パーソン論 (ぱーそんろん the person theory) 「人格」という言葉を使うことは、 残念ながら誤解を生み易いところがある。 というのは、 「人格」はしばしば「人間」と同じことを意味しているかのように 使用されるからである。 しかしこれら二つは同じではない。 我々の種の構成員ではないような人格が存在しうるからである。 また、我々の種の構成員のうちには人格ではないようなものがいることもありうる。 ---ピーター・シンガー 一般に、「人格とは何か?」という問いをめぐる議論のことを指す。 生命倫理学でこの問いが重要になるのは、 この問いの答え方次第で、胎児、 植物状態や脳死状態の患者などをどう取り扱うかが変わりうるからである。 たとえば、人格というのを「自己意識を持った存在」と定義づけるならば、 ある時期までの胎児や脳死状態の患者は人格とみなされないことになるだろう。 すると、これ