トップ > Chunichi/Tokyo Bookweb > 書評 > 記事一覧 > 記事 【書評】 徹底検証 日本の右傾化 塚田穂高 編著 Tweet 2017年5月21日 ◆無意識の容認行動 浮かぶ [評者]大澤真幸=社会学者 世紀転換期以降、日本社会は右傾化してきたと言われている。現在、トランプ氏の出現や移民・難民の拒否との関係で欧米諸国の右傾化が問題視されているが、日本社会もこの二十年間、右傾化のトレンドにあったとされている。だが、この印象は正しいのか。右傾化の具体的な内容は何か。こうしたことを徹底的に調査し、記録し、検証した論文集が本書である。社会学者、宗教学者、ジャーナリスト等、二十一名もが寄稿している。「右傾化」の厳密な定義をあえて拒否し、本書はこの語によって指示されている現象を余すところなく包括的・多角的に、つまり社会意識一般から政治行動、メディアや宗教の状況まですべてを論