほとんど排出しないというエンジンを紹介します。 エコさは電気自動車ばりで、楽しさはガソリン車なみ 環境規制と自然保護という波に飲み込まれながら、世界中の自動車メーカーは次々と電気自動車を発売し、電動化を推し進めている。メルセデス・ベンツを始めとするいくつかのメーカーは、電気自
出光興産、東京大学、大阪大学、産業技術総合研究所は2024年7月4日、常温・常圧環境下でアンモニア(NH3)を空気中の窒素(N2)と水(H2O)と電力から連続的に合成する技術で、競合のアンモニア生成速度を20倍上回る世界最高性能を達成したと発表した(図1)。今後、2028年度までにシステムの規模を拡大すると同時に生産効率をさらに高める研究開発を進め、その後は社会実装に向けた開発をして、2032年度に1000トン/年規模のアンモニア生産を目指すとしている。 アンモニアは100年余り前にドイツで水素(H2)と空気(実際には窒素ガス)から合成する技術「ハーバー・ボッシュ(HB)法」が開発されたことで、低コストで量産できるようになり、それを肥料に用いることで食料の生産量が飛躍的に高まり、世界の人口の急速な増加につながった。ただし、HB法には、 (1)高温高圧を必要とし、結果として装置が超大型になる
近年、水素は使用時にCO2を排出しないことから、燃料電池車や水素エンジン車などに見られるように新しい燃料として注目を集めている。水素の製造法としては、石油やメタンガスなどの化石燃料から水素を分離する方法や、水を電気分解する方法などが広く知られている。しかし、前者は製造時にCO2を排出することとなり、また後者は、電気分解に大量の電力が必要となり、火力発電などの電力を使用するとやはりCO2を排出してしまうというジレンマがある。 そこで別の方法として研究が進んでいるのが、光触媒を用いてエタノールやメタノールから水素を分離する方法だ。原料にバイオエタノールなどを使用すればCO2のリサイクルが可能であり、カーボンニュートラルの思想にかなった方法と言えるだろう。 チューリッヒ工科大学の研究は、この光触媒の改良に関するもので、光を水素エネルギーに変換する効率を高めた新しい光触媒を開発し、既存の方法と比べ
山梨大学と早稲田大学の研究グループは2020年10月、水素を繰り返し吸脱着が可能なプラスチックシートを内蔵することで、充放電が可能な全高分子形燃料電池の開発に成功したと発表した。世界初の成果であり、モバイル機器などへの応用の可能性があるとしている。 山梨大学と早稲田大学の研究グループは2020年10月、水素を繰り返し吸脱着が可能なプラスチックシートを内蔵することで、充放電が可能な全高分子形燃料電池の開発に成功したと発表した。世界初の成果であり、モバイル機器などへの応用の可能性があるとしている。 家庭用燃料電池などとして既に実用化されている「固体高分子形燃料電池(PEFC)」は、プロトン導電性高分子膜を電解質として用いる。他の燃料電池と比較して運転温度が低く、全固体ゆえに保守が容易かつコンパクトで軽量などの特徴がある。しかし、現在のPEFCにおける水素貯蔵供給システムには、自動車用途では高圧
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2021年8月に「国家水素ミッション」の策定を発表していたインドのモディ首相。コロナ禍にあえぎ、過去最大のマイナス成長を記録するなど、疲弊したインド経済の目玉政策として独立記念日の演説で明らかにされたもので、2030年までに年間500万トンのグリーン水素生産を目標に掲げていた。その具体策が今回明らかにされ、グリーン水素を掲げた投資の呼び込み、外資との提携を急いでいる。 COP26で演説するインドのモディ首相(The Indian Expressより) インド政府「国家水素ミッション」と国内事情 2021年8月のモディ首相による発表から3カ月後、11月にスコットランドのグラスゴーで開催されたCOP26でインドは、2070年までにネットゼロ目標も表明。これは2050年をターゲットに掲げた日本やEU、アメリカ、2060年の中国、ロシアと比べると、見劣りがするものではあるが、インドがコミットメント
