うちのボスとは、長年の友人というか、大先輩で、ある時は戦友、あるときライバルとして活躍された橋本伸さん。正規の日本共産党の党員で、赤旗編集局の顔として活躍された方です。 「は?日本共産党党員と、おたくのボスは友人か?」 と突っ込みをいれる方もいるかもしれない。 確かにボスは、共産党員だったことも、共産党員になろうとしたこともないはずだ。もっともそこそこのジャーナリストで、共産党出身という人が多い。読売新聞のナベツネさんもそうだし、インサイダーの高野孟さんもそうだ。共通しているのは、みな著名で、優秀だということ。 うちのボスは、無名で、なまけもので、ろくでもない。 多分に、おもうに、共産党員になれる資格もなかったのだろう。小林多喜二の本は好きだけど。 「そうだな、橋本さんが、オレをオルグしてくれたらオレは共産党員になったかもしれんが、肝心の橋本さんは一度も、オレをオルグしてくれなかった。おし
2007年03月02日00:00 カテゴリ書評/画評/品評Math 書評 - 数に強くなる [初出2007.02.27; 暫くトップページに表示] 最高! 数に強くなる 畑村洋太郎 間違いなく、畑村洋太郎の最高傑作。「面白い」と「ためになる」を双方満足させる本としては、この一年、いや数年で最高の本かも知れません。 本書「数に強くなる」は、技術の伝え方に関しては横綱である畑村洋太郎が、さらに具体的で生活密着度が高く、それでいて難しいとされる「数」に挑んだ本。「数学」ではなく「数」というところが一段難しい。類書は数多いが、その中では本書が最高得点かも知れません。 岩波新書 数に強くなる この本を読んでほしい人 「数字なんて大ッキライ」という人 数字を見ると、ジンマシンが出てくる人 ビジネスマンの人(できるなら逃げたいが、仕事で数と向き合わざるをえない人) 家庭の主婦(数学は苦手だったけど、数の
「健全な市場社会」への戦略 作者: 八代尚宏出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2006/12/19メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (7件) を見る「キャリアデザインマガジン」のために書いた書評です。hamachanさんが辛辣に評しておられる先生ですが、この本は全部とはいかないまでも相当部分は納得いく内容だと思います。 著者は規制改革会議などで活躍し、現在は経済財政諮問会議の民間議員として「構造改革」を主導する、言わずと知れた規制改革のチャンピオンである。この本もタイトルのとおり政策論、それも経済政策論を中心とした政策論の本である。したがって、一見、キャリアデザインとの関係はみえにくい。しかし、目次に並んでいる「改革」のメニューをみると、具体論の最初にきているのが「働き方の多様化と「労働契約法制」」であり、続いて年金・医療などの社会保障改革や少
[asin:4314009802:detail] この本のあとがきの中で広田氏はこう言う。 教育の「危機」「荒廃」のイメージは、おびただしいぐらい世に氾濫し続けてきている。「危機」のイメージに浮き足立った世論は、情けないことに、短慮で乱暴な「改革」に白紙委任状を与えてしまっているように見える。 今年は参議院選挙がある。参議院選挙では、教育の問題を明確に争点として位置づけてほしい。そして、おそらく出てくるであろう、教育の危機論、教育の荒廃論に対して、真正面から批判を加えていくべきだ。 そして、その批判によって教育の危機論、教育の荒廃論を唱え、教育を自分たちにとって都合のいいものへと変えようとする動きを止めることが必要だ。
もう関係者の方々、読書人の方々も薄々気がついているのでしょう。 そろそろ新書版「アタリショック」=供給過剰や粗製濫造により、ユーザーが新書に対する興味を急速に失い、市場需要および市場規模が急激に縮退する現象=がいつ起きても不思議でない情況になっていて、しかし出さないと書店の本棚を確保できないし、売れるうちに売っておけというような、もう誰も引き下がれないチキンゲームの様相なのでしょうか。 というのもここ最近に読んだ新書のうち、お金を出して良かったと感じるのが感覚的に約半数。筆者さんはいずれも著名で実績のある方々ばかりなのに、「う~ん」というような粗製濫造感が、どうにもこうにも拭えない。 新書バブル前は、肌に合う合わないはあるとしても、新書一冊読めばなんとなくお手軽な達成感があったのだけど、最近だと「ありゃ~、失敗」ってのがすごく多い。 読書メモを兼ねて、以下、手元に残っていたものを。 取り
