サイバー攻撃によるインシデントを100%防ぐことは難しい。しかも、インシデントの影響が想定範囲に収まるとは限らない。インシデントに直面して初めて明らかになる問題も多い。このため対応に当たる現場は混乱を極める。一方、被害が社外に及んだときに企業が問われる責任は、ますます重くなる。だから、有事の善後策から再発防止まで一貫して支援する「駆け込み寺」が必要になる。このような企業のニーズに応えるために東京海上ディーアール(TdR)が設けた専門家集団が「サイバーセキュリティラボ」である。 「顧客のメールアドレス宛てに、弊社から不審メールが大量に送り付けられているらしく、クレームが殺到しています。でも何が原因か、どうしたらいいのか分かりません、助けてください」 サイバーセキュリティラボに悲痛な緊急連絡が入った。電話の主は、ある企業の情報システム担当者。現場の緊張と混乱がその声からひしひしと伝わってくる。