今朝も「車猫」に挨拶をした。 『走ることについて語るときに僕の語ること』を読み始めて三日目。牛の散歩のような、鈍重なペースの読書を心安らかに楽しんでいる。それでも、最初の二章にそれぞれ一日ずつをかけ、錘を落とすようにして読んだが、昨日はすっとペースが上がり、すでに九章のうち六章を読み終えてしまった。今日は読書の時間がとれないだろうが、おそらく明日には最終ページまでたどり着くだろう。少しもったいない気がする。 ひさしぶりに村上春樹をゆっくりよんで「なんて文章がうまいんだろう」とほれぼれしてしまった。村上さんの文章は、ドレミファソラシドの音階を素直に用いてできた分かりやすいメロディに似ている。一つ一つの文章は素朴といってよいほどやさしい言葉づかいで書かれている。『A Wild Haruki Chase 世界は村上春樹をどう読むか』に登場する海外の村上翻訳者の口からも、村上さんの日本語を理解して