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ブックマーク / mmpolo.hatenadiary.com (586)

  • 金井美恵子の毒舌を堪能する - mmpoloの日記

    金井美恵子『を書く人読まぬ人とかくこの世はままならぬ PART II』(日文芸社)を読む。例の如く毒舌満載のエッセイ集。 宮沢賢治の童話に『どんぐりと山』というのがあって、山のなかにうじゃうじゃ住んでいるどんぐりたちが誰が一番エライかと争いをはじめ、山の判事として裁ききれなくなった山が、村の一郎という子供に知恵を借りて争いを丸く収め、一郎はそのお礼に黄金のどんぐりを1升もらって帰るのだが、家に戻ってみると、それはただのどんぐりだった、という話である。(中略) 鏡花賞以来、地方の文学賞というのが大変に盛んらしく、あれこれと批判めいた言葉を眼にしたり耳にしたりもする。そうした話が出た折りに、鏡花賞の受賞者と選考委員を前に、私は冗談のつもりで、『どんぐりと山』のあらすじを紹介してから、宮沢賢治賞というのがあれば、正賞は黄金メッキのどんぐりがいいのじゃないか、その意味はむろん「どんぐりの

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    sphynx 2012/08/04
  • Chim↑Pomの『芸術実行犯』を読む - mmpoloの日記

    Chim↑Pomの『芸術実行犯』(朝日出版社)を読む。Chim↑Pomは現代美術のユニットで、男5名女1名で構成されている。世間ではお騒がせ集団と認識されているかもしれない。広島の空に飛行機雲で「ピカ」と書いたり、渋谷駅の岡太郎の壁画「未来の神話」の空隙に福島原発の絵を付け加えたりといった事件で話題になったのだから。 読んでみて意外に真っ当なことが書かれていてちょっと拍子抜けした。彼らにしてみたら、色物と思われるのが嫌で真面目に書いたのだろうけれど。 Chim↑Pomは最初から現代美術のユニットではなかった。むしろ悪乗り集団というか、おふざけグループといった存在だったと思う。初期活動がDVDになっており、それを見る限りそう断定してよいだろう。エリイが赤く着色した牛乳を飲んで吐き続けるパフォーマンスとか、三越デパートの館内放送で「チンポン様」と呼び出させるとか、ディズニーシーでみな裸で記念

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    sphynx 2012/08/03
  • 雑司ヶ谷の千登世橋 - mmpoloの日記

    先月半ば目白の望美楼ギャラリーへ山崎万亀子水彩画展を見に行った。東京で水彩画だけの個展をするのは初めてと言っていたが、水彩画もとても良かった。その後表参道のギャラリーへ行こうと地下鉄雑司ヶ谷駅に向かった。駅のすぐ手前に古そうな趣のある陸橋があった。目白から歩いてきた目白通りが明治通りを跨いでいた。 そのちょうど半月後、毎日新聞の日曜版に連載されている大竹昭子のエッセイ「日和下駄とスニーカー」が「陸橋(その三)」だったが、そこにこの千登世橋が取り上げられていた(7月29日)。 ……谷道や尾根道を縦に結んだ最初の幹線は明治通りである。正式には環状5号線というが、この明治通りと目白通りが交差する場所に昭和8年、千登世橋が架けられた。これが幹線道路同士の立体交差としては最初期のものだという。(中略) 知らずに来たら川が流れているかと見下ろしてしまうほど、橋らしい橋である。それは視界の広がりだけでな

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    sphynx 2012/08/02
  • 東京国立近代美術館の吉川霊華展を見て - mmpoloの日記

    東京国立近代美術館で行われた吉川霊華展「近代にうまれた線の探求者」を見た(2012年6月12日−7月29日)。吉川霊華は1875年生まれ、1929年に54歳で亡くなっている。展覧会のちらしから、 吉川霊華といってもほとんどの人はご存知ないかもしれません。 物語や道釈人物を画題としているからといって、敬遠しないでください。霊華の作品の魅力はその線にあります。細く、速度をもってリズミカルに継がれてゆく線が、山となり雲となり、人をかたどったかと思えば、余白に散らされた仮名となる。書も画も一体となったようなその独歩の世界に息をひそめて近づくと、かすかに、たとえようもなく美しい音曲が聞こえてくるはずです。 やまと絵の研究からはじめて広く東洋芸術を研究した霊華。1916年に鏑木清方や平福百穂らと結成した金鈴社という舞台を得て画壇にその名が知られるようになっても、帝展などの大きな展覧会からは距離を置き、

