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原子核の検索結果1 - 39 件 / 39件

  • 原子核の形状は「アーモンド」

    理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター 核構造研究部の大塚 孝治 客員主管研究員(東京大学名誉教授)、東京大学 大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターの角田 佑介 特任研究員、筑波大学 計算科学研究センターの清水 則孝 准教授らの共同研究グループは、量子論に基づいて、原子核の形と回転に関する新たな理論体系を提示しました。 この成果は、70年近く信じられてきた原子核の形状と回転の描像とは異なり、教科書の書き換えにもつながるものです。 多くの原子核の形は球形ではなく、楕円体に変形しています。球形から大きく変形した原子核では、断面の一つが円形であるラグビーボール型の軸対称変形[1]が起きるとされてきました。 本研究では、量子論と核力[2]の性質に基づいて原子核の変形の様子を解き明かしました。多くの原子核では三つの主軸の長さが全て異なる楕円体となっており、どの断面も円形にならないアー

      原子核の形状は「アーモンド」
    • 「シュレーディンガーの猫状態」が約23分も生き残る。原子核スピンの重ね合わせ驚異的持続【研究紹介】 レバテックラボ(レバテックLAB)

      中国科学技術大学に所属する研究者らが発表した論文「Minutes-scale Schrödinger-cat state of spin-5/2 atoms」は、量子状態の「シュレーディンガーの猫」を、約23分間にわたって維持することに成功した研究報告である。これは、通常では極めて壊れやすい「量子重ね合わせ」状態を、長時間維持できることを実証した成果である。 シュレーディンガーの猫状態とは、量子力学における重要な概念で、相反する状態が重なり合って存在する状況を指す。古典的な例えでは、箱の中の猫が生きているか死んでいるかを確認するまで、両方の状態が同時に存在するとされる思考実験が知られている。 このような量子重ね合わせ状態は、通常、環境からのわずかな影響で簡単に壊れてしまう。特に原子を捕捉する格子状の光の檻(光格子)の中では、レーザー光の強度むらが量子状態を乱す大きな要因となる。 研究チーム

        「シュレーディンガーの猫状態」が約23分も生き残る。原子核スピンの重ね合わせ驚異的持続【研究紹介】 レバテックラボ(レバテックLAB)
      • 極限原子核の謎を解く要となる新たな酸素同位体の発見 最後の二重魔法数核候補は二重魔法数核ではなかった

        要点 非常に稀に現れる安定性(二重魔法数)が予測された酸素同位体(酸素28)を初めて観測。 酸素28では二重魔法性が消失していることが明らかになった。 世界初となる4個の中性子を同時に測定する技術により観測が初めて可能に。 中性子数が非常に過剰な極限原子核の構造、宇宙での元素合成過程や中性子星の構造の解明につながると期待。 概要 東京工業大学 理学院 物理学系の近藤洋介助教と中村隆司教授、理化学研究所 仁科加速器科学研究センターの笹野匡紀専任研究員、大津秀暁チームリーダー、上坂友洋部長、九州大学の緒方一介教授らの国際共同研究チーム※は、二重魔法数核[用語1a]の候補と考えられてきた酸素同位体[用語2]、酸素28の観測に初めて成功した。 原子核を構成する陽子や中性子の個数が魔法数[用語1b](2、8、20、28、50、82、126)となっている場合、その原子核はより安定な性質を示す。特に陽子

          極限原子核の謎を解く要となる新たな酸素同位体の発見 最後の二重魔法数核候補は二重魔法数核ではなかった
        • 4個の中性子だけでできた原子核を観測

          理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター多種粒子測定装置開発チームの大津秀暁チームリーダー、スピン・アイソスピン研究室のバレリー・パニン特別研究員(研究当時、現客員研究員)、ダルムシュタット工科大学のメイテル・デュア研究員、ステファノス・パシャリス研究員(研究当時)、トーマス・オウマン教授、東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターの下浦享教授(研究当時)、東京工業大学理学院物理学系の中村隆司教授、近藤洋介助教らの国際共同研究グループは、理研の重イオン[1]加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)[2]」の多種粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ[3]」を用いて、4個の中性子だけでできた原子核「テトラ中性子核」の観測に成功し、陽子を含まない複数個の中性子が原子核を構成して存在できる新たな証拠を得ました。 本研究成果は、陽子を1個も含まない、いわば「原子番号ゼロ

            4個の中性子だけでできた原子核を観測
          • 某国立大で放射線や原子核を教えているクロmiumさんによる、イギリスでの放射線に関する国際学会にて、英国の環境科学権威が「中国での大規模なフェイクニュースキャンペーン」があると言い切ったことと、それに対する出席していた中国人研究者の反応についての連続ポスト

            クロmium🐈‍⬛ @ztkszero 招待講演でその事件は起きました。 その講演者は英国の環境科学の権威であり、チェルノブイリ原発事故レポートの編集者・主執筆者であり、現在は福島第一原発事故の環境中の生物への影響への調査(特に海洋放出)についても重要な立場にいます。 2024-11-03 22:29:57 クロmium🐈‍⬛ @ztkszero 講演で彼は、福島で生物への影響は考えられないことを根拠をもって述べました。 そして出してきたスライドがこれです。 「Massive fake news campaign in China」すなわち、「中国での大規模なフェイクニュースキャンペーン」があると言い切ったのです。 pic.x.com/2dEDEfeVPl 2024-11-03 22:29:58

