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ブックマーク / blog.livedoor.jp/route408 (11)

  • STAP細胞の「不正」とは何だったのか : 有機化学美術館・分館

    4月11 STAP細胞の「不正」とは何だったのか STAP細胞の騒動が世間を揺るがせています。特に4月9日、小保方晴子氏が久方ぶりに姿を表し、記者会見を行ったことで、騒ぎは最高潮に達した感があります。 ブログではこの件に関し、今まで何も触れてきませんでした。専門外でもありますし、あまりよい話題でもないですし、筆者は他人の不正をあれこれ論評できるような偉い人間でもありません。 ただ、9日の会見を見て、「小保方氏の発言に納得した」「彼女の言うことを信じた」という人が多数派であったのには驚きました。ネットでのアンケートでもそうですし(※)、テレビ番組での調べでも、6〜7割の人が小保方氏を支持するとの結果が出ていました。これはずいぶんとずれが生じているかなと感じたので、思い切ってこの件について書いてみます。 (※)4月12日現在では投票結果が逆転し、「納得できなかった」が多数派となっているようで

    STAP細胞の「不正」とは何だったのか : 有機化学美術館・分館
  • 折り紙準結晶3 : 有機化学美術館・分館

    5月5 折り紙準結晶3 さて昨年(2011年)のノーベル化学賞を受賞した準結晶の話、筆者はこういうのが好きなもので、折り紙でそれらしき模型を作るというのを二度にわたって掲載いたしました。ただしその1で作ったのは平面のペンローズタイル、その2で作ったのは準結晶への入り口となる多面体でした。ということで、「折り紙で準結晶モデルを作りました」と胸を張っていえるものではちょっとありません。 で、今回は3次元空間を非周期的に埋め尽くす立体というものを作ってみました。2次元のペンローズタイルは2種類の菱形でできるといいましたが、3次元の場合は2種類の六面体を積み上げていくことで、非周期的な埋め尽くしが可能であるそうです。難しいことを考えつく人がいるものですね全く。 で、その2種類の六面体というのは、いずれも黄金菱形が6枚でできた平行六面体だそうです。要は立方体を、斜めからギュッと押してつぶしたような立

    折り紙準結晶3 : 有機化学美術館・分館
  • NaH酸化反応に続報 : 有機化学美術館・分館

    12月18 NaH酸化反応に続報 この7月、天下のJACSに掲載されて話題をさらった反応がありました。水素化ナトリウム(NaH)を二級ベンジルアルコールに作用させることで、ケトンへと酸化することができるというものです。用いている試薬が通常塩基または還元剤として働くNaHのみなのに、他の酸化剤など一切必要なしに酸化が収率よく進行する上、論文に掲載された反応機構も極めて怪しいものでしたから、多くの化学者の興味を引いたのは当然というものでしょう。 この反応はあちこちのブログにも取り上げられ(当ブログ・化学者のつぶやきなどなど)、「Totally Synthetic」では自ら反応を追試し、その様子をリアルタイム中継するといったことまで行いましたから、まあ一種の祭り状態というところでした。ちなみに元文献は7月にWeb掲載されたにもかかわらず、いまだに冊子体には収録されず、文献番号が与えられていないよ

    NaH酸化反応に続報 : 有機化学美術館・分館
  • 事業仕分けのこと : 有機化学美術館・分館

    11月16 事業仕分けのこと 行政刷新会議の「事業仕分け」が話題になっています。筆者も直接関わりのあることですし、ライブ中継も見ていました。その後、ブログやツイッターで膨大な声に接し、正直考えがまとめ切れていませんが、ひとまず今思うことを書いておきます。まとまりがないのはご容赦。 とにかく今回は、SPring-8や日科学未来館、そして各種研究資金などが軒並み減額の憂き目に遭っています。とにかく競争的資金(先端研究)に関して、「予算計上見送り」という評価を下した評議員が3名もいたというのは、愕然とせざるを得ません。 実際問題として、「仕分け」の俎上に上ったもので無傷で済んだものはほとんどないようで、リストアップされた時点で事実上減額は確定していると考えられます。国で行っている全事業のうち15%だけが「仕分け」にかけられ、基礎科学関係の予算に関わるものがほとんど全て含まれているようですので、

