・ざっくりわかる宇宙論 前半はコペルニクス、ガリレオからアインシュタインまでの古典的宇宙論、後半は超ひも理論、ブレーン宇宙までの現代の宇宙論。数式はなしで、科学好きの一般読者のために書かれた入門書。 ビッグバンは宇宙のはじまりではなく、その前には量子宇宙があり、インフレーションが起きてビッグバンに至ったというのが定説になろうとしている。量子宇宙のはじまりにおいては時間が存在しないので、その「前」はない。こんな風に宇宙のはじまりを明解に説明してくれる。 著者は古典的宇宙論から現代の宇宙論への流れを「モノからコトへ」ととらえている。 「思想という側面から忘れてはならないのが、モノからコトへ、という大きな流れでしょう。コペルニクスの「天球」にあらわれているようなモノとしての時空は、まるで触って固さを確かめられそうな気がします。それに対して、光でさえ曲げてしまう、時空のゆがみというアインシュタイン
楽天→途上国支援ベンチャー「会社に行けず、泣いて自分を責めた」 NEW キャリア 2024.07.29
→紀伊國屋書店で購入 この本は、宇宙塵(うちゅうじん)を集めることに心血を注ぐ、ある研究者によって書かれました。名前は矢野創。彼が何者であるかは、冒頭の一節を読めばすぐにわかります。 二〇一〇年六月一四日。私は南オーストラリアのウーメラ砂漠の赤茶けた荒野に立ち、透明感のある日差しと穏やかな風を全身に感じていました。(中略) 二〇〇三年五月九日に鹿児島県の内之浦で旅立ちを見送った工学試験探査機「はやぶさ」の地球帰還カプセルは、前夜に人工流星となって南天の星空を照らし、今は私の眼前数十m先の低い藪の中に、パラシュートと共に静かに横たわっています。太陽の光を受けてキラキラと輝くその姿は、打上げから七年間を経て、小惑星イトカワを往復してきたとは思えないほど、新品同様に見えました。 矢野氏は、日本を感動の渦に巻きこんだ、あの「はやぶさ」プロジェクトで、イトカワの試料(サンプル)を採取する機構(サンプ
「なぜ夏は暑くて、冬は寒いのか」といった実はよくわかっていない日常世界の法則を丁寧に解くことから本書ははじまる。 夏が訪れるのは、歳差(さいさ)運動で地軸が傾き、太陽光線が当たりやすくなる。空気中の「分子の動き」が肌に当たることで人や温度計は暑さを感知する。地球の仕組みを知ることは、太陽の核融合、約137億年前のビッグバンを解することにも繋(つな)がる。 物理学の法則はシンプルで美しい。宇宙の謎に迫った科学者達の歩いた道を、読みながら辿(たど)れるので、迷路に入り込むような不安感はない。 章が進むにつれ、宇宙全ての因果関係を記述可能にしようとするほど、なぜここまで人間に「ちょうどよく」宇宙が存在しているのか、という大問題に行き着く。宇宙が存在することへの科学者達の問いは、なぜ私たちが生きているのかという根本的な問いと等価になる。神的な存在を持ち出さないことには説明が出来ないほど、人間にとっ
新しい世界観を示す。科学の役割にはそんな一面がある。私たちが暮らしているこの宇宙はどんなところなのだろう。それを知ることで世界観が変わり、世界や自分の存在に対する価値観が変わる。私はまさにそのような経験をした。1度目はそれまでずっとあると漠然と思っていた宇宙がある時点で生まれたことを知った10代はじめ。2度目は宇宙の膨張は減速していると思っていたが、実際はどんどんスピードを速めて膨張する加速膨張であることを知った20代はじめ。世界観が変わった。 本書は私たちの宇宙が加速膨張をしていること、さらにこれを説明するには、宇宙に「ダークエネルギー」という何かが満ち満ちている必要があることを、一線の研究者が説明している。ダークエネルギーの正体はまったくわかっていない。わかっていないからダーク(未知の)という名前である。しかし、いくつもの研究結果が、ダークエネルギーが存在していることを示している。宇宙
・おそらに はては あるの? 子どもを理系に導くならこの絵本がおすすめ。小学生くらいがいい。 "おそらに、はてって あるのかな。 それとも、はては なくて どこまでも どこまでも つづいているのかしら。 よるの ほしぞらは はてしなく どこまでも どこまでも つづいているのかしら。 あなたは どちらだと おもいますか?" もしも宇宙が無限の広さを持ち、星が無限にあるならば、夜空は星の光りでみたされてしまうのではないか。1826年に提唱された"オルバースのパラドックス"を材料にして宇宙論の研究者 佐治晴夫教授がつくった子供向けの絵本。 オルバースのパラドックス自体は現代ではその前提が否定されているが、この本では、こどもに宇宙の果てがあるかもしれないことを理論的に想像させる、知的な道具として実に見事に使っている。親もいろいろと考えることができて名作だとおもう。 うちの息子も小学生になって、理系
宇宙誕生―原初の光を探して [著]マーカス・チャウン[評者]辻篤子(本社論説委員)[掲載]2011年5月22日著者:マーカス・チャウン 出版社:筑摩書房 価格:¥ 1,680 ■空の「化石」、謎解きそしてまた謎 太古の生物の姿を伝えてくれる化石があるように、太古の宇宙の化石もある。 「宇宙背景放射」と呼ばれる、セ氏マイナス270度のかすかな電波である。 ビッグバンから38万年、超高圧超高温の火の玉宇宙が冷え始めたときに解き放たれた光が宇宙の膨張とともに飛び続け、今、電波となって見えているのだ。背景の名の通り、私たちの周りの宇宙空間を満たしている。 本書は、火の玉宇宙の名残の「化石」を追ってきた科学者たちの半世紀余りにわたるドラマを生き生きとつづる。 発見は偶然だった。米国の2人の若い天文学者が1964年、空のあらゆる方向からやってくる奇妙な電波に気づいた。雑音と思い、ハトのフンを犯人と疑
2010年12月20日20:00 カテゴリ書評/画評/品評SciTech 人事を尽くして天体を待つ - 書評 - 小惑星探査機はやぶさ 中公新書編集部より献本御礼。 小惑星探査機はやぶさ 川口淳一郎 はやぶさ関連の書籍はすでにいくつも出版されており、それらの多くが「単なる感動の物語」に留まらない極上の科学レポートとなっているが、それでも本書を外すわけには行かないだろう。 なにしろ、本書ははやぶさプロジェクトマネージャーその人の手によるものなのだから。 本書「カラー版 小惑星探査機はやぶさ」は、構想25年、プロジェクトチームが出来て15年、打ち上げから7年、そして60億kmを経て帰還を果たした小惑星探査機はやぶさの旅路を、「中の人」の代表がふりかえったもの。 人類史に残る旅路だけあって、新書編集部の力の入れようもすばらしい。新書界でも一、二を争う地味な装幀で知られている中公新書の中で、最も美
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