今の社会の構造や性格がどういうものかを考える上で、ヒューリスティックな物差しになるのは、「過去との比較」と「他国との比較」だろう。つまり、なぜ今のような社会になってしまったのかを歴史的に遡って検証することと、他国ではどうなのかを国際比較すること。 たまたま書店で内橋克人氏のこの本を見かけて、パラパラと立ち読みしたところ、第一章「未来は見通せていた」で、日本で80年代後半から90年代にかけて起きたこと(たとえば航空業界の規制緩和による賃金・労働条件の悪化、安全性の低下、公共性の喪失)は、アメリカではすでに70年代末から80年代にかけて起きたことと同じだということ、そのことを内橋氏は94年に文藝春秋の取材チームと組んで調査し、95年出版の『規制緩和という悪夢』で警告していたということが書かれている。 第四章「悪夢のサイクル」では、1970年代以降のチリ(ピノチェト政権)やアルゼンチンで進められ
ニューヨークタイムズのコラムニスト、トーマス・フリードマンの書いた表題の本(日本経済新聞社)を読んだ。技術屋さんの書いたWeb2.0関連の本は何冊か読んでだいだいの傾向は分かった。この本は外交畑の記者がとらえたweb2.0の世界を描いているというと語弊があるだろうか。彼のいう「フラット化」というのは広い意味でのweb2.0だと私には思えた。そう考えると新鮮なweb2.0本だった。 全体的にはアメリカ人に対する警告の書で、日本についてはブロードバンドが安価で普及していることや携帯技術の進展などを指摘して好意的なんだけど、果たして日本は安心していていいのか…という気にさせられる。 特徴的な部分として印象に残ったのは、「現在の中国では、ビル・ゲイツはブリトニー・スピアーズなみのスターなのだ。アメリカでは、ブリトニー・スピアーズのほうがスターだ。--それがアメリカのかかえている問題なのだ」というの
昨日のエントリに引き続いて、宮崎学&近代の真相研究会編 『安倍晋三の敬愛する祖父 岸信介』(同時代社、2006年)を紹介する。 この本は、最初の部分はかなり読みにくいが、あとの方ほど面白い。昨日紹介した、A級戦犯容疑者だった岸が、起訴を免れ、アメリカの後押しを得て不死鳥のように甦り、ついに総理大臣に上り詰めた経緯は、8章からなるこの本の第5章に書かれている。 今回は、第6章以降に書かれている内容を紹介する。 岸の政治プログラムの目標は、「自主憲法」「自主防衛」「アジアへの経済進出」であった。安倍晋三がシャカリキになって改憲を目指しているのは、母方の「祖父」の果たせなかった夢を実現しようとしているからだ、とはよく指摘されることである。 日米安保条約の改定は、自主防衛を目指すためのステップだった。宮崎さんは、岸は最終的には核武装まで視野に入れていたという。2002年に安倍晋三が早稲田大学で「戦
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 毎日、会社へ向かう通勤電車の中は、“冤罪”の住処。あなたもいつ「鈴木さん」になってもおかしくはない。 著者は東証1部上場企業に勤める、妻子持ちのサラリーマン。ある日、通勤電車の中で痴漢と間違われ、その後の人生が一転した。裁判では一審で有罪、二審で逆転無罪を勝ち取るも、職を追われてガテン系職業を転々とし、現在はデザイン業の自営とアルバイトで生計を立てているという(おまけに、宗教にもはまってしまっている)。 あらゆる痴漢冤罪事件に共通する流れは、こういうものだ。 「思いもかけずに『あなた触ったでしょ』『あなた痴漢でしょ』と言われ、『えっ、違いますよ』と当然反応する。そこへ駅員が駆けつける。『私は触ってませんよ』と一生懸命言う。すると駅員はこう言い
「年末年始に読んだ本」のシリーズは、今回が最終回。結局、1月17日までかかってしまった。12年前の今日、阪神大震災が起きた。忘れてはならない日だ。亡くなられた方のご冥福をお祈りし、今も苦しまれている被災者の方に心からお見舞い申し上げるとともに、天災が起きた時に人災で被害を拡大させないための予防が必要だと思う。そのためにも、耐震偽装問題は、絶対にゆるがせにはできない。3日前にも書いたが、今日は、ヒューザー小嶋進社長の証人喚問からまる1年が経過した日、つまり、民主党の馬淵澄夫議員が「安晋会」の存在を暴いてからまる1年が経過した日でもある。 さて、「安晋会」といえば、安倍晋三の非公式後援会である。宮崎学&近代の深層研究会編『安倍晋三の敬愛する祖父 岸信介』(同時代社、2006年)は、最後の第8章「虎を画いてならずんば - 安倍晋三は何を継ぐのか」で、安倍晋三を、その母方の祖父・岸信介に絡めて論じ