              某国立大で放射線や原子核を教えているクロmiumさんによる、イギリスでの放射線に関する国際学会にて、英国の環境科学権威が「中国での大規模なフェイクニュースキャンペーン」があると言い切ったことと、それに対する出席していた中国人研究者の反応についての連続ポスト
            • 核融合発電とは 原子核同士を合体させ発電、CO2出さず きょうのことば - 日本経済新聞

              ▼核融合発電 原子核同士を合体させてエネルギーを生み出し発電する技術。燃料の重水素は海水中に豊富にあるため低コストで莫大なエネルギーを得られる。化石燃料を燃やさないので二酸化炭素(CO2)が発生しない。水素は数千度以上になると水素原子核の陽子と電子が自由に飛び回る「プラズマ」の状態になる。プラスの原子核同士は反発して合体しないが、1億度以上になると接近して核融合する。この反応時に出る熱で蒸気を

                核融合発電とは 原子核同士を合体させ発電、CO2出さず きょうのことば - 日本経済新聞
              • 原子核内の強い斥力を確認、物質が安定して存在する仕組みに迫る

                原子核内の陽子や中性子が互いに反発して起きる斥力(せきりょく)を、陽子を構成する素粒子「クォーク」を一部入れ替えた粒子を使った衝突実験で検証した。東北大学などの国際研究グループが発表した。この粒子と陽子をぶつけると、陽子同士の場合とは異なり、極端に強い斥力が生じた。量子力学の基本原理を基に斥力の謎に迫り、身の回りの物質が安定して存在できる仕組みの解明につながるという。 陽子や中性子の間に働く力「核力」は、両者が1~2フェムトメートル(フェムトは1000兆分の1)ほど離れている時は引力だが、重なり合うように近いと斥力に変わる。重なりが大きいほど斥力は強い。この引力と斥力のバランスにより、原子核は潰れずに自ら安定して存在できる。しかし、斥力が生じる仕組みは未解明だった。 陽子と中性子はそれぞれ、クォーク3つでできている。「パウリの排他原理」によると、クォークは「スピン」や「カラー」と呼ばれる量

                  原子核内の強い斥力を確認、物質が安定して存在する仕組みに迫る
                • 原子核はアーモンド形? 70年の定説覆す、理研

                  これまでラグビーボール形だと考えられてきた原子核が実際にはアーモンドのようにつぶれた形をしていることを理論的な計算で明らかにしたと、理化学研究所の大塚孝治客員主管研究員らの研究チームが2日、国際専門誌に発表した。70年来の定説を覆す成果で、新しい元素の発見に役立つとしている。 陽子と中性子が集まった原子核のうち、重い原子核の大半は、球形ではなく楕円体に変形している。多くはラグビーボールのように細長く断面が円になる形をしていると1950年代から考えられてきたが、明確な証拠はなかった。 チームは、陽子と中性子の間に働く特殊な力などに注目。原子核が持つエネルギーを計算し、断面が楕円になるアーモンドのような形の方が安定していることを示した。スーパーコンピューター「富岳」を使ったシミュレーションでもこの考え方が裏付けられた。 うまく説明できなかった現象もアーモンド形だとつじつまが合うとして、大塚さん

                    原子核はアーモンド形? 70年の定説覆す、理研
                  • 原子核の分子構造を発見 | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)

                    理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター核反応研究部の上坂友洋部長、多種粒子測定装置開発チームの大津秀暁チームリーダー、中国科学院近代物理研究所のペンジー・リー研究員、パリ・サクレー大学イレーヌ・ジョリオ・キュリー研究所のディディエ・ボーメル上級研究員、香港大学のジェニー・リー教授、京都大学理学部の銭廣十三准教授、金田佳子准教授、九州大学大学院理学研究院の緒方一介教授らの国際共同研究グループは、理研の重イオン[1]加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)[2]」の多種粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ[3]」を用いて、不安定なベリリウム−10(10Be、原子番号4)原子核の基底状態[4]では、アルファ粒子二つと中性子二つが窒素分子のように結合していることを発見しました。 本研究成果は、元素合成過程の理解に大きな影響を与える、原子核内でのアルファ粒子生成機構解明に貢献す

                      原子核の分子構造を発見 | 研究成果 | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)
                    • そもそも、この世界は何からできているのか…2000年以上に及ぶ大論争の末、ついに人類が気づいた「意外すぎる答え」(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所)

                      宇宙は何でできているのだろう?「宇宙は何でできているのだろう?」。この根源的な疑問に、大昔からたくさんの人が思いを巡らせました。 古代ギリシャの哲学者たちは、この宇宙、つまり太陽や地球といったものが、何でできているのかを考えました。この宇宙は、火、水、土、空気でできていると考えた人もいましたし、どんどんと細かくしていくと、これ以上分割できないとても細かい粒に行きつくはずだと考えた人たちもいました。 中でも古代ギリシャの哲学者デモクリトスは、この宇宙にあるものはとても細かい粒でできていると考え、これ以上分割できない粒のことを「アトム」と名付けました。このアトムは、私たちが今、「原子」と呼んでいるものとは違い、彼の頭の中だけで考えられたものです。古代ギリシャ人には、ものをこれ以上分割できなくなるまで細かくしていく技術はなかったので、彼の頭の中だけでそう考え、信じたにすぎませんでした。 宇宙は何

