五輪最終日を盛り上げた男子マラソンは、仙台育英高校で駅伝を学んだケニア代表のサムエル・ワンジル(21)が、恩師に教えられた「我慢の走り」で金メダルをつかみ取った。 全国高校駅伝での驚異的な走りで頭角を現したワンジルは、卒業後に所属したトヨタ自動車九州でバルセロナ大会マラソンの銀メダリスト、森下広一監督の指導で実力を養い、初マラソンだった2007年の福岡国際マラソンを大会新記録で優勝。非凡な才能を見せつけた。 五輪では、レース冒頭から先頭集団でハイペースのレースを引っ張り、35キロ過ぎに満を持してスパート。スタジアムでは満員の大観衆に笑顔で手を振りながら走り、五輪記録を更新する完璧な勝利を決めた。 ■ ■ ■ 陸上を始めた14歳のころから、ワンジルの夢は変わらなかった。「おれは世界チャンピオンになる。オリンピックに出てメダルを取る」。同高陸上部の渡辺高夫総監督(61)にも初対面でこう言