本当は頭がいいのに馬鹿のような振る舞いをするやつがきらいだ。 行間から垣間見せる微かな知性のきらめきに嫉妬するとともに憧れてしまう。すべてを転倒させるその言動に、ふと馬鹿にされているような錯覚に陥るが、彼らは決してひとを見下すことはない――少なくとも表立ってすることはない――ので、それはきっと被害妄想に過ぎないのだった。だからきらいだ。 救いがたい馬鹿のくせに真実自分は頭が良いのだと吹聴してまわるやつがきらいだ。 取り繕っても放つ悪臭が目に染みるのだ。ずたずたでめっためったな論理でもって馬鹿にされるのは心底腹立たしいことではあるが、彼らは散漫で、支離滅裂で、対象を指定して攻撃することすらも困難な元祖独り相撲取りといったありさまなので、この苛立たしい気持ちは被害妄想でしかないというのは明白だった。だからきらいだ。 装うことを知らないまっすぐな馬鹿がきらいだ。 心底馬鹿で手がつけられない。暮ら