                        そもそも、この世界は何からできているのか…2000年以上に及ぶ大論争の末、ついに人類が気づいた「意外すぎる答え」(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所)
                      • 「ナゾの物質」ダークマターの正体がついに明らかに…?「最有力候補」を科学的検証とともに一挙解説!(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所)

                        138億年前、点にも満たない極小のエネルギーの塊からこの宇宙は誕生した。そこから物質、地球、生命が生まれ、私たちの存在に至る。しかし、ふと冷静になって考えると、誰も見たことがない「宇宙の起源」をどのように解明するというのか、という疑問がわかないだろうか? 本連載では、第一線の研究者たちが基礎から最先端までを徹底的に解説した『宇宙と物質の起源』より、宇宙の大いなる謎解きにご案内しよう。 どうやってダークマターを見つけるのか 先の記事で、理論的に予言されるダークマターの有力候補について、ちょっとだけご紹介しました。本記事では、それぞれについて詳しく説明してみたいと思います。 最も有力な候補と目されているのは、WIMPと呼ばれる未発見の素粒子です。「弱い相互作用をする重い粒子」という意味の英語の頭文字を取って、そうした性質をもつ粒子の総称として名付けられました。重さは、陽子の100倍(約100G

                          「ナゾの物質」ダークマターの正体がついに明らかに…?「最有力候補」を科学的検証とともに一挙解説!(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所)
                        • 桁外れのエネルギーを持つ宇宙線 主な成分は重い原子核か | NHK

                          桁外れのエネルギーを持つ「宇宙線」の主な成分は、重い原子核の可能性が高いとする研究成果を千葉大学が参加する国際研究チームが発表し、宇宙の謎に迫る成果として注目されています。 宇宙を飛び交う高いエネルギーの粒子「宇宙線」のなかには、桁外れのエネルギーを持つものがあり、そうした宇宙線の起源や発生のメカニズムは宇宙の謎の1つとされています。 千葉大学が参加する国際共同プロジェクト「IceCube」では、桁外れのエネルギーを持つ宇宙線から生み出される特定のニュートリノについて、南極の氷に設置した検出器で探索を行い、過去13年分のデータを詳しく解析しました。 その結果、特定のニュートリノが南極に飛来してくる頻度は、1平方メートル当たりおよそ2万年に1回以下と、従来考えられてきたよりずっと低かったということです。 こうしたことから、これまで謎とされてきた桁外れのエネルギーを持つ宇宙線の主な成分は、存在

                            桁外れのエネルギーを持つ宇宙線 主な成分は重い原子核か | NHK
                          • レーザーで「トリウム原子核」を励起することに成功、原子核時計などの革新的技術への道が開かれる

                            オーストリアのウィーン工科大学の研究チームが、トリウムの原子核をレーザーで励起することに世界で初めて成功したと報告しました。これにより、既存の原子時計の精度を上回る原子核時計など、さまざまな革新的技術への道が開かれると研究チームは主張しています。 Phys. Rev. Lett. 132, 182501 (2024) - Laser Excitation of the Th-229 Nucleus https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.132.182501 Atomic Nucleus Excited with Laser: A Breakthrough after Decades | TU Wien https://www.tuwien.at/en/tu-wien/news/news-articles/news

                              レーザーで「トリウム原子核」を励起することに成功、原子核時計などの革新的技術への道が開かれる
                            • 陽子を含まない原子核の痕跡を原子炉で探す 原子核物理×放射化学の新手法で「0番元素」を探求

                              要点 中性子だけから構成される多中性子原子核の存在の実証研究が近年活発。 多中性子原子核の一種であるテトラニュートロンを原子炉で探索する手法を確立。 炉心内で中性子による放射化が起こりにくい試料の選定が鍵となった。 概要 東京工業大学 理学院 物理学系の藤岡宏之准教授と友松竜太郎学士課程4年(研究当時)、京都大学 複合原子力科学研究所および同大学院工学研究科の高宮幸一教授からなる研究チームは、中性子だけから構成される多中性子原子核を探索する手法として、原子炉の燃料に含まれるウラン235の核分裂における多中性子原子核の放出の有無を調べる実験の原理実証に成功した。 ストロンチウム88を同位体濃縮した炭酸ストロンチウムの試料を原子炉の炉心に長時間挿入し、照射後の試料にストロンチウム91が含まれているかどうかを高純度ゲルマニウム検出器で調べた。その結果、有意な信号は観測されず、ウランの核分裂におけ

                                陽子を含まない原子核の痕跡を原子炉で探す 原子核物理×放射化学の新手法で「0番元素」を探求
                              • 「ナゾの物質」ダークマターの正体がついに明らかに…?「最有力候補」を科学的検証とともに一挙解説!(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所)

