「障碍」を持つ人々の総称である「障碍者」という言葉はいつごろ出現したのであろうか。 筆者はこれまで第二次世界大戦終戦後、傷痍軍人や傷病兵、その他障碍のある人たちを対象に、欧米式概念の一つである福祉施策を実施するに当たり、その必要から戦後生まれた表記ではないかと推測してきた。そして、1932年(昭和7年)にできた救護法の文中にある「精神的又は身体的障碍のある者」との記述を「障碍者」の原型と位置付けてきた。 ところが、最近になって、佐藤久夫先生(日本社会事業大学名誉教授)より、戦前の学術論文の中に「障碍者」と「障害者」両方の記載例が見つかりましたとのご指摘を受けた。 佐藤先生がCINII学術論文データベースで「戦前」「障碍者」「障害者」のキーワードで全文検索された結果出てきたものである。 検出された6論文の内4件が「障碍者」で全て医学論文であるのに対し2件はいずれも東京帝国大学航空研究所の論文