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mmpoloに関するsphynxのブックマーク (271)

  • マナーとは何か――村上リコ『図説 英国社交界ガイド』を読む - mmpoloの日記

    村上リコ『図説 英国社交界ガイド』(河出書房新社 ふくろうの)を読む。副題が「エチケット・ブックに見る19世紀英国レディの生活」。18世紀の産業革命の結果、19世紀にイギリスではブルジョワジーが繁栄を極めた。豊かになった中流階級が貴族や地主たちからなる上流階級への接近を図った。そのためのエチケット・マナーを教授する「エチケット・ブック」がよく売れた。書は当時のエチケット・ブックの分析を通じて、どんなエチケットが必要とされたかを紹介している。 社交界とは、(……)貴族や地主からなる上流階級の人びとが交際するコミュニティだ。そこには、権力・権威をなるべく少数の人間の手中にとどめ、新参者が増えすぎないように防ごうとする力が働く。社交界に属する家系に生まれ育った人なら、当然身につけているはずの風習も、外部の人間にはわからない。そのため、貴族の世界の基的な交際のルールに通じているかどうかが内と

    マナーとは何か――村上リコ『図説 英国社交界ガイド』を読む - mmpoloの日記
  • 佐藤優『君たちが知っておくべきこと』を読む - mmpoloの日記

    佐藤優『君たちが知っておくべきこと』(新潮社)を読む。副題が「未来のエリートとの対話」とあって、灘高校の生徒たちと3年にわたって3回対話したことの記録である。2013年と2014年、2015年のそれぞれ4月に灘高生たちが佐藤の家に集まって対話というか、佐藤の講義を受けている。3回のテーマはそれぞれ「真のエリートになるために」、「戦争はいつ起きるのか」、「僕たちはナショナリズムから逃れられない」というもの。 佐藤は灘高生たちは日のエリートの予備軍だ、君たちが真のエリートになるためにと、様々なアドバイスをする。エリートという存在を否定的にとらえるのではなく、エリートはどこの国、どこの社会にもいると肯定的にとらえている。 佐藤は戦後の日政治家について、例をあげて評価をする。鳩山元首相は、 佐藤  ……彼は修士を二つ取って、博士論文もスタンフォード大できちんと書いています。マルコフ連鎖という

    佐藤優『君たちが知っておくべきこと』を読む - mmpoloの日記
  • ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』を読む - mmpoloの日記

    、 ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』(新潮文庫)を読む。「Star Classics―名作新訳コレクション―」の1冊。このシリーズではグレアム・グリーン『情事の終り』も良かった。 ブルガーコフはソ連の作家だが長くソ連内では発禁だったという。ソ連の民主化ペレストロイカによってようやく発行され、『巨匠とマルガリータ』はベストセラーになり、ガルシア=マルケスはブルガーコフを師とあおいで20世紀最大の作家とみなしたという。 「犬の心臓」は、死んだ男の睾丸と脳下垂体を移植された野良犬が人間になって、様々な不行跡を行うというもの。人間になった犬は下品で好色でずるくてどうしようもない。これは革命によって権利を得たプロレタリアートへの風刺以外に読めそうもない。 「運命の卵」は、偶然発見された赤い光線を浴びた卵から孵化した両生類や爬虫類が、異常に大きく成長し繁殖力も旺盛になって暴れるという、これまたロシア

    ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』を読む - mmpoloの日記
  • 中村稔『言葉について』を読む - mmpoloの日記

    中村稔『言葉について』(青土社)を読む。同じ題名で書かれた20篇の14行詩(ソネット)だ。どれも4行+4行+3行+3行の14行で書かれている。タイトルのようにページの真ん中に数字が、1・2・3・・・のように入り、続いて見開きで詩が1篇置かれ、その次が裏白、ついで数字、また見開きで詩というように、4ぺージ使って1篇の詩がレイアウトされている。20篇×4ぺージ+後書で〆て86ぺージの構成。 まず「1」を、 私たちは言葉に躓く。 言葉が私たちを連れこむのは平坦な道ではない。 坂あり、谷あり、しかけられた罠がひそむ。 クマザサを踏み分けていくけものみちだ。 私たちは言葉に迷わされる。 私たちは心やさしいから言葉に迷わされる。 迷わされたからといって言葉を責めてはならない。 迷わされた私たちの心のやさしさを信じていればいい。 言葉が私たちを連れこんだのは、はてしもないけものみちだ。 どこにも道しるべ