                                138億年前、点にも満たない極小のエネルギーの塊からこの宇宙は誕生した。そこから物質、地球、生命が生まれ、私たちの存在に至る。しかし、ふと冷静になって考えると、誰も見たことがない「宇宙の起源」をどのように解明するというのか、という疑問がわかないだろうか? 本連載では、第一線の研究者たちが基礎から最先端までを徹底的に解説した『宇宙と物質の起源』より、宇宙の大いなる謎解きにご案内しよう。 どうやってダークマターを見つけるのか 先の記事で、理論的に予言されるダークマターの有力候補について、ちょっとだけご紹介しました。本記事では、それぞれについて詳しく説明してみたいと思います。 最も有力な候補と目されているのは、WIMPと呼ばれる未発見の素粒子です。「弱い相互作用をする重い粒子」という意味の英語の頭文字を取って、そうした性質をもつ粒子の総称として名付けられました。重さは、陽子の100倍(約100G

                                  「ナゾの物質」ダークマターの正体がついに明らかに…?「最有力候補」を科学的検証とともに一挙解説!(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所)
                                • 原子核をつなぐパイ中間子が軽い仕組みを理論的に証明

                                  この世に何種類もの元素が存在するのは、質量の小さなパイ中間子が、陽子や中性子を結びつける強い力を媒介するからだ。パイ中間子がその役目を果たせるほど軽い要因が理論的に証明された。 【2021年6月28日 カブリIPMU】 水素を除くあらゆる元素の原子核は、複数の陽子と中性子が「パイ中間子」の媒介する強い力で結びついている。同じ正の電荷を持つ陽子同士の間には電磁気力による反発力が生じるが、陽子の間を飛ぶパイ中間子が伝達する強い力はその電磁気力をはるかに上回る。これはパイ中間子の質量が極めて軽いからこそ成り立つことだ。仮にパイ中間子が重すぎたなら、陽子や中性子の間で強い力が届かなくなり、陽子1つで原子核を成す水素以外の元素は存在できなかっただろう。 パイ中間子の質量が軽い場合と重い場合のイラスト。(左)パイ中間子が重い場合、陽子の間でパイ中間子が強い力を媒介することができず、陽子同士は離れていく

                                    原子核をつなぐパイ中間子が軽い仕組みを理論的に証明
                                  • 東大など、原子核スピンを電気として取り出す熱発電技術の実証に成功

                                    東京大学(東大)、東北大学、岩手大学の3者は7月26日、原子核の自転運動である「核スピン」を利用した新しい熱発電を実証したと共同で発表した。 同成果は、東大大学院 工学系研究科の吉川貴史助教、東大大学院 工学系研究科/東北大 材料科学高等研究所(AIMR)の齊藤英治教授、東大大学院 総合文化研究科の塩見雄毅准教授、AIMRの高橋三郎 学術研究員、岩手大 理工学部 物理・材料理工学科の大柳洸一助教らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。 物質中には超低温域まで高いエントロピーを保持できる担い手として、原子核の持つ自転の性質「核スピン」の存在が知られている。核スピンは、電子スピンと比べて持っているエネルギーが非常に低く、絶対零度に迫る低温域でもゆらぎ続けることが可能だとされている。 熱電変換現象とその高温域・超低温域で

                                      東大など、原子核スピンを電気として取り出す熱発電技術の実証に成功
                                    • 重い原子核の形はアーモンド型、「70年来の定説を覆す成果」

                                      多くの重い原子核の形状は、これまで考えられていたラグビーボール形ではなく、アーモンドのようにつぶれた形をしていることを理論的に示した、と理化学研究所(理研)などの共同研究グループが発表した。理研は、70年来の定説を覆し、教科書の書き換えにもつながる成果としている。 原子核は正の電荷を持つ陽子と電荷を持たない中性子で構成し、陽子と中性子の合計数が質量数。原子の性質は主に陽子数(原子番号)によって決まる。原子核の形状は核の内部構造の安定性を示す重要な特徴だ。原子核の研究は物質の構造や宇宙の核反応などを理解する上で重要とされる。 原子核の形は当初の研究では、表面張力の働きによって球形になると考えられていた。しかし、1950年代にデンマークと米国の3人の物理学者が、質量数140以上の重い原子核はラグビーボールのように楕円(だえん)体に変形していることを発見した。 またこのうちの1人は、断面が円にな

                                        重い原子核の形はアーモンド型、「70年来の定説を覆す成果」
                                      • 古代の恒星に初期宇宙で生成された「原子量260以上の原子核」の痕跡を発見

                                        【▲図: 中性子星同士の衝突現場は、r過程で重元素が生じる代表的な現場です。 (Image Credit: National Science Foundation, LIGO, Sonoma State University, A. Simonnet / Edited: MIT News) 】 鉄より重い元素が、宇宙でどのように生成されるのかはよくわかっていません。生成過程を調べるヒントの1つは古い年代の恒星に含まれている元素の比率で、生成過程を考察する上で注目されます。 ミシガン大学のIan U. Roederer氏などの研究チームは、天の川銀河にある42個の恒星の元素存在量を詳しく調べ、元素の生成過程を推定しました。その結果、「r過程」によって原子量260以上(※1)の原子核が大量に生成され、その後の自発核分裂で銀や重いランタノイド(※2)などの中程度の重さの元素が生成されたことが分か