    東京国立近代美術館の吉川霊華展を見て - mmpoloの日記
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    sphynx 2012/08/01
  • 官能小説、英米で爆発的ヒット - mmpoloの日記

    朝日新聞7月30日付け夕刊に「官能小説、英米で爆発的ヒット」という見出しの記事が載っていた。筆者は(ニューヨーク=中井大介)。 SMを題材にした官能小説が英米で爆発的に売れている。30代前後の女性に人気が集中し、「マミーポルノ」と呼ばれるほどの社会現象になっている。 英国人のE. L. ジェームスが執筆した「Fifty Shades of Grey」と、それに続く2冊の3部作が7月中旬までに合計2千万部売れ、史上最大のベストセラーの1つとなっているという。内容は、一人の女子大生が裕福なビジネスマンにひかれ、SMの世界に引き込まれていく様子が、赤裸々な描写で描かれているものだという。 子どもがいないデリア・ハウザーさん(31)は「おもしろいけれど、文章はひどい」とも指摘。インターネット通販・アマゾンの読者評価では最高の5つ星と、最低の1つ星が多い。 これって、単純にハーレクイーンのカテゴ

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    sphynx 2012/08/01
  • 『東京大学のアルバート・アイラー』を読む - mmpoloの日記

    菊地成孔+大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー』(文春文庫)を読む。副題が「東大ジャズ講義録・歴史編」とあり、2巻の上巻で、下巻が「東大ジャズ講義録・キーワード編」となる。これが途方もなくおもしろかった。書は2005年5月にメディア綜合研究所から出版された。その頃毎日新聞の書評で井上章一が絶賛した。 私はこういうを、まっていた。こういうが、読みたかった。今、一冊をいっきに読みおえ、たいへん満足している。 テーマはジャズの歴史である。20世紀後半にモダンジャズが成立する。そして、先鋭化されつくしたはてに、古典芸能化されていく。その経緯を、このは説明してくれる。 そんな、いくらでもあるじゃないかと、思われようか。そう、モダンジャズの歴史なら、くさるほどある。だが、書のようなかまえでジャズ史にとりくんだ出版物は、まだ見たことがない。このが、すくなくとも私にとっては、最初の

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    sphynx 2012/07/29
  • 芥川喜好の『時の余白に』を読む - mmpoloの日記

    芥川喜好のエッセイ集『時の余白に』(みすず書房)を読む。芥川は1948年長野県飯田市生まれの東京育ち。早稲田大学を卒業し、読売新聞社へ入社。水戸支局を経て東京文化部で美術展評、日曜版美術連載企画などを担当と著者略歴にある。 書は毎月1回読売新聞に連載したエッセイ「時の余白に」の2006年4月から2011年9月までの分をまとめたもの。鷲田清一が朝日新聞の書評で取り上げている(7月1日)。 著者が抑えた声で口にする違和感の断片を星座のようにつないでゆくと、熊谷守一や池田龍雄、早川俊二、谷川晃一らちょっと地味な作家にこと寄せた、著者の矜持が浮かび上がってくる。身の丈、落ち着き、思慮深さ、待つこと、削ぎ落とすこととといった、人の〈品位〉とでも言うべきものだ。 芥川は新聞記者でありながら、良い文章を書く。書いていることも的確だ。最近の展覧会ではお馴染みの音声ガイドを聴きながら作品を鑑賞する人が

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    sphynx 2012/07/29
  • 日経新聞小説大賞を受賞した『野いばら』を読む - mmpoloの日記

    梶村啓二『野いばら』(日経済新聞出版社)を読む。日経済新聞小説大賞を受賞し、辻原登が毎日新聞の書評で絶賛していた(2012年1月29日)。その書評から、 日原産の野いばらがヨーロッパのバラの基礎になったことはよく知られている。5月から7月、日の山野に咲き香る白い小さな花が何者かの手によって英国へ渡り……、と夢想する中から、これ以上ない上質のロマンが紡ぎ出された。見事な大聖堂(カテドラル)のようだ。現代日のビジネスマン縣(あがた)和彦の物語がカテドラルの外陣を、彼の手に偶然もたらされる、150年前、横浜に駐在した英国海軍情報士官ウィリアム・エヴァンズの手記が内陣を構成する。堂内に響くのはバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータで、音に乗って運ばれてくるのは野いばらの芳香だ。 こんな風に書かれれば読まざるを得ない。なるほどよく書けている。日語を学びたいというエヴァンズに、幕府