    中村稔『言葉について』を読む - mmpoloの日記
  • 『ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い10分間の大激論の謎』を読む - mmpoloの日記

    デヴィッド・エドモンズ&ジョン・エーディナウ『ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い10分間の大激論の謎』(ちくま学芸文庫)を読む。最初に書いてしまうと、羊頭狗肉だった。ポパーとウィトゲンシュタインの大激論とあり、ちくま学芸文庫から出版されているので2人の哲学を論じていると期待してしまった。そうではなかった。著者2人はBBCのジャーナリストで、ポパーとウィトゲンシュタインの対立をジャーナリスティックに面白おかしく綴っている。まあ、哲学を論じていると思ったから羊頭と考えた私の早とちりなんだけど、初めから犬の肉と思って読めば面白く興味深い読書だった。とくに両者を始めバートランド・ラッセルも含めて、一人の伝記と違って徹底的に相対化している。偉大な哲学者たちが全員その行動面ではなく思想面で相対化されて描かれているというのは新鮮だった。普通伝記では描かれる主人公をときに神格化ま

    『ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い10分間の大激論の謎』を読む - mmpoloの日記
  • 斉藤斎藤『渡辺のわたし』を読む - mmpoloの日記

    斉藤斎藤『渡辺のわたし』(港の人)を読む。口語で短歌を書いている1972年生まれの新しい傾向の歌人の歌集だ。これがよく分からない歌ばかりだ。 君の落としたハンカチを君に手渡してぼくはもとの背景にもどった 牛丼の並と玉子を注文して出てきたからにはわねばなるまい 自動販売機とばあさんのたばこ屋が自動販売機と自動販売機とばあさんに おれはおれが何故何故何故かきみを抱いているセミダブルベッドで 内側の線まで沸騰したお湯を注いで明日をお待ちください 「お客さん」「いえ、渡辺です」「渡辺さん、お箸とスプーンおつけしますか?」 加護亜依と愛し合ってもかまわない私にはその価値があるから リトルリーグのエースのように振りかぶって外角高めに子を捨てる 攻撃中ですが時間を延長せず、皇室アルバムをお送りします。 「あっためてもらえますか」と言ったままいちご大福見つめるおんな 「よく新宿や渋谷でスカウトされるの

    斉藤斎藤『渡辺のわたし』を読む - mmpoloの日記
  • 『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』が面白い - mmpoloの日記

    『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』(六耀社)を読む。磯崎と藤森の対談だが、これがとても面白かった。磯崎は丹下健三の弟子で、つくばセンタービルをはじめ国際的に活躍している建築家。藤森ははじめ近代建築史を研究していたが、神長官守矢資料館の設計以来、たんぽぽハウスなどユニークな設計で注目されている。 磯崎は優れた設計者で理論家でもあるが、文章はきわめて難解で読みにくい。それが対談では分かりやすく話していて極めて興味深いことを披露してくれる。対して藤森は磯崎より15歳下だが、建築史を専攻していたことから建築の歴史には詳しい。設計の第一人者と建築史の専門家の対談なので期待以上の面白さを堪能できた。しかも建築を語ることが文化や思想史まで語ることになるとは思いもよらなかった。年齢差にも関わらずお互いを尊敬しあっているのが伝わってきて気持ちの良い読書だった。それにしても建築に関する対談がこんなにも興

    『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』が面白い - mmpoloの日記
  • 佐藤洋一郎『稲と米の民族誌』を読む - mmpoloの日記

    佐藤洋一郎『稲と米の民族誌』(NHKブックス)を読む。副題が「アジアの稲作景観を歩く」と言い、佐藤が30年間にわたって調査したアジアのイネと稲作の現地調査を振り返っている。今まで佐藤の著書としては、『稲の日史』、『イネの文明』、『イネの歴史』などを読んできたが、書はそれらの研究にあたって調査で訪れたインド・ヒマラヤ圏、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、中国について、半ば紀行文のような体裁で書き綴っている。肩の凝らない軽いエッセイ仕立てといったところ。それでも野生イネやイネの起源、各地の稲作状況等々が専門家の立場から語られている。 30年間の調査では、最初に訪れたときと最近の現地の状況がどんなに変わっているかが驚きとともに紹介される。 私が驚いたこともいくつかあった。田植えの起源について、カール・サウワーの説が引かれている。 田植えの起源については諸説ある。その中でも、カール・サウワー