                                          古代の恒星に初期宇宙で生成された「原子量260以上の原子核」の痕跡を発見
                                        • 超高エネルギー宇宙線、正体は原子核だった 南極観測が定説覆す成果:朝日新聞

                                          千葉大などの国際研究チームは15日、宇宙に飛び交う超高エネルギー宇宙線の主成分が、定説とされてきた「陽子」ではなく、「より重い原子核」だとする研究成果を、米科学誌フィジカル・レビュー・レターズ(ht…

                                            超高エネルギー宇宙線、正体は原子核だった 南極観測が定説覆す成果:朝日新聞
                                          • 透明な結晶にトリウム原子を埋め込んでレーザーで原子核を励起することに成功、より正確な原子時計の開発につながる可能性

                                            カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが、放射性元素のトリウムを透明度の高い結晶に埋め込み、原子核をレーザーで励起することに成功したと報告しました。今回の研究により、従来より正確な原子時計の開発などにつながる可能性があると期待されています。 Phys. Rev. Lett. 133, 013201 (2024) - Laser Excitation of the Th-229 Nuclear Isomeric Transition in a Solid-State Host https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.133.013201 Nuclear spectroscopy breakthrough could rewrite the fundamental constants of nature | UC

                                              透明な結晶にトリウム原子を埋め込んでレーザーで原子核を励起することに成功、より正確な原子時計の開発につながる可能性
                                            • 120億℃以上の環境では存在可能な原子核の総数が増える 超高温環境での新たな原子核の性質が判明

                                              【▲図1: 中性子星同士の衝突時の想像図。衝突点は最高で1兆℃、その周辺も数百億℃以上の超高温環境となり、非常に重い元素を大量に生み出すと考えられています。 (Image Credit: University of Warwick, Mark Garlick) 】 金やウランなどの重元素は、超新星爆発や中性子星同士の衝突 (※1) といった超高エネルギーな天文現象によって生成されると考えられています。重元素の詳細な生成プロセスを理解することは、原子核全般の性質や、中性子星内部のような極端な環境を知ることに繋がる重要な研究です。 ※1…中性子星とは、太陽の8倍以上の質量を持つ恒星の中心部で核融合反応が停止して超新星爆発が起こった後に残される、かつて恒星の中心核だった天体です。大雑把に言えば、中性子星は非常に多くの中性子で構成された巨大な “原子核” だと言えるため、中性子星の性質は極端な環境

                                                120億℃以上の環境では存在可能な原子核の総数が増える 超高温環境での新たな原子核の性質が判明
                                              • 理研、従来の理論で説明不能な「荷電対称性」が破れている原子核を発見

                                                理化学研究所(理研)は5月19日、これまで陽子同士の間に働く核力と、中性子同士の間に働く核力は同じ大きさと考えられてきており、陽子36個・中性子34個で構成される「クリプトン-70」と陽子34個・中性子36個の「セレン-70」のように鏡映核の関係にある原子核では働く核力が同じなので形状も同じになると思われていたが、「クリプトン-70」と「セレン-70」では形状が大きく異なっており、「荷電対称性の破れ」があることを発見したと発表した。 同成果は、理研 仁科加速器科学研究センター RI物理研究室のカトリン・ウィマー客員研究員(現・スペイン・IEM-CSIC研究員)、ピーター・ドルネンバル専任研究員、櫻井博儀室長、フランス・CEA-IRFUのヴォルフラム・コルテン上級研究員らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、米物理学会発行の学術誌「Physical Review Letters」に掲載され

                                                  理研、従来の理論で説明不能な「荷電対称性」が破れている原子核を発見
                                                • 4個の中性子だけでできた原子核を観測 テトラ中性子核の新たな証拠「原子番号ゼロの世界を開拓」

                                                  東京工業大学 理学院 物理学系の中村隆司教授、近藤洋介助教の参加する国際共同研究グループ(理化学研究所仁科加速器科学研究センター、ダルムシュタット工科大学、東京工業大学理学院物理学系、東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センター他)は、理研の重イオン[用語1]加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)[用語2]」の多種粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ[用語3]」を用いて、4個の中性子だけでできた原子核「テトラ中性子核」の観測に成功し、陽子を含まない複数個の中性子が原子核を構成して存在できる新たな証拠を得ました。 本研究成果は、陽子を1個も含まない、いわば「原子番号ゼロ」の奇妙な原子核を観測したもので、原子核、ひいては元素の安定性を決定づける「核力」のモデルを大きく変える可能性があり、さらには謎の多い超高密度天体である中性子星[用語4]の理解にもつながると期待できます

                                                    4個の中性子だけでできた原子核を観測 テトラ中性子核の新たな証拠「原子番号ゼロの世界を開拓」
                                                  • 4個の中性子だけでできた原子核を観測

