20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人 [著]成実弘至[掲載]2008年1月13日[評者]橋爪紳也(建築史家)■独自の世界観と創造性で社会に挑む 「デザイナーを取りあげた本は少なくないが、その仕事を正しく論じているものはそれほど多くない」 著者は、これまでの服飾文化史に挑戦状を叩(たた)き付ける。ポワレ、シャネル、ディオール、ヴィヴィアン・ウエストウッド、コム・デ・ギャルソンなど著名な10人のファッションデザイナーの足跡を紹介する。その視点と語り口が従来の人物評とは根本的に違うのだ。 デザイナーがどのような人生を送り、どのような作品をつくったかという事実関係だけを学んでも、ことの本質は見えてこない。彼らが、いかに独自の世界観を持ち、旧弊を打ち破ったのか。その創造性に光を当て、今では当たり前に見えるファッションが、発表当初はどれほど斬新で、社会に挑む試みであったかを知ることこそが