可能な限りの想像力が打ち込まれた最高の物語がここにある。 もうとにかく感無量という他ない。これだけの長大なシリーズが、一度もテンションを落とすことなくここまで続いて、さらにその凄さを増してきている。およそ考えたこともないような状況を現出させ、細部の描写にまで手が行き届き、なおかつとことんエンターテイメントなのだ。過去作からどこか小川一水先生の作品にはキャラクタに対して甘いところがあると思っていたが、このシリーズにおいてはそれも既に振り切っている。 西暦2502年、異星人カルミアンの強大なテクノロジーにより、“救世群”は全同胞の硬殻化を実施、ついに人類に対して宣戦を布告した。准将オガシ率いるブラス・ウォッチ艦隊の地球侵攻に対抗すべく、ロイズ側は太陽系艦隊の派遣を決定。激動の一途を辿る太陽系情勢は、恒星船ジニ号に乗り組むセレスの少年アイネイア、そして人類との共存を望む“救世群”の少女イサリの運