                                                    理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター多種粒子測定装置開発チームの大津秀暁チームリーダー、スピン・アイソスピン研究室のバレリー・パニン特別研究員(研究当時、現客員研究員)、ダルムシュタット工科大学のメイテル・デュア研究員、ステファノス・パシャリス研究員(研究当時)、トーマス・オウマン教授、東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターの下浦享教授(研究当時)、東京工業大学理学院物理学系の中村隆司教授、近藤洋介助教らの国際共同研究グループは、理研の重イオン[1]加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)[2]」の多種粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ[3]」を用いて、4個の中性子だけでできた原子核「テトラ中性子核」の観測に成功し、陽子を含まない複数個の中性子が原子核を構成して存在できる新たな証拠を得ました。 本研究成果は、陽子を1個も含まない、いわば「原子番号ゼロ

                                                      4個の中性子だけでできた原子核を観測
                                                    • 欧州原子核研究機構(CERN)がAlmaLinuxを標準Linuxディストリビューションに推奨 | スラド Linux

                                                      欧州原子核研究機構(CERN)とフェルミ国立加速器研究所(Fermilab)は7日、AlmaLinuxを研究用の標準Linuxディストリビューションとして推奨するとの共同声明を発表した(Fermilab、The Register)。 選定の理由としてAlmaLinuxでは、各メジャーバージョンのライフサイクルが長いこと、拡張アーキテクチャのサポートなどを挙げている。また他のリビルドやRed Hat Enterprise Linuxと完全に互換性があることがテストで実証されたとしている。両組織ともに一部に関してはRHELを引き続き使用する予定。CERNは、2024年6月までCERN CentOS 7のサポートを、Fermilabも同じく2024年6月までScientific Linux 7のサポートを継続する方針だとしている。

                                                      • なぜ宇宙は膨張しているのか?宇宙物理学者が語るダークエネルギーの謎と、過去、現在、未来の宇宙 【関瑶子の研究って楽しい】高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所教授の松原隆彦氏 | JBpress (ジェイビープレス)

                                                        M87ブラックホールの輪郭。左側が2017年4月、右側が2018年4月の写真(提供:EHT Collaboration/SWNS/アフロ) 2024年1月20日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による日本の無人月面探査機SLIM(スリム)が月面に降り立ち、日本列島は歓喜と興奮に沸いた。2024年2月29日現在も、SLIMは月面から様々なデータの送信を断続的に続けている。それらのデータは、月の起源を明らかにする研究への活用が期待される。 とはいえ、宇宙は恐ろしく広い。地球からわずか38万km、約0.00000004光年離れた月の詳細ですら、我々はまだ知らない。となれば、138億光年先まで広がる宇宙は、さらに謎に包まれている。 松原隆彦氏(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所教授)は、シンプルな疑問をそのままタイトルにした書籍『宇宙とは何か』(SBクリエイティブ)を上梓した。宇宙とは

                                                          なぜ宇宙は膨張しているのか?宇宙物理学者が語るダークエネルギーの謎と、過去、現在、未来の宇宙 【関瑶子の研究って楽しい】高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所教授の松原隆彦氏 | JBpress (ジェイビープレス)
                                                        • 欧州原子核研究機構(CERN)、オープンサイエンスの高まりに対応した新たなオープンデータポリシーを発表

                                                            欧州原子核研究機構(CERN)、オープンサイエンスの高まりに対応した新たなオープンデータポリシーを発表
                                                          • 理研など、中性子4個だけでできた「原子番号ゼロ」原子核を観測

                                                            理化学研究所、ダルムシュタット工科大学、東京大学、東京工業大学の国際共同研究グループは、4個の中性子だけでできた原子核「テトラ中性子核」の観測に成功した。陽子を1個も含まない、いわば「原子番号ゼロ」の奇妙な原子核を観測したもので、原子核や元素の安定性を決定づける「核力」のモデルを大きく変える可能性があり、中性子が主成分であると考えられている超高密度天体である「中性子星」の理解にもつながると期待できる。 研究チームは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」を用いることで、酸素-18(18O)ビームからヘリウム-8(8He、陽子数2、中性子数6)の2次ビームを生成。超伝導RI(放射性同位元素)ビーム生成分離装置「BigRIPS」を用いて8He核ビームを分離・輸送し、多種粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ」の標的位置に配置した二次標的である液体水素に照射した。

                                                              理研など、中性子4個だけでできた「原子番号ゼロ」原子核を観測
                                                            • 原子核内の強い斥力を確認、物質が安定して存在する仕組みに迫る(Science Portal) - Yahoo!ニュース

                                                              原子核内の陽子や中性子が互いに反発して起きる斥力(せきりょく)を、陽子を構成する素粒子「クォーク」を一部入れ替えた粒子を使った衝突実験で検証した。東北大学などの国際研究グループが発表した。この粒子と陽子をぶつけると、陽子同士の場合とは異なり、極端に強い斥力が生じた。量子力学の基本原理を基に斥力の謎に迫り、身の回りの物質が安定して存在できる仕組みの解明につながるという。 陽子や中性子の間に働く力「核力」は、両者が1~2フェムトメートル(フェムトは1000兆分の1)ほど離れている時は引力だが、重なり合うように近いと斥力に変わる。重なりが大きいほど斥力は強い。この引力と斥力のバランスにより、原子核は潰れずに自ら安定して存在できる。しかし、斥力が生じる仕組みは未解明だった。 陽子と中性子はそれぞれ、クォーク3つでできている。「パウリの排他原理」によると、クォークは「スピン」や「カラー」と呼ばれる量