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    sphynx 2012/07/28
  • ギャラリーαMの安藤陽子展 - mmpoloの日記

    東京千代田区東神田のギャラリーαMの安藤陽子展を見た。これはαMプロジェクト「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう」の3回目で、東京国立近代美術館の学芸員保坂健二朗がキュレーターとなって全9回10人の作家を取り上げる企画となっている。前回俵萌子に続いて今回も優れた作家が選ばれている。安藤陽子は1979年長野県安曇野市生まれ、2005年に愛知県立芸術大学大学院美術研究科日画専攻を修了している。東京での個展は2010年に当時のINAXギャラリー2についでようやく2度目となる。 作品はいずれも上半身を描いた人物像で、絹彩色、絹地を浮かせて額装している。色彩が柔らかく、浮かせているため光が後ろに回って透明感がある。 保坂健二朗が「安藤陽子の描く顔と、それを前にすることの意味。」というテキストを書いている。 彼らが悲しんでいるのか微笑んでいるのか。思いを寄せてくれているのか哀れんでいるのか。まだ生き

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    sphynx 2012/07/22
  • ドナルド・ジャッドのミニマルな作品 - mmpoloの日記

    朝日新聞にドナルド・ジャッドが紹介されていた(2012年7月18日夕刊)。 この「無題No.306」という作品は東京都現代美術館の常設で展示されている。記事は大西若人が書いている。 作品とは、誰かによって作られたものだろう。この1点なら、引き出しのような10個の鉄の箱がそれにあたる。 10個が縦一列に、箱の厚みと同じ間隔で重なる「スタック(積み重ね)」と呼ばれるシリーズ。最小限の要素による「ミニマル・アート」を代表するジャッドの、これまた代表的なシリーズだ。(後略) このジャッドと草間彌生は友達だった。草間彌生自伝『無限の網』(新潮文庫)で草間が書いている。 私がドナルド・ジャッドと知り合った頃、彼はコロンビア大学のマイヤ・シュピロの学生で、まだ学士課程にいた。清潔で美男で誠実な人だった。 大学院の時、アルバイトであちこちに評論を書いて、それでべていた。私がブラダ画廊で個展をやった時にジ

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    sphynx 2012/07/21
  • 国立新美術館の「具体」を見て - mmpoloの日記

    木の国立新美術館で「具体」展が開かれている。副題が「ニッポンの前衛 18年の軌跡」という。同展のパンフレットより、 世界が認めた日の前衛美術グループ、「具体」 その全貌が、ついに東京で明らかになる ・ 具体美術協会(「具体」)は、1954年、吉原治良をリーダーに関西在住の若い美術家たちで結成された前衛美術グループです(1972年解散)。グループ名は、「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示したい」という思いをあらわしています。 「具体」は「人のまねをするな」「これまでになかったものを作れ」という吉原の厳しい指示のもと、奇想天外な発想でユニークな作品を次々と生み出しました。それらは当時、国内ではほとんで評価されませんでしたが、欧米では注目を集め、解散後もヨーロッパの美術館では"GUTAI"の回顧展が何度も企画されています。日でも、1980年代になって再評価が進み、関西を中心

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    sphynx 2012/07/20
  • 片山杜秀『未完のファシズム』を読んで - mmpoloの日記

    思想史研究者、音楽評論家という不思議な肩書きを持つ片山杜秀の新著『未完のファシズム』(新潮選書)を読む。これがとてもおもしろかった。片山には佐藤卓己から「構成と文体の見事さは芸術品」と評された『近代日の右翼思想』(講談社選書メチエ)という優れた著書がある。またクラシック音楽を論じた『音盤考現学』『音盤博物誌』(ともにアルテスパブリッシング)では吉田秀和賞とサントリー学芸賞を受賞している。 日は日露戦争の旅順攻防戦において多大な死者を出した。それを反省して第1次大戦の青島要塞攻撃では大量の砲撃を先行させ、日兵の死傷者を最小にとどめた。 その後、日の軍部は皇道派と統制派に分かれる。皇道派は経済力=戦力に劣る日は、勝てそうな相手とだけ短期決戦+包囲殲滅戦で戦うとした。だがその皇道派は2.26事件を起こして没落する。 統制派は計画経済によって日を「持てる国」に変え、その後「持てる国」ア

