『正法眼蔵』(岩波文庫)高村薫さん ■七転八倒する言葉の醍醐味 【聞き手・赤田康和】1995年の阪神大震災で惨状を目撃した私の体と心は石のようになり、無常にとらわれた。近代理性に浸ってきた古い世代ゆえ、この無常は何なのか、無常の先へと思考を進めたいと思い、『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』を手にとった。 曹洞宗の開祖である道元の教えといえば「只管打坐(しかんたざ)」。余計な知見を捨てひたすら座れと。万物の時空に身体ごと呑(の)まれる非言語的行為だ。一方、『正法眼蔵』では大量の言葉を費やし仏の教えを探求している。なぜ道元は言葉にこだわったのか。 続きを読むこの記事の続きをお読みいただくには、会員登録が必要です。登録申し込みログインする(会員の方)無料会員登録はこちら朝日新聞デジタルのサービスご紹介はこちら