                                                                原子核内の強い斥力を確認、物質が安定して存在する仕組みに迫る(Science Portal) - Yahoo!ニュース
                                                              • 真空に埋まっている「何か」の正体がわかれば…宇宙の起源に結びつく「素粒子に残されたナゾ」(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所)

                                                                138億年前、点にも満たない極小のエネルギーの塊からこの宇宙は誕生した。そこから物質、地球、生命が生まれ、私たちの存在に至る。しかし、ふと冷静になって考えると、誰も見たことがない「宇宙の起源」をどのように解明するというのか、という疑問がわかないだろうか? 本連載では、第一線の研究者たちが基礎から最先端までを徹底的に解説した『宇宙と物質の起源』より、宇宙の大いなる謎解きにご案内しよう。 右巻き粒子と左巻き粒子 1個の素粒子に注目したとき、右と左はどう定義すればよいでしょう。静止した1つの点には右も左もありません。しかし、現実の素粒子は、「スピン」という重要な性質をもちます。 スピンとは、素粒子がもつ、あたかもスピン(自転)しているかのような性質のことです。量子論の一般的な制限によって自転の速さには最小単位があって、多くの素粒子はその最小の大きさのスピンをもって自転しており、決して止まることは

                                                                  真空に埋まっている「何か」の正体がわかれば…宇宙の起源に結びつく「素粒子に残されたナゾ」(高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所)
                                                                • 原子核の形状は「アーモンド」

                                                                  理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター 核構造研究部の大塚 孝治 客員主管研究員(東京大学名誉教授)、東京大学 大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターの角田 佑介 特任研究員、筑波大学 計算科学研究センターの清水 則孝 准教授らの共同研究グループは、量子論に基づいて、原子核の形と回転に関する新たな理論体系を提示しました。 この成果は、70年近く信じられてきた原子核の形状と回転の描像とは異なり、教科書の書き換えにもつながるものです。 多くの原子核の形は球形ではなく、楕円体に変形しています。球形から大きく変形した原子核では、断面の一つが円形であるラグビーボール型の軸対称変形[1]が起きるとされてきました。 本研究では、量子論と核力[2]の性質に基づいて原子核の変形の様子を解き明かしました。多くの原子核では三つの主軸の長さが全て異なる楕円体となっており、どの断面も円形にならないアー

                                                                    原子核の形状は「アーモンド」
                                                                  • 宇宙から原子核まで「三体力」が重要、東北大などが新アプローチ手法を開発

                                                                    東北大学、大阪大学(阪大)、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、理化学研究所(理研)、九州大学(九大)、宮崎大学の6者は4月26日、陽子とヘリウム3原子核の高精度散乱実験を行い、実験的な証拠を掴むのが難しいとされてきた3つの陽子の間に働く「三体力」にアプローチする手法の開発に成功したと発表した。 同成果は、東北大大学院 理学研究科の渡邉跡武特任助教、同・関口仁子准教授を中心に、大阪大学(阪大)、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、理化学研究所(理研)、九州大学(九大)、宮崎大学、法政大学、量子科学技術研究開発機構、リトアニア・ヴィルニウス大、中国科学院近代物理研究所の研究者を加えた国際共同研究チームによるもの。詳細は、米国物理学会誌の原子物理学を扱う「Physical Review C」に掲載された。 「三体力」または「三体問題」などと呼ばれる、3つの物体の間に働く相互作用はミクロから

                                                                      宇宙から原子核まで「三体力」が重要、東北大などが新アプローチ手法を開発
                                                                    • 荒勝文策と原子核物理学の黎明(政池 明)| 京都大学学術出版会

                                                                      日本の原子核研究は,当時小さな国力にも関わらず,戦前から非常に高い水準にあった。仁科芳雄と並びそれを実験原子核物理の分野から牽引したのが荒勝文策であり,敗戦直後,日本の科学技術を調査した占領軍を驚かせた。アジア初の核変換実験,今日から見ても極めて高精度のウラン核分裂の計測,広島の原爆調査と台風遭難の悲劇,そして理不尽なサイクロトロン破壊と研究禁止……。「秘話」として部分的にしか語られてこなかった,激動の近代史の中で取り組まれた核研究を,始めて内外の膨大な資料の解析で通史として記録する。 【著者紹介】 政池 明(まさいけ あきら) 京都大学名誉教授,国際高等研究所フェロー 1934年生まれ.京都大学理学部物理学科卒業,京都大学大学院理学研究科博士課程修了,理学博士.高エネルギー物理学研究所教授,京都大学理学部教授,福井工業大学教授,奈良産業大学教授,日本学術振興会ワシントンセンター長などを歴

                                                                        荒勝文策と原子核物理学の黎明(政池 明)| 京都大学学術出版会
                                                                      • 【電子と原子核がバラバラになる】物質第4の状態「プラズマ物理学」の世界 - ナゾロジー