    事業仕分けのこと : 有機化学美術館・分館
  • エコナの件 : 有機化学美術館・分館

    9月19 エコナの件 ※この項目に関して、計算の根拠となった数値が間違っているというご指摘をいただきました(コメント12参照)。筆者は37.5mg/kgというのを単純にガンを発生した最低投与量と思いこんでいたのですが、資料を詳しく読んだところそういう解釈ではまずいようです。 種々の動物試験によって、エコナ自体に発ガン性がないことは確認されています。また、グリシドールが発生するという証拠はなく、その安定性も低いことから、事実上安全性に問題はないだろうという筆者の見解は変わりません。ただし、文中にある一升瓶27うんぬんの数値に関しては取り下げさせていただきます。謹んでお詫び申し上げます。 ================= これまで、人間を最もたくさん殺した動物は何か?それはクマでもトラでも毒ヘビでもなく、ニワトリだという説があるのだそうです。何のことかというと、鶏卵に含まれるコレステロー

    エコナの件 : 有機化学美術館・分館
    randompole
    randompole 2009/09/19
    「キャベツやコーヒーには正真正銘の発ガン物質が含まれています」/ポリフェノールが入ったものを焦がしたらやばそうな縮合環ができそうだもんな。それでもコーヒー飲むけど。
  • アセトニトリル・クライシス : 有機化学美術館・分館

    1月6 アセトニトリル・クライシス カテゴリ:有機化学雑記 みなさま明けましておめでとうございます。11年目を迎えました有機化学美術館を、年もどうぞよろしく。 さて初っぱなから明るくない話題+若干大げさな題名で恐縮ですが、先日メルマガの方でもちょっと書きました通り、現在重要な溶媒であるアセトニトリルの供給が止まり、在庫なども底をつきつつあるようです。 (アセトニトリル) アセトニトリルは図の通り、わずか6原子から成る非常にシンプルな化合物ですが、融点・沸点が手頃で(それぞれ-45度・82度)、溶解力も強いので溶媒として重要です。DMFやDMSOと並んで、非プロトン性極性溶媒の代表的存在といっていいでしょう。 (N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)) アセトニトリルの供給不足は、現在世界を襲う大不況が主原因のようです。筆者も知らなかったのですが、アセトニ

    アセトニトリル・クライシス : 有機化学美術館・分館
  • 有機ミューオニウム化合物 : 有機化学美術館・分館

    11月27 有機ミューオニウム化合物 カテゴリ:有機化学 サイエンスアゴラでの発表は無事終了しました。裏で福岡伸一先生の講演があったにも関わらず、50名以上の参加をいただいたようです。個人的にはだいぶ場慣れもしてきましたが、まだまだしゃべりの方にも課題は多いです。とにかくご来場いただいた皆様、一緒に発表した間先生以下の皆様に感謝いたします。間先生のページに、当日のレポートが掲載されておりますので、興味のある方はご覧下さい。 さて話は変わって新着論文からの情報。 100種類以上ある元素の中で、炭素原子だけがなぜ有機化学の中心となるような特別な存在なのか――。ひとつには炭素同士が長くつながっても極めて安定で、多彩な結合を作りうること、もうひとつは多くの元素と安定な結合を作りうることです。 実際、炭素というのは元素界随一の社交家で、放射性元素のウランや希ガスのキセノンとさえ化合物を作ることが

    有機ミューオニウム化合物 : 有機化学美術館・分館
  • フラーレンの生合成経路解明 : 有機化学美術館・分館

    4月1 フラーレンの生合成経路解明 Kroto,Smalley,Curlらのチームによってフラーレンが発見されてから、すでに四半世紀近くの歳月が流れています。しかし60個もの炭素がどのようにしてああも見事な球状にまとまるのかは、長いこと謎に包まれてきました。 このほど、フランスのC. Soixanteらのグループから、ついにこの経路を全て解明したという報告がなされました(Nature 418, 2091 (2008))。彼らはフラーレン生産菌Socceromyces Balleusのゲノム解析を行い、フラーレン生合成に関わる遺伝子を全て単離することに成功したのだそうです。 この菌の体内で、まずC30のスクアレンが2分子縮合し、炭素60個分の長い鎖ができます。ここにフラーレン合成酵素複合体が作用し、まずメチル基がアルデヒドに酸化されます。これらは分子内でアルドール縮合し、さらに数段階にわたる