再生可能エネルギーの中で大きな割合を占めている太陽エネルギーに注目し、日本太陽エネルギー学会の監修により基礎解説をしていく本連載。第9回目は、太陽エネルギーなどを使って製造することができ、燃料電池などで利用される水素についてです。太陽光発電や風力発電などの変動が大きい自然エネルギー、そして季節や昼夜で大きく変動するエネルギー需要に対応するため、その運び手と調整役として水素エネルギーが期待されています。水素需要シナリオを紹介しつつ、製造プロセスの種類によって色分けされる水素の種類や燃料電池など水素の利用形態について、日本太陽エネルギー学会理事で東海大学の木村英樹教授に解説していただきます。 経済産業省は、グリーン成長戦略で2030年に水素導入量を最大300万トンとする方針を検討しています。日本のシンクタンクの富士経済が2021年10月19日に発表した日本国内の水素関連市場の調査結果によれば、
内燃機関と日本の未来は一蓮托生……なのかもしれない!? 水素仲間が日本を救う!? トヨタ&カワサキが実験中の壮大すぎる野望とは? 2021/09/30 5:00 ヤングマシン(マツ) 先日、トヨタとカワサキが水素エンジンの開発でタッグを組むかも!? というニュースをお伝えしたが、ではどうして、彼らはそこまで水素にご執心なのだろうか? 一見ライダーには関係なさそうに思えてしまう話題だが、我々が水素エンジンバイクをブイブイ乗り回すことのできる未来がやってくるには、トヨタ&カワサキの思い描く未来を理解しておく必要がありそうだ。“究極のクリーンエネルギー”と言われる水素には、日本の未来が懸かっているかもしれないのだから!? 水しか排出しないのに“快音”を響かせる水素エンジンを搭載するトヨタの研究車両兼レース車両「水素エンジンカローラ」が、市販車で競われる「スーパー耐久」レースで確実に成果を残してい
山梨県と企業10社は2024年2月20日、「サントリー天然水 南アルプス白州工場」および「サントリー白州蒸溜所」に水素製造装置を導入する建設工事を開始したと発表した。水素エネルギーを活用する「やまなしモデルP2Gシステム」の構築を目的としたプロジェクトだ。 やまなしモデルP2Gシステムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、山梨県と技術開発参画企業10社が共同で開発を行ってきた、固体高分子形の水の電気分解から水素を製造する技術。現在実用化されている水電解による水素製造技術は、水酸化カリウムの強アルカリ溶液を使用する「アルカリ形」と、純水を使用する「固体高分子(PEM)形」の2種がある。PEM形はアルカリ形に比べると変動する電力の需給バランスに対して柔軟性が高く、設備をコンパクト化しやすい特徴があるという。 今回の取り組みでは、PEM系の16MW規模の水素製造シス
東レは水素関連事業の売り上げについて、「中期経営計画」の最終年度である2025年度に、22年度比3倍の600億円を目指す。同社は燃料電池向けの電極基材のほか、水素を製造する水電解装置の中核部材である電解質膜などを手がけている。水素関連事業を含むサステナビリティイノベーション事業全体では、25年度に22年度比1・2倍の1兆6000億円の売り上げを目指す中、クリーンエネルギーとして注目される水素製造に関わる製品群で攻勢をかける。 日覚昭広社長は「当初は燃料電池関連の需要が増えると思っていたが、(水素ステーションなどの)インフラが少なく、(乗用車の普及には)時間がかかる。エネルギーとしての水素の方が伸びてくるのでは」と認識。「50年に世界のエネルギーの半分を占めるのではないか」とも予想する。 22年には、山梨県、東京電力ホールディングス(HD)と、やまなしハイドロジェンカンパニー(甲府市)を設立
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