日本国憲法上、天皇は国民統合の象徴であり、国政に関する権能を有しない。当然、政府は天皇を政治利用するのは謹むべきだ。 代替わりに伴う一連の行事などで、安倍晋三首相がその原則を脅かす行動を続けている。代替わりや改元に対する祝賀ムードを、政権浮揚につなげる意図があれば憲法違反の疑いが強い。政府は襟を正すべきである。 4月の新元号「令和」の発表では、首相が記者会見し、元号に込めた「願い」を述べた。その後はNHKや一部民放の番組をはしごして、同様にアピールした。 政府は前例踏襲といいながら、「平成」発表時に実施していない首相会見を開いた。元号を政治利用する狙いは明らかだった。 天皇陛下の即位後も同様だ。 14日には天皇が首相から国内外の諸情勢について説明を聞く「内奏」が行われ、その際の写真と映像を宮内庁が公開している。 内奏の内容は第三者に口外しないのが不文律とされ、様子が公開されるのは異例だ。上