    佐藤洋一郎『稲と米の民族誌』を読む - mmpoloの日記
  • 永六輔『職人』を読む - mmpoloの日記

    永六輔『職人』(岩波新書)を読む。1996年初版発行、先に永が亡くなったためか、書店で平積みになっていた。私が購入したのが2014年発行の26刷りだった。人気のある著者のロングセラーだ。 永は通産省が禁止した曲尺、鯨尺を職人たちに届けるために、逮捕覚悟で売って歩いた。その際、全国の職人たちから強く支持され、その職人たちの言葉=職人語録を収録した。それが全体の3分の1を占めている。その一部を、 「〈私もいっぱしの大工になりました〉って威張っている職人がいたけど、〈いっぱし〉というのは〈いちばんはしっこ〉ということなんだよね。 威張って言う台詞じゃない」 「子供は親の言うとおりに育つものじゃない。 親のするとおりに育つんだ」 「彫り3年、研ぎ4年。 女房貸しても砥石は貸すなって教えられました」 「職人が〈何かすることありませんか〉なんて言うな、おまえ。 すること探して、黙ってやってろ!」 なる

  • 常盤新平『翻訳出版編集後記』を読む - mmpoloの日記

    常盤新平『翻訳出版編集後記』(幻戯書房)を読む。「出版ニュース」の1977年から1979年にかけて連載したものを単行にした。常盤は2013年に81歳で亡くなっている。 書は常盤が早川書房に勤めた1959年から翻訳出版に携わっていた10年間のことを中心に書かれている。初めて早川社長に連れられてアメリカへ行ったことから書き始められていて、それは早川社長の好意だったとされる。また上司だった福島正実や中田耕治、宮田昇に対する恩義と感謝が繰り返し語られる。翻訳者になろうと思っていた常盤を早川書房の編集者に推薦したのは福島正実だった。 入社2年目で新しい雑誌『ホリデイ』の編集長になったが、雑誌は1号で廃刊になった。その2年後、『エラリイ・クイーン・ミステリ・マガジン』の編集長になる。また「ハヤカワ・ノヴェルズ」「ハヤカワ・ノンフィクション」を創刊した。ル・カレの『寒い国から帰ったスパイ』とメアリー

    常盤新平『翻訳出版編集後記』を読む - mmpoloの日記
  • 佐野洋子『神も仏もありませぬ』を読む - mmpoloの日記

    佐野洋子『神も仏もありませぬ』(筑摩書房)を読む。前著『死ぬ気まんまん』より10年ほど前の著作。皮肉たっぷり言いたい放題のようで繊細な面も見えている。身辺のことを綴ったものがそのまま優れたエッセイになっている。とても魅力的な人だ。 身辺を綴りながら、やはり生死のことが核になっている。 (知人の)マコトさんは(90歳のお父さんと)風呂にも一緒に入ってやっていた。「もう入りたがらないの、そんでも入れちまえば素直なものよ、そんでも何だろ、チンポだけは洗わせないのよ、こうやって、絶対だよ」。そんなものなのか。私は東京で、親父を風呂に入れてやる息子と話をしたことがない。(中略) ある日、おじいちゃんが、「体をふいてくれ」と突然云ったので、何だろう、不思議だなと思って、体をきれいにふいてやった。ふだんと変わりは何もなかったそうだ。しばらくすると、「何かスカッとするもの」と云ったので、吸い口にサイダーを

    佐野洋子『神も仏もありませぬ』を読む - mmpoloの日記
  • 『菌世界紀行』を読む - mmpoloの日記

    星野保『菌世界紀行』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「誰も知らないきのこを追って」といい、植物の病原菌である雪腐病の菌を世界各地に探して歩いた紀行文。雪腐病菌は他の菌類が活動できない低温の環境でも活動でき、積雪下で植物に寄生して枯らしてしまう。低温環境を好むため分布は寒冷地に限られる。星野は北海道の研究所に勤務しているが、雪腐病菌を追って、ノルウェー、グリーンランド、シベリア、イラン、そして南極まで行ってしまう。 この岩波科学ライブラリーというシリーズは、おそらく若者に自然関係の学問を普及するのが目的ではないかと思われる。科学的に厳密であることは外さないまでも、いわゆるヤングアダルト層に興味を持ってもらうことを目指しているのではないか。書においても、星野はチョー専門的な雪腐病菌の分布や生態を一般向けにおもしろく語ることに腐心している。そしてそれは極めて成功しているといえる。 その面