                                                                        「プラズマ」という言葉を聞くと、プラズマテレビやプラズマクラスターなどの家電を思い浮かべる方も多いかもしれません。 しかし、物理学におけるプラズマとは、そんな印象とは少し異なる存在です。プラズマとは、固体、液体、気体のいずれでもない物質の第4の状態を指しています。 プラズマは、物質が非常に高温になったとき、気体の分子だけでなく原子までがバラバラに分解され、電子と陽イオンに分かれて激しく動き回っている状態を指します。 これにより、プラズマは電気を通し、電磁場の影響を強く受ける特性を持つのです。 自然界では、太陽のような恒星、オーロラ、雷などがプラズマの代表例です。また、蛍光灯やネオン管の中でもプラズマが利用されています。 今回はそんなプラズマを扱うプラズマ物理学が、物理学の一分野として特別な扱いを受けるようになった経緯、その歴史と重要性について解説していきます。 Introduction T

                                                                          【電子と原子核がバラバラになる】物質第4の状態「プラズマ物理学」の世界 - ナゾロジー
                                                                        • 阪大など、原子核の特殊状態「アルファ凝縮状態」の候補をネオン20で発見

                                                                          大阪大学(阪大)と京都大学(京大)は6月14日、中性子星の表面近くで現れると予測されている、原子核の特殊な状態である「アルファ凝縮状態」の候補をネオン20原子核にて発見したと発表した。 同成果は、阪大大学院 理学研究科の足立智特任研究員、同・川畑貴裕教授、同・古野達也助教、京大大学院 理学研究科の藤川祐輝大学院生を中心とした、阪大核物理研究センター、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター、甲南大学、宮崎大学、理化学研究所の研究者が参加した20名からなる共同研究チームによるもの。詳細は、素粒子物理学や原子核物理学、宇宙論などを扱うオープンアクセスジャーナル「Physics Letters B」に掲載された。 すべての原子の中心には原子核があり、その原子核は陽子と中性子から構成されている。原子核を記述する理論として大きな成功を収めている「殻模型」では、原子核内においては陽子と中性子

                                                                            阪大など、原子核の特殊状態「アルファ凝縮状態」の候補をネオン20で発見
                                                                          • 原子核の衝突現場はブラックホールとよく似ている?

                                                                            【▲ 楕円銀河「M87」の中心にある超大質量ブラックホールの画像。2019年4月公開(Credit: EHT Collaboration)】 【▲ 図: 100億kmの大きさを持つブラックホールと、1000兆分の1mしかないカラーガラス凝集体に共通点があることが判明した(Credit: Event Horizon Telescope Collaboration (左) / Brookhaven National Laboratory (右側).)】私たちの身近に存在する物質は原子でできていて、原子は電子と原子核で構成されています。原子核は陽子と中性子の組み合わせでできており、陽子や中性子は「クォーク」という6種類の素粒子が3個ずつ組み合わさってできています。3個のクォークが陽子や中性子を構成したり、陽子と中性子が原子核を構成したりできるのは、「グルーオン」という粒子が媒介する「強い相互作用

                                                                              原子核の衝突現場はブラックホールとよく似ている?
                                                                            • 【錬金術】鉛の原子核を衝突させることで金を作り出すことに成功「コストはすごいけどロマンがある」「一瞬で消滅か…」

                                                                              日本経済新聞 電子版(日経電子版) @nikkei 「鉛から金を作り出すことに成功」 CERN加速器実験、錬金術に成功 nikkei.com/article/DGXZQO… 鉛の原子核同士を衝突させることで、錬金術師が追い求めた夢を実現しました。ただ合成された金は微量。大量の金を作り出すのは難しそうです。 2025-06-16 14:00:06 リンク 日本経済新聞 「鉛から金」現代の錬金術成功 CERN加速器実験、大量合成は困難 - 日本経済新聞 かつて錬金術師たちが追い求めた夢を最先端技術が実現した――。国際研究グループは微粒子を光速近くまで加速できる大型の加速器を使い、「鉛から金を作り出すことに成功した」と明らかにした。ただ、目に見えないほどの微量で、大量の金を作り出すのは難しそうだ。物質を構成する原子は中心にある原子核と、その周辺を動き回る電子によってできている。さらに、原子核は陽

                                                                                【錬金術】鉛の原子核を衝突させることで金を作り出すことに成功「コストはすごいけどロマンがある」「一瞬で消滅か…」
                                                                              • CERN・LHC実験で実現した現代の錬金術:鉛から金への核変換に成功、一瞬で消滅する89,000個/秒の金原子核 - イノベトピア

                                                                                CERN・LHC実験で実現した現代の錬金術:鉛から金への核変換に成功、一瞬で消滅する89,000個/秒の金原子核 Last Updated on 2025-05-14 22:08 by TaTsu 欧州原子核研究機構(CERN)のスイス・ジュネーブ近郊にある大型ハドロン衝突型加速器(LHC)において、鉛を金に変換する核変換実験が成功した。この成果はALICE(A Large Ion Collider Experiment:大型イオン衝突実験)共同研究グループによって2025年5月7日に「Physical Review C」に論文として発表された。 実験では、LHCが鉛イオンを光速の99.999993%まで加速し、「ニアミス衝突」と呼ばれる特殊な状況で互いに近接通過する際に生じる強力な電磁場によって、鉛原子(陽子82個)から3個の陽子が放出され、金原子(陽子79個)が生成されることが確認され

                                                                                1