◇販売減と広告減のスパイラル◇ 最後の「護送船団」が崩れようとしている。再販制度、日本語の壁、記者クラブなど、さまざまな要因によって保護されていた新聞業界が、広告収入と販売部数の低下に喘いでいる。 『朝日新聞』は9月中間期に103億円の赤字を計上。『秋田魁新報』、鹿児島県の『南日本新聞』など夕刊を廃止する有力地方紙も相次いでいる。ぬるま湯に浸りきり、ビジネスモデルが転換できぬ新聞社にとって唯一の延命策となりつつあるのが再編だ。いま、大手紙を中心に再編への動きが水面下で静かに進行している。 複合不況、崩壊、陥落……。ビジネス誌の見出しを見れば、新聞業界ですぐに大規模な再編が起きそうに思えるが、そうではない。金融再編時の銀行のように新聞各社は不良債権をもっているわけではなく、切羽詰まった状況にはない。しかしながら、新聞社の収益源である広告と販売の二本柱が細っていることが再編を後押ししてい