    『菌世界紀行』を読む - mmpoloの日記
  • 『海街diary6 四月になれば彼女は』を読む - mmpoloの日記

    吉田秋生『海街diary6 四月になれば彼女は』(小学館フラワーコミックス)が発売された。5巻が出たのが去年の冬だったから待ちこがれていた。 「あらすじ」から、 父の死後、鎌倉に住む母親違いの3人の姐に引き取られた〈すず〉。4人が家族になっての生活も2回目の春を迎える。「海堂」の店主・二ノ宮さんが病気で倒れ、人の死と向き合ったすずたち。人の死で失われるものがあれば、受け継がれていくものもある…。そんな切ない想いを、身近な人と共有する中で、4姉妹それぞれの人間関係は変化していき…!? カバーに巻かれた帯によると、来年夏に実写映画化が決定したという。監督が是枝裕和で、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが4姉妹役。といっても監督以外誰も知らない。まあ、映画化には興味がないし。でも『櫻の園』の最初の映画化は良かった。淀川長治からはケチョンケチョンだったけど。2回目の映画化は見ていない。

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  • 『ミステリマガジン700【海外篇】』を読む - mmpoloの日記

    杉江松恋・編『ミステリマガジン700【海外篇】』(ハヤカワ・ミステリ文庫)を読む。副題が「創刊700号記念アンソロジー」で、早川書房のミステリ雑誌『ミステリマガジン』の創刊700号を記念した傑作短篇集という優れもの、と思って読んでみた。 1956年に『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』として創刊し、1966年に誌名を『ハヤカワ・ミステリマガジン』と改称して、58年間に700号を刊行した。その中から16篇を選んで編集したもの。この海外篇のほかに国内篇も同時に刊行されている。 選ばれた作家は、フレドリック・ブラウン、パトリシア・ハイスミス、ルース・レンデル、ピーター・ラヴゼイ、イアン・ランキン、レジナルド・ヒルなど私でも知っている名前もあるが、その他の10人は初めて見た名前だ。つまり私がいかにミステリ作家を知らないかということだ。 面白かったのは、A・H・Z・カー「決定的なひとひねり」

    『ミステリマガジン700【海外篇】』を読む - mmpoloの日記
  • 画家の没後、絵の値段は上がるのか - mmpoloの日記

    画家が亡くなると絵の値段は上がるんでしょと聞かれる。だって、亡くなったからもう作品が描かれなくなって、そうすると値段が上がっていくんじゃないの? 答はノーです。一般的に画家が亡くなれば値段は下がるというのが美術市場の動向です。なぜでしょうか。有名画家に限っていえば、普通プライマリーの画商と契約していることが多いのです。たとえば舟越桂の版画作品はAギャラリーがプライマリーの画商になっています。Aギャラリー以外の画商が舟越桂の版画作品を扱いたいときは、Aギャラリーから買い付けることになります。Aギャラリーは契約作家を一元的に取り扱うため、価格を統制することができます。Aギャラリー以外の画廊(セカンダリー、二次的市場)は、新作については決められた価格でしか仕入れることができなくて、その統制された価格が一般的な市場価格になります。ただ、二次市場ではその統制からは外れることになりますが、新作の市場価

    画家の没後、絵の値段は上がるのか - mmpoloの日記
  • 田中博文『真田一族外伝』を読んで - mmpoloの日記

    田中博文『真田一族外伝』(産学社)を読む。副題が「伝説の英雄はなぜ誕生したのか」というもの。真田という豪族の出自を滋野一族から解き明かし、のち海野姓を名乗るようになり、海野の娘が嫁して真田幸隆(のちの幸綱)が生まれたという説を紹介している。 真田幸隆は武田信虎と戦い、破れて落ちのびる。のちに幸隆は信虎を追放した武田信玄に臣従する。信玄が上杉謙信と戦ったときも幸隆は信玄について戦った。信玄の配下として戦ってきたが、信玄の病死のあと幸隆も病死する。 幸隆のあとを三男昌幸が継ぐ。信玄の後を継いだ武田勝頼は織田信長に攻められ自害する。昌幸は徳川家康に従う道を選ぶ。しかし家康から所領を変えるよう命令された昌幸はそれに従わず、徳川との間で戦になる。そして2度の戦で徳川方を退却させる。ついで秀吉に接近していく。 徳川・豊臣の戦で真田は二つに分かれる。昌幸の長男真田信幸(信之)は徳川につき、昌幸と次男真田