    フラーレンの生合成経路解明 : 有機化学美術館・分館
  • 退職のご挨拶 : 有機化学美術館・分館

    12月30 退職のご挨拶 いろいろあって1年以上雑文を書かずにおりました。で、久々の更新でこういうことを書くのも何ですが、このたび長年勤めた会社を退職することとなりました。平成20年1月1日をもって、佐藤健太郎はフリーとなります。別に不祥事をやらかしてクビになったとか、職場の人間関係に悩んでとかではなく、自分の意志で選択・決断しました。 で、次どうするかですが、実はまだ何も決めていません。何考えてんだこのバカと言われそうですが、次の就職先はまだ何も考えていません。幸い次のの話をいくつかいただいてるのと、雑誌連載の話なんかもいただいていますので、しばらくは物書きのまねごとなどしてみようかと思っています。 なんでまたこのご時世に安定した職を自らなげうつのか、理由はいろいろあるので一口には語れませんが、実は4〜5年前から密かに悩んでいたことではありました。とりあえず一番の理由は、メディシナルケ

    退職のご挨拶 : 有機化学美術館・分館
  • 有機化学 on the web : 有機化学美術館・分館

    1月27 有機化学 on the web カテゴリ:有機化学雑記 「有機化学美術館」の書籍版の作業のため、長らく更新をさぼっておりました。まだ完全ではないのですが、一応作業を終えました。今後おいおい進行状況については告知致しますが、まず査読をいただいた方々にここで感謝の意を述べさせていただきます。やはり一人でできることというのは限界があるもので、人々の英知を集めるというのは素晴らしいことなのだなと改めて感じ入った次第です。 またいまだ返信をできておらず心苦しいのですが、査読に応募いただいたその他の方々にも深く感謝致します。今後また機会があると思いますので、その時にまたお願いすることがあるかもしれません。その時はまたよろしくお願い致します。 さて最近、「ウェブ進化論」「ウェブ人間論」(ちくま新書)というを読みました。前者はネットコンサルタントの梅田望夫氏の著書、後者は氏と作家の平野啓一郎氏

    有機化学 on the web : 有機化学美術館・分館
    randompole
    randompole 2007/01/27
    「情報格差係数」というのは調べてみると面白そう。/化学関係は眉唾物のヨタ話ばかり引っ掛かってげんなりすることが多々あるからなあ。
  • 有機化学美術館・分館:鉄のにおいの正体

    11月1 鉄のにおいの正体 カテゴリ:有機化学 臭いがする化合物というのは、多くの場合適当な分子量を持った有機化合物です。しかしある種の金属、例えば鉄からは臭いを感じることがあるのも事実です。校庭の鉄棒や、鉄製の工具などを触った後の手からはなかなか抜けない独特の臭いがして、閉口した記憶をお持ちの方も多いことでしょう。 しかしこれは考えてみれば不思議なことです。臭いを感じるということは、化合物が揮発して鼻の感覚細胞に付着して初めて起こることですが、沸点1535度の鉄がそう簡単に揮発するはずもありません。ではあれはいったい何の臭いなのでしょうか? このほどライプチヒ大学のGlindemannらのチームがこの謎(?)の解明に挑みました。彼らは鉄イオン(Fe2+)と人工の汗とを人間の皮膚に作用させ、発生する化合物を捕らえてガスクロマトグラフィーで分析する実験を行ったのです。結果、鉄イオンに触れた皮

    randompole
    randompole 2006/12/29
    先日Angewandteを読んでて面白かった論文の、日本語による紹介記事。一般のマスコミはこういうのを採り上げないで何が科学離れかと。(人のことは言えないが。)
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