21世紀の政治を、どう説明したらよいのだろうか。小泉政権から短命の保守政権3代、そして政権交代の結果としての民主党政権が、これまた3代とも短命に終わった。そしてまたも政権交代だ。1年前に松原隆一郎との対談本『政治の終焉』(NHK出版新書)にて、「追憶の党」が再登板することの意味を探った。そもそも安倍のカムバック自体が「追憶」そのものを体現している。その上内閣の顔ブレを見れば、小泉政権以来の保守政権を担った人々が、続々とカムバックし「追憶」の内閣を動かし難いものにしていた。 ただその後の安倍政権を見るとすべてが「追憶」だったかと言えば、そうではない。そこで、昨年11月の牧原出・佐藤信との共著『政権交代を超えて』(岩波書店)では、「追憶」の複層性を考察している。かつて安倍の祖父たる岸信介は、もう一度首相にカムバックできたならと次のような述懐を残している。(原彬久編『岸信介証言録』毎日新聞社、2