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  • ブログ開始8周年 - mmpoloの日記

    ブログを開始して8年経った。2006年の3月14日、梅田望夫の『ウェブ進化論』(ちくま新書)を読み終わってすぐブログを開始した。梅田さんのがきっかけだったから、彼が重役を勤めている「はてな」にした。以来丸8年、書いた日数は2700日余、アクセス数も192万を超えた。夏前に200万アクセスに達するだろう。 思えば感慨深いものがある。ブログを始めて半年後くらいから、それまで実生活で会ったことのないような人たちと知り合えた。自分の興味ある話題を書き込んで、それを面白がってくれる人というのは初めてだった。この時ようやく自分が実生活では趣味を出さないで知人と付き合っていたことに気がついた。 ブログを書くことで自分が解放されるのを感じた。やはりブログを始めて半年後くらいの時、それまで34年間勤務していた会社から突然理由もなく追放された。その不当な扱いに耐えることができたのも、ブログというある種内輪の

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  • 佐野眞一『新 忘れられた日本人』を読む - mmpoloの日記

    佐野眞一『新 忘れられた日人』(ちくま文庫)を読む。題名は宮常一『忘れられた日人』にあやかっているが、似て異なるものだ。宮の名著のような感動はなく、むしろある種のゴシップ集とも言える。佐野がノンフィクションで取り上げた大物たちの周辺にいた脇役たちを取り上げたと書いているが、やはり脇役を通して大物のゴシップ的な側面が語られる。それは十分におもしろいけれど。 佐野は『カリスマ』でダイエーの中内功を描いたが、中内の盟友に畜肉商の上田照雄=ウエテルがいた。ウエテルと組むことによって初期のダイエーは牛肉の安売りを可能にし、飛躍することができた。そのウエテルのエピソード。 彼の話は抱腹絶倒の連続だった。私はその粗削りな語り口の魅力に、たちまちひきこまれた。 「車はいつも100キロ以上でとばすことにしとるんや。赤信号? そんなもんかまへん。ありゃ、注意の合図や。 女? そりゃようけいるで。わしは

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  • 野見山暁治『続々アトリエ日記』が楽しい - mmpoloの日記

    銀座5丁目のナカジマアートで「野見山暁治の墨絵展」が開かれている(5月23日まで)。数年前に外苑前にあった永井画廊で開かれた墨絵展と異なり、今回はとても良い。来場した画家たちの何人もが同じ意見だった。 会場で出版されたばかりの野見山暁治『続々アトリエ日記』(清流出版)を買った。書は、2003年9月から始まった雑誌『美術の窓』に連載された日記を、2年半くらいずつまとめて『アトリエ日記』『続アトリエ日記』としたものの3冊目。前回のようなオレオレ詐欺に騙されたような劇的な事件はないが、野見山先生の日々が具体的に綴られていく。こんなに忙しくていつ絵を描くのだろう。でも野見山ファンには楽しいだ。 (2008年)12月6日 大川美術館の館長が亡くなったと連絡があった。まずいことに入院中の彼と、ぼくは電話で喧嘩した。声が出なくても吼えたてる。ぼくも、手をゆるめなかった。近頃こんな一途な男は珍しい。ぼ

    野見山暁治『続々アトリエ日記』が楽しい - mmpoloの日記
  • 名文とは何か - mmpoloの日記

    先日、「向日葵の咲かない夏」への不満を書いたが、このミステリが今ベストセラーになっていることを知った。そうするとファンもいるのだろう。この中に私が「会話が下手だし、そもそも年齢による会話の使い分けもできていない。」と書いたことに対して、ファンの一人と思われるaasaさんがコメントを付けてくれた。 そもそも年齢による会話の使い分けもできていない。と書いてあるが、読解力が不足しているのでは? できればひどい作品の定義を教えてほしい。実は、質が低い読者とは、この日記を書いた方のことをさしている? ひどい作品の定義ではなく、私が考える良い文章の例は、野見山暁治の「四百字のデッサン」(河出文庫)や佐多稲子「夏の栞」(新潮文庫)、それに幸田文の作品を見てほしい。野見山は省略に優れているし、「夏の栞」は微妙で書きづらい事柄を奇跡のように書ききっている。 良い文章とは分かりやすい文章である必要はない。単に

    名文とは何か - mmpoloの日記