今回と次回で、「年末年始に読んだ本」シリーズの最後に取り上げる本として、宮崎学&近代の真相研究会編 『安倍晋三の敬愛する祖父 岸信介』(同時代社、2006年)を紹介する。 安倍晋三首相が「岸信介の孫」であることを売りものにしていることはよく知られている。しかし、私などは岸信介というと「A級戦犯」「日米安保条約を改定したあと、内閣を倒された男」「数々の疑獄事件で名前が取り沙汰されながら、一度も捕まらなかった男」といった、ネガティブなイメージしか持っていなかった。 だから、「岸信介の孫」を売りものにする男が総理大臣になったこと自体に、強烈な違和感を持っている。安倍晋三には、「安倍寛の孫」「安倍晋太郎の息子」という意識は希薄で、彼が「祖父」と言う時、大政翼賛会から推薦を受けずに選挙に当選した反骨の政治家である父方の祖父・安倍寛を指すことは決してなく、東条英機内閣の閣僚だった母方の祖父・岸信介「だ
もうすぐライブドアの強制捜査から丸1年になる。あれは昨年の1月16日のことだった。なぜ、耐震偽装問題に絡んだヒューザー・小嶋進社長の証人喚問の前日にライブドアの強制捜査なんかがあるのか、あの当時強い疑問を抱いたものだ。 小嶋社長の証人喚問で、民主党の馬淵澄夫議員が、小嶋氏が「安晋会」の会員であり、マンション住民への説明会で、安倍晋三の後ろ盾があるようなことをしゃべっていたことを暴露した。しかし、そのニュースはライブドアの強制捜査の陰に隠れてしまったのである。 ところが、事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、馬淵議員が「安晋会」の存在を暴いた翌日の1月18日、ライブドア事件に絡んでエイチ・エス証券の野口英昭さんが謎の「自殺」を遂げた。野口さんの命日ももう間もなくだ。私は1月19日の早朝に、読売新聞の速報でこのニュースを知った瞬間に、「これは自殺じゃない」と即座に確信し、掲示板で騒ぎまくっ
著者は、私の昔の仕事上のライバルだった。私がイトマン事件を追いかけていたとき、必ず取材先に先に行っている朝日新聞の記者がいた。毎日新聞から引き抜かれるという珍しい経歴の持ち主で、日経の大塚将司記者とともに、業界のトップランナーだった。この種の事件は、取材で知りえた事実の1割も記事にはできない(NHKの場合にはさらにその半分も番組にはできない)が、90年代の事件については「時効」になったので、今だからいえる話もさりげなく書かれている。 特におもしろいのは、1998年の接待疑惑の発端となった大蔵省証券局の課長補佐の事件だ。彼は接待だけでなく、風俗店(ソープランド)に頻繁に行っており、これが逮捕の決め手になった。当時の霞ヶ関の暗黙のルールでは、接待はシロだが現金はクロで、女は現金と同等という扱いだったからだ。ところが逮捕してから、この風俗の出費は自費(!)であることが判明した。検察は動転したが
悪徳商法?マニアックス(通称悪マニ)管理人として知られるBeyond氏による、Googleによる"検閲"について書かれた一冊。正月用に購入したのだが、読み始めたら止まらなくて一気に読み切ってしまいました。 本書では、グーグルが一方的に情報を遮断する事例が幾つも出てきます。筆者自身がグーグル八分に遭っているだけに細部まで踏み込んでいます。 もっとも、多くは既にネット上で語られており、Beyond氏のサイトをチェックしていれば、多くは既知の事例だとは思いますが。 取り上げられている事例は、 ウェディング問題 グロービートジャパン(ラーメン花月) 大東建託 アラキ工務店 フリーライター山岡俊介氏 迷惑メール撲滅私的調査委員会 アスキー ガルエージェンシー(探偵ファイル) 朝日新聞社 ちなみに、俺はウェディング、グロービートジャパン、山岡俊介氏、朝日新聞の件は知っていましたが、後は初見でした。何が
2007年01月04日17:30 カテゴリ書評/画評/品評Media 書評 - 怪文書 何ともへんてこな気持ちになる本だ。 怪文書 六角弘 本書も、その続編である「怪文書II」も確かに面白いのだが、なぜかそこにそれを面白がる自分が後ろめたい気持ちにさせられるのだ。 本書「怪文書」およびその続編「怪文書II」は、週刊文春の元記者である六角弘が、怪文書を枕に戦後のさまざまな事件、それも主に経済事件を振り返る二冊である。従って両書は怪文書そのものの「傾向と対策」本ではない。私もこれらの「怪文書でない部分」は素直に読む事が出来た。 問題は、怪文書の扱いだ。 筆者は、怪文書を以下のように定義している。 「怪文書」p.13 差出人が不明であること ターゲットがあること 不特定多数にバラまかれていること 2chなどに流れる書き込みも、その点では立派な怪文書であるのだが、残念ながら本書でもIIでもこれらの
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