長尾 賢 ハドソン研究所研究員 ハドソン研究所研究員/未来工学研究所研究員/学習院大学東洋文化研究所客員研究員/日本戦略研究フォーラム研究員/安全保障外交研究会アソシエイツ/人間文化研究機構現代インド地域研究研究協力者/日本安全保障戦略研究所研究員/スリランカ国家安全保障研究所(INSSSL)上級研究員/インディアン・ミリタリー・レヴュー上級研究員 この著者の記事を見る
「対中国」でASEANとの協力体制を築け ASEANの重要性は経済面だけではない。政治的にもこれまでよりはるかに重要な存在になった。そのキーワードは「対中国」だ。ASEANの中でもベトナムやフィリピンは、南シナ海で中国と対立している。日本がフィリピンに巡視艇を与えたことも、ベトナムとの関係を深めようとしていることも、中国の影が背景にある。マレーシアやインドネシア、ブルネイなども中国の圧力をひしひしと感じているだろう。 中国は南シナ海に大きく張り出した領海を主張している。確かに南シナ海は中国にとって重要だ。中国がエネルギーをはじめとする資源を海上輸送に頼るようになっているからだ。その海上交通路はほぼ南シナ海を通るため、南シナ海での“覇権”を確立することが中国の戦略目標になっている。しかしそれは米国やASEAN諸国、そして日本にとって望ましいことではない。自由な航行が脅かされる可能性があるから
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