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    sphynx 2012/07/17
  • 山本弘31回目の祥月命日 - mmpoloの日記

    7月15日は山弘の祥月命日だ。今年で31年目になる。1981年のこの日亡くなった。アル中治療のため1年以上入院していた飯田市営病院を退院して100日ほどだった。家族を実家へ帰し、ひとりで自死した。51歳だった。 山弘は15歳で終戦を経験してから、なぜか自殺願望に取り付かれたのだった。首を吊り、ナイフを太ももに突き刺し、1升の焼酎を飲んでから池に飛び込み、青酸カリを飲み、だがいずれも失敗した。ただ愛子さんと結婚し娘の湘ちゃんが生まれてからは、もう自殺の影は消えたかのようだった。絵の制作の没頭する日々だった。その後に飲酒の日が続いた。絵画制作、飲酒、寝込むというサイクルが何年も何年も続いた。 アル中はますますひどくなり、何度も入退院を繰り返した後、1年以上に渡る隔離病棟への入院だった。そして退院して3カ月ほどで亡くなった。 葬儀の日、山家の墓に1輪のヤマユリが咲いていた。暑い日だった。墓

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    sphynx 2012/07/15
  • LIXILギャラリーの「聖なる銀−−アジアの装身具展」が興味深い - mmpoloの日記

    東京京橋のLIXILギャラリーで「聖なる銀−−アジアの装身具展」が開かれている(8月25日まで)。LIXILギャラリーはもとINAXギャラリー、社名が変わってギャラリー名も変わった。ギャラリーのホームページから、 月光のごとく煌く銀 身を守り喜びを表すかたちは、民族のあかし 古来よりその輝きは月光にも喩えられる銀。アジアにおいて銀は普遍的な素材として、また強い反射が邪悪なものをはね返す金属として尊ばれ、装身具に多用されてきました。とりわけ数百の民族が暮らすアジアでは、装身具は自身を飾るという目的以外に、民族のアイデンティティを示す重要なアイテムとして人々の暮らしの中で受け継がれてきました。それ故に存在感のある大胆な造形や手の込んだ細工など、ヨーロッパ以上に種類も豊富で固有なデザインが存在します。また装身具に込められた思いをひも解くと、生命と直結した聖なるものとしての意義や身体装飾への情熱ま

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    sphynx 2012/07/13
  • ノンブルの振り方 - mmpoloの日記

    のページを表す数字をノンブルと言う。ノンブルはナンバーに相当するフランス語。出版界ではノンブルで通っている。ノンブルを付けるのを「ノンブルを振る」と言う。 日ではや雑誌に縦組みと横組みがある。縦組みでは見開きページの右が小さい数字になる。反対に横組みでは左ページが小さい数字になる。ときどき、これを間違えているものが見られる。間違えているのはパンフレットなどに多い。 ノンブルをどのように振ったら良いか。縦組み・横組みに共通して、ひと言で表す言葉を考えた。 見開きで小さい数字が偶数とする。 右開きでも左開きでも、これを守ればノンブルを振るのに間違えることはない。

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    sphynx 2012/07/09
  • 井上理津子『旅情酒場をゆく』を読む - mmpoloの日記

    以前、丸谷才一『通知ったかぶり』を紹介して、つまらないエッセイだったと書いた。そんな生意気なことを書いたのも、べ歩きの面白いエッセイを知っていたからだ。 つまらないなどと丸谷大先生に対して断定的なことが言へるのも、同じやうに全国各地のうまいものをべ歩いている面白いエッセイがあるからだ。それは筑摩書房のPR誌「ちくま」に連載されている井上理津子の「旅情酒場をゆく」のこと。丸谷大先生との違ひは、そこへ行くまでの旅が詳しく書かれており、料理屋の主人との会話がいきいきと再現されている。料理のほかにそれを取り巻く人間について語られているのだ。 ・丸谷才一の「通知つたかぶり」(2010年4月16日) それがちくま文庫になった。井上理津子『旅情酒場をゆく』(ちくま文庫)がそれだ。和歌山県勝浦では、南紀通の友人に絶大なる推薦を受けてきた「おがわ」という店に入る。 「見て見て井上さん、メニューやばい

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    sphynx 2012/07/08
  • ルテシアという名前を巡って - mmpoloの日記

    以前、渋谷のホテル街で東電OL殺人事件事件現場アパートを探し歩いていたとき、ルテシアという名前のホテルを見つけ、その名前がなぜか気になった。しばらくして、ロベール・アンリコが監督したフランス映画『冒険者たち』のヒロインの名前がレティシアだったことを思い出した。これは1967年公開のフランス映画で、ジョアンナ・シムカス演じるレティシアにアラン・ドロンとリノ・バンチュラの二人の男が恋をするという映画だった。男二人の友情と女との三角関係を描いて切なかった記憶がある。 『冒険者たち』に関するAmazonのレビューから 郊外の飛行クラブでインストラクターをしているマヌー(アラン・ドロン)と新型エンジンの開発に熱中す元レースカーのエンジニア・ローラン(リノ・バンチュラ)のもとに、レティシア(ジョアンナ・シムカス)という女性が現れる。芸術家の卵である彼女に恋心を抱くふたり。やがて3人は、アフリカの海底

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    sphynx 2012/07/08
  • やまだ紫の『樹のうえで猫がみている』を読む - mmpoloの日記

    やまだ紫の『樹のうえでがみている』(筑摩書房)を読む。詩とイラストをそれぞれ一つずつ、見開き2ページに配置している。全部で43篇、94ページ。往復の通勤で2度も読んでしまった。 その詩「視線」とイラスト数点を紹介する。 かがみ込んで カーペットのゴミを つまみとっている 洗いあがった白いシャツの衿を陽に透かし 汚れはとれたろうかと みている 当は カーペットのゴミも シャツの衿もみていない そんな事をする自分をみていて いきなり振り返り 男の視線をたぐり (日暮れたら抱いてよ) そう言っている イラストが達成した高さに対して、詩は一歩を譲っている。これだけ性格の違うを描き分けている。 しかし作家はマンガやイラストが主体のように思われるから、それでいいのじゃないか。一歩を譲っていると書いたが、都会的な洗練された詩であることに間違いはない。 樹のうえでがみている 作者: やまだ紫出版社

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    sphynx 2012/07/04
  • 荒川洋治の詩論がとても良い - mmpoloの日記

    仕事で世話になったMさんから、相田みつをを読むよう強く勧められた、とても良いから騙されたと思って読んでごらん。もちろん読まなかった。たまに広告なんかで眼にする相田の詩らしきものの俗っぽさが嫌いだった。変な手書きの文字も。 Mさんは良い人だったが、気の弱い人だった。新潟営業所にいたときに、得意先の人から「赤旗」新聞の日曜版を勧められ断れなくて購読した。きっと新潟の公安警察のリストに載って、東京の社の人事部にも連絡されてしまっていると言い、俺はいいんだと強がった。その程度でリストに載ったぐらい良いじゃないですかと思ったが言わなかった。 荒川洋治の『詩とことば』(岩波現代文庫)に相田みつをについて、ちょっとだけ触れられている。 相田みつをの詩は人気だよ、という人もいることだろう。たしかにそれは行分けのスタイルをとる。詩のかたちだ。ほとんどは2、3行の感想のようなもの。見る人が見やすいように、

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    sphynx 2012/07/04
  • 山口百恵『蒼い時』を再読する - mmpoloの日記

    先日、中川右介の評伝『山口百恵』(朝日文庫)を読んだので、彼女自身の自伝『蒼い時』(集英社)を32年ぶりに読み返す。山口百恵が結婚・引退に際して執筆したもの。前半の自伝と、後半のエッセイからなる。自伝部分は、出生、性、裁判、結婚、引退、随想の6章からなっている。以前も読んだし、中川の評伝を読んだばかりだったので目新しいことはなく、強い興味を惹かれた部分はなかった。ただ初めて読んだときは大スター山口百恵のプライベートな部分が明かされていて興味深かっただろう。 今回面白かったのは後半のエッセイだった。中学生のときにした新聞配達で「十分すぎるほどに叱られ慣れてしまったようだ」とか、何度か体験した予知能力とか、死に関するエッセイも良い。 文章に関する訓練を受けたことのないだろう山口百恵がどうしてしっかりした文章を書くことができたのか。おそらく阿木燿子などの易しくはない歌詞を深く読み込むことが文章力

    山口百恵『蒼い時』を再読する - mmpoloの日記
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    sphynx 2012/06/28