私は以前から「神経変性疾患の病態に関わる分子の一部は,脳虚血のような別の病態においても,何らかの重要な役割を果たすのではないか」と考えてきた.この仮説に基づき,筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭型認知症で重要な役割を果たすTDP43やプログラニュリンにおいて脳虚血後に見られる変化を,動物モデルを用いて検討し,前者は限定分解され,後者は発現が亢進することを見出した(J Neurochem 2011, Brain 2015). また神経変性疾患である進行性核上性麻痺や大脳皮質基底核変性症に関心を持って臨床研究を行なってきたが,一番の関心事はタウ・タンパク質を標的とした病態抑止療法実現のための臨床診断の確立である(Mov Disord 2014, 2016).今回,これらの疾患において重要な役割を果たすタウが,脳虚血においても重要な役割をはたすことがオーストラリアの研究者によって報告された.具体的には
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