世界で最も戦争の危険が高まっている地域を問われて、ウクライナや中印国境と並んで、南シナ海を挙げる専門家が多い。「南シナ海波高し」なのである。 今回は、多くの日本人にとって関心の高い、米中関係の地政学的な関係について分析していく。 現在の国際政治における米中関係の重要性は、世界のGDP(国内総生産)の1位と2位を占める経済力の大きい国同士の関係であることにとどまらない。世界の「覇権」を今後争っていく可能性が高い「大国」 (great powers)同士の関係であり、世界の政治の流れを決定するものである。 米中両国の一部の知識人たちから「G2論」という楽観論が出たこともあった。世界秩序を米中の2大国が補完し合いながら管理していくという考えだ。しかし、中国が南シナ海の一部を埋め立てている一件が浮き彫りにしている通り、米中が協調して国際秩序を構築することは難しい。この海域を自国の